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「女性がスポーツ界で活躍するには?」…“女性を取り巻くスポーツの環境をリデザインする”ために設立したZOOSのキーパーソンに聞いてみた

バスケットボールキング

 女性の社会進出が叫ばれており、桂さんのように女性も積極的にチャレンジするべきかと質問すると、「別に挑戦することが偉いとは思いません。チャレンジしないことも選択」ときっぱり。「リスクを取ることが良いわけではなく、その人その人が幸せを感じることが大事だと考えています。チャレンジしないことが自分にとっての幸せであることもあり、その時その時の自分の幸せを追求してほしいと思います」と語ると、「私の場合は、周囲のサポートなど、周りの環境が整っていました。私が新たなチャレンジすることで、次の人がチャレンジしやすくなればと考えています」と述べた。

◆3×3の発展の立役者 安田美紀子さん

 ZOOSを立ち上げ新たな挑戦を続ける桂さんをサポートするのは安田美希子さん。桂さんが参加した3×3の大会で顔を合わせたのが、二人の最初の出会いではあり、その出会い以降に育まれた信頼とリスペクトから今回、新たなチャレンジを共にすることとなった。もともと安田さんはスポーツ界に最初から就職したわけではなく、他業種からの参入組だ。安田さんは大学卒業後、大手人材紹介会社にて、採用や教育サポートを中心とした人材コンサルティング営業として社会人のキャリアを積んだ。30代となって、『本当にやりたい仕事は何か?』を改めて考えてみたときに、人材の仕事を手伝っている中で、スポーツ界の関係者がいきいきと仕事をしていたことを思い出したという。

 思い立ったら行動も早く、2011年に退職・渡米し日本人メジャーリーガーのマネジメント業務などに従事。帰国後、スポーツマーケティング会社にて、3人制バスケットボールの黎明期から携わり、プロリーグの立ち上げやFIBA(国際バスケットボール連盟)や、JBA(日本バスケットボール協会)との連携業務を担うなど活躍。その貢献が評価され、2018年より公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会にて、オリンピック初種目化となった、3×3バスケットボールの競技運営責任者として大会の企画運営を統括するなど、この競技が注目を集めることを可能とした中心的な存在だ。

◆土日祝日の休みがなく、古い体質も

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 異業種からスポーツ界に飛び込んだにも関わらず、現在では十分な実績を積んで桂さんの新たなチャレンジをサポートする安田さんに、スポーツ界において女性が働きにくいと感じたことはないかとずばり聞いてみた。

 安田さんは「自分自身はスポーツ界において男女の性別的な違いを意識したことはありませんが…」と述べると、「客観的に見ると、スポーツの現場では土日祝日の休みがなく、それぞれの競技の統括団体、協会、チームの現場には年齢層の高い男性が多いことは事実です。この年代の方の中には、年下の男性を女性よりも重宝する傾向や、女性を受け入れない雰囲気もあり、古い体質を感じるかもしれませんね」と語る。

 続けて「環境面では、確かに海外は進んでいて、今秋実施されたNBAジャパンゲームズに私が携わった際には、プランニングや事務方などの多くは女性スタッフでした」と日米の差について実際の体験を口にした。「日本ではまずは制度面を整える必要はあると思いますが、これに関しては少しずつ整ってきているので、加えて女性自身がやりたいことを諦めないよう、周囲が興味関心を持つことも必要だと思います」と締めた。

 安田さん自身は、30代で渡米、出産、40代で独立という転機があったが、ライフステージの切り替わりのタイミングで、通常ならばそのキャリア形成にブレーキがかかるところで、むしろアクセルをより踏んだ状態だったと苦笑する。安田さんは「私は親、友人、家族の協力があって、ブレーキを踏まずに進んできたが、やはり女性は妊娠出産や身体の変調など男性より変化が多く、物理的、フィジカルの部分で制限があると思います」と語ると続けて、「女性にも様々な考え方や価値観があって、100人いれば100人のやりかたがあると思っています。重要なのは女性が男性と同じようにイニシアティブを持って、社会や組織の中で責任あるポジションにつきたいと考えたときにサポートできる体制や制度が整っているかどうかじゃないでしょうか」と自身の見解を、将来への期待を含めて口にする。

◆無理に挑戦するのではなく、それぞれの幸せを考える

 女性の労働力率はよく“M字カーブ”を描くと言われ、女性の社会進出を語る上でも良く耳にする用語だ。このM字カーブ――結婚や出産を機にいったん離職し、育児が一段落したら再び働きだす女性が多いという日本の特徴を反映したグラフだが、そのくぼみは徐々に浅くなっており、女性が出産や育児などのライフステージの変化に関わらず就業を継続するように社会の変化が起きている証左とも言える。だが、他の先進諸国にて、窪みの解消するに資する施策の検討・実施が比較的早期から着手されていることに比べると、日本では、女性の社会進出のためのインフラがまだまだ整っておらず、女性が継続的に勤務できる体制作りに関しては、かなり出遅れている。

 この現状を冷静に捉え、「今やれることをやる」と新しい環境に飛び込んだ桂さん。周囲のサポートに感謝しながらエンジン全開で走り続ける安田さん。両者とも非常に活動的で、チャレンジングな選択をしているが、二人が共通で言葉にしているのは、ただ挑戦することが正しいのではなく、女性それぞれの幸せの形があり、それぞれの考え方があるということを冷静に捉えていることだ。二人の言葉は、男女問わず当てはまることではあるものの、環境変化の影響度合いや身体的な変化は女性の方が、やはり影響が大きいと考えられる。

 女性の社会進出について、サポートや制度の整備が諸外国に比べると遅れていると言われている日本。その中でも女性が定着しにくい環境だと思われるスポーツ界にあって、桂さんや安田さんのようなロールモデルの活躍は大変頼もしく、その活躍に続き、スポーツ界で活躍しようという新たなチャレンジャーが出てきたときに何ができるのか、今精一杯に頑張っているスポーツ界の担い手のためにどのようなサポートが可能なのか、世の中の機運が高い今だからこそしっかりと考えていきたい。

 ZOOSでは、女性が仕事や家事、育児などの多忙によりスポーツを楽しむ環境から離れていく状況も変えていきたいと桂さんは語る。女性のライフステージに合わせてスポーツを楽しむような環境が当たり前となり、女性の働きやすさで日本が先進諸国に肩を並べていることはもちろん、スポーツ界でも大勢の女性が活躍し、定着する時代がすぐそこに来ることを期待したい。

取材・文=村上成

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