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人類は78万年前から火を使って調理をしていた。最古の料理は焼き魚

カラパイア


 人類がまだ原人(ホモ・エレクトス)だった78万年前、イスラエル北部、ヨルダン川流域で、人類が火を使って魚を調理していた証拠を発見した。

 この発見は、人類が火を巧みに利用して、食べ物を調理し始めた時期が、これまで考えられていたよりも60万年以上前倒しされたことになる。今までの知識を完全に書き換えることになった。

これまで考えられていたより数十年も前から人類は調理していた

 火で食べるものを調理することは、人類の進化における画期的な出来事だが、その起源については、いまだ議論が続いている。

 これまでは、もっとも古い調理の証拠は、およそ17万年前とされていた。

 だが、このたびの中東イスラエル、ヨルダン川流域にあるゲッシャー・ベノット・ヤーコブ遺跡での実際の証拠の発見によって、人類による調理史のタイムラインが数十万年もずれたことになる。

 南アフリカの洞窟では100万年前には火が使われていたことを示す灰などが見つかっているが、調理との関係は証明されていない。

ゲッシャー・ベノット・ヤーコブ遺跡があるのは、ホモ・エレクトスがアフリカを出て各地に散らばっていったルート上にある / image credit:Tel Aviv University/ Nature

火を使って調理した痕跡と、大量の淡水魚の歯

 『Nature Ecology and Evolution』誌に発表されたこの研究は、ヤーコブ遺跡での発見が詳しく記述されてる。

 この遺跡は16年近く発掘調査されているが、ここから炉を活用していたと思われる人間の活動の証拠と、淡水魚の大量の歯の化石が出てきた。

 魚の骨は500度以下の温度で熱すると、やがて分解されるが歯は残る。つまり魚が調理されていた可能性があるということだ。

 同じ場所からは火をおこすために使ったとみられる焦げた火打ち石なども見つかった。

 体長2メートルもある大型のコイの化石が、調理の歴史のこれまでの認識を変えたのだ。

テルアビブ大学スタインハルト自然史博物館にあるコイの頭部化石 / image credit:Tel Aviv University/ Nature

 研究者たちは、X線回折で、調理温度によって変わる魚の歯のエナメル質をつくるナノ結晶(熱にさらされると膨張する結晶構造)を調べた。

 火にさらすと、エナメル質結晶の大きさに、劇的な変化が起こるのが顕微鏡レベルで観察できる。

 その結果、200℃から500℃の熱に晒されていたことがわかった。これはしっかりと調理するのに適した温度だ。調理には、土でできた窯が使われていた可能性がある。

 燃料やゴミ処理として残骸を火に投入したのなら、更に温度が上がるはずだ。このことから、自然発生的な火ではなく、人為的に起こされた火があったことがうかがえる。

 ロンドン自然史博物館のイェンス・ナヨルカ博士はこう語る。
実験によって、調理による歯の変化を特定することができました。魚がどのように調理されたのかは、正確にはわかりませんが、高温にさらされた形跡がないため、直接火で炙られたわけでも、ゴミなどと一緒に燃やされたわけでもないことは明らかです
 湖畔に住んでいた者が、多種多様な淡水魚を食べていただろうことは想像できると、オラニム・アカデミック・カレッジのイリット・ゾハール博士は説明する。

 この場所から見つかった石器は、アフリカの「a href=”https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B9″ target=”_blank” title=””>ホモ・エレクトス」の遺跡で見つかったものと一致し、おびただしい数の魚の骨も出てきたが、人間の遺骨は発見されていないという。

人類が、大型のコイ(Luciobarbus longiceps)を調理している想像図/ image credit:

古代人は魚を熱で調理する利点を知っていた

 さらにゾハール博士は、先史時代の原人が、食べる前に魚を調理する利点を理解していたことがわかったと言う。

 そのおかげで、人間の脳が大きくなることができたというのだ。

 彼らは、ゲッシャー・ベノット・ヤーコブ遺跡にある古代のフラ湖のような立地と淡水源に恵まれて、食事と経済的安定の両方で中心的存在となることができたのだ。
魚を調理することが、この場所で人がずっと長く定住した証拠だという事実は、食料を調理する伝統が長く続いたことを示しています。

これは、古代のフラ・バレー周辺で狩猟採集生活をしていたアシュール人の高い認知能力と関連するもうひとつの発見といえます。

アシュール人は、まわりの環境と、そこから得られるさまざまな資源に相当精通していました

調理をすることで人類の進化につながった可能性

 こうした狩猟採集グループは、自然と密接に関わりあっていて、周辺のさまざまな植物や動物のライフサイクルについて幅広い知識をもっていたという。

 食料を調理するスキルを身につければ、手に入る食料資源を最大限活用することができる。おそらく、調理は魚だけでなく、植物や動物にも及んだことだろう。

 生の食料から、調理し熱を加えたものを食べることへの切り替えは、人類の進化の重要な転換点だ。

 ご先祖さまたちは、生のままの硬い食料を噛み砕き、消化する時間を減らせたはずだ。火を通せば、細菌は死に、肉の栄養価も高めることができた。

 その代わりに、人類はより小さく効率的な消化管を発達させ、エネルギーを自由に生み出して、より大きな脳の成長を可能にし、知能を高めた。

 その結果、顎と頭蓋の構造が変わり、時間に余裕ができたことで、新たな社会行動システムへの道が開けた。

 とくに魚を食べたことが、飛躍的な進化だったと考えられている。魚には、オメガ3脂肪酸、亜鉛、ヨウ素などが豊富に含まれていて、これも脳の巨大化につながったという。

 サザンプトン大学、人類起源考古学のジョン・マクナブ教授は、火の扱いを理解することが、人間の進化を理解するキーになると説明する。

 火のおかげで、働く時間が長くなり、社会的な絆のメカニズムを形成され、新たな食事の機会が広がり、摂取できる栄養価も高くなった。

 調理は、ホモ・エレクトスが新たな領域に進出していくことを可能にした大きな理由のひとつなのだ。

References:Cooking Timeline Just Got Burned: Hominins Were Cooking 780,000 Years Ago / written by konohazuku / edited by / parumo

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