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「なぜ前半から仕掛けなかったのか」ドイツ戦の“成功体験”がコスタリカ戦の敗因に?ブラジル人記者が指摘。「子供じみたミスで…」【W杯】

SOCCER DIGEST Web

 キックオフの瞬間から、コスタリカが日本をものすごく恐れているのがはっきりとわかった。5バックの形だったが、実際は7人で守っていたようなもの。初戦でスペインに0―7で負けたチームが、ドイツに勝った相手を警戒するのは当然といえば当然だろう。

 とにかく守って守って、カウンターから得点を狙う。コスタリカの戦略は誰が見ても明白だった。

 キャプテンのGKケーラー・ナバスも「チームは悲壮感でいっぱいだった。とにかく点を取らせないことが重要だった」と明かしている。

 こうしたチームに対する日本の対応もこれまた明らかだった。恐れて閉じているチームを攻めに攻め、より恐怖感をあおり、得点をして彼らを絶望させるべきだった。

 しかし、相手のペースに合わせてしまってパッとしない。前半は0―0でもいいから抑えて、後半に選手を交代させて一気に点を取る――。ドイツ戦での成功体験が、日本にそんな戦略をもたらしたのなら、それは間違いだ。コスタリカはドイツではない。

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 10分ほど経ってから、コスタリカも気が付いたようだ。「思っていた試合と違う」と。そこからだんだんと自信を取り戻していく。

 日本は決して悪いプレーをしていたわけではない。長友(佑都)はその闘志と声掛けで仲間を鼓舞し、堂安(律)は森保(一)監督と非常によくコミュニケーションをとっていた。吉田(麻也)と板倉(滉)のCBコンビは4人分の働きをし、とりわけ前者は前半のパフォーマンスは際立っていた。

 秩序があり、いつものように全員がチームのためにプレーしていた。ポルトガルがクリスティアーノ・ロナウドに絶対ボールを回さなければいけないのとは違う。だが、何かがうまくいかない。35分を過ぎた頃から吉田が叫び始めた。日本代表の試合は頻繁にチェックしているが、こんな彼の姿を見たのは記憶にない。

 そして後半、日本は攻めに出る。だがドイツ戦では勝利の鍵だった選手交代は、今回はチームのダイナミズムを壊すだけだった。入った選手が試合のリズムをつかむのに時間がかかり、せっかくうまく機能しかけていたものまでだめになってしまった。

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 守田(英正)の冷静なシュートは素晴らしかった。70分ぐらいに伊東(純也)が見せた、3人の選手を置き去りにする突破はネイマール張りのプレーだった。だが時間が経つにつれ、日本は焦り始めた。ボールを受け、周囲を見まわして敵と味方の位置を把握して可能性を探るべきなのに、どこか闇雲にパスを出し、走っている感じがした。そして81分にコスタリカのゴールが生まれる。

 守田は後半のMVPでもあり、また戦犯でもあった。あの短いボールはあまりにも危険で子供じみたミスだった。そしてGK権田(修一)がゴールから出てきてしまったこと。GKのミスは非常に高くつく。コスタリカが放った唯一の枠内シュートで日本はゴールを奪われてしまった。

 結局、日本は前半に余裕をもって何も仕掛けなかったことで、そのツケを後半に払うはめになった。ボールポセッション、シュート数、パス成功率、何を見ても日本の方が上だった。だがサッカーの結果はデータと比例するわけではない。これはその典型的な試合だった。
 
 日本の戦術もプレーもイノセントすぎたきらいがあった。ドイツ戦の後、世界中が日本を絶賛していただけにこの結果は非常に残念だ。次のスペインは強い。崖っぷちの日本にとっては厳しい試合となるだろう。ブックメーカーによると日本がスペインに勝てる可能性は20%以下だそうだ。

 日本には「モッタイナイ」という言葉があると聞いたが、コスタリカ戦はまさにその表現がぴったりの試合だった。

取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
 
   

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