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若手投手の競争が激しい巨人。ドラフト×育成から見る現在地点から見る戦略論

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井上 温大投手(前橋商出身)

 今ではどの球団も活用しているのが育成枠だ。今シーズン新人王に輝いた西武・水上 由伸投手(帝京三出身)や日本シリーズでMVP級の活躍をしたオリックス・宇田川 優希投手(八潮南出身)も育成出身である。育成枠ではなくても、こちらも日本シリーズで活躍をしたオリックス・山﨑 颯一郎投手(敦賀気比出身)はドラフト6位であり、ヤクルト・今野 龍太投手(岩出山出身)はドラフト9位、ヤクルト・久保 拓眞投手(自由ケ丘出身)はドラフト7位だ。下位指名でも自分が生かされるポジションで、ここまで活躍することができる。

 育成制度に関して巨人は、育成制度が導入されてから、どの球団よりも早く、育成面が強化されていったのではないだろうか。代表例としては、キャリアを通して6度のリーグ優勝と2度の日本一を経験し、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表に2度選出されて、個人タイトルは育成選手枠出身では初となる新人王や3度の最優秀中継ぎ賞を獲得した山口 鉄也投手(横浜商出身)が挙げられるだろう。その山口が巨人の投手コーチとして担っている。

 現状は、若手投手陣が多いため競争が非常に激しい状況だ。頭ひとつ抜けているのは、やはり最多奪三振を獲得した戸郷 翔征投手(聖心ウルスラ出身)や新人王に輝いた大勢投手(西脇工出身)だろう。この2選手に関しては、来年のWBCも期待されている。

 その他を見ると、山崎 伊織投手(明石商出身)や赤星 優志投手(日大鶴ヶ丘出身)、直江 大輔投手(松商学園出身)、堀田 賢慎投手(青森山田出身)、戸田 懐生投手(KTCおおぞら高出身)、菊地 大稀投手(佐渡高出身)、井上 温大投手(前橋商出身)といったあたりは、今シーズンマウンドに上がった。さらに育成選手にも、1軍のマウンドを経験している平内 龍太投手(神戸国際大附出身)や横川 凱投手(大阪桐蔭出身)もいることもあり、若手投手陣の競争はより激しくなっている。

 現在は、重要な試合、場面を任せられる若手投手は戸郷と大勢しかいないが、ゆくゆくはこの中で複数人出てくることが、理想的だろう。今シーズンは中川 皓太投手(山陽高出身)が全休で、大江 竜聖(二松学舎大附出身)の調子が上がらないまま終わったため、左の中継ぎ投手が急務になっている。そのこともあり、先発で伸ばしていきたい若手投手が中継ぎに回る可能性は高い。しかし、昨シーズンまでの中川や大江を含めた起用法や今シーズンを見ると、投手運用は改善されていないのが現状だ。そのため、首脳陣が一新したことから、ヤクルトやオリックスのように、リリーフ陣の枚数を増やして、固定化せずに若手投手も活躍できるシチュエーションを演出させていくことも必要だろう。

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 山口が台頭した2007年や2008年は、リリーフ陣の中でも序列はそこまで高くなかった。ただ、2008年は山口と越智大祐投手(新田出身)が比較的にプレッシャーがかからない場面で登板するごとに、結果を出していき、最終的に勝ちパターンになることができた。さらに、2007年はクローザーに上原浩治(東海大仰星出身)がいて、西村健太朗投手(広陵出身)や豊田清投手(鈴鹿高出身)、林昌範投手(市立船橋出身)、会田有志投手(佐野日大出身)、吉武真太郎投手(国東出身)などがいた中で、山口はプレッシャーがかからない場面で経験を積めた。2008年もシーズン序盤はクローザーにマーク・クルーンがいて西村や豊田、藤田宗一投手(島原中央出身)らがいたことにより、シーズン序盤は経験を積めたため、夏場以降の飛躍にも繋がった。

 今の巨人には、大勢はもちろんのこと、高梨 雄平投手(川越東出身)や今村 信貴投手(太成学院大高出身)、復活すれば中川や大江、鍵谷 陽平投手(北海出身)もいる状況だ。シーズン序盤は、実績組が厳しい場面で投げていき、自信をつけた頃には7回や8回を任せるのもいいだろう。本来であれば、独走をしていた2020年からこの起用法をするべきだったが、来シーズンからは試してほしい。

 先発に関しても、山﨑や堀田はトミージョンをしてから3年ほど経つ来年に期待は高まる。さらに、今シーズン開幕時に先発ローテーション入りした赤星に関しては、シーズン序盤の平均球速の速さを見ても、変に中継ぎなどで使わず先発一本で投げさせていくべきだ。

 来シーズンから首脳陣が一新することもあり、起用法から技術面まで最大化ができるかが注目だ。エースである菅野 智之投手(東海大相模出身)も、来シーズンは34歳となる。世代交代が必要となる時期になっているため、戸郷や大勢のように巨人の若手投手陣の台頭に期待していきたい。

(文=ゴジキ)

 
   

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