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『PICU』吉沢亮の静かに涙を堪える姿が胸に迫る 大竹しのぶを突き動かした命への覚悟

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『PICU 小児集中治療室』©︎フジテレビ

 大切な存在の「看取り」や「終末期」に際し“しこちゃん先生”こと志子田(吉沢亮)の溢れそうで溢れてしまわずギリギリのところで留まる涙が、泣くのを静かにじっと堪えている姿が、胸に迫る『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)第8話。

参考:吉沢亮が語る『PICU 小児集中治療室』での役作り 「武四郎は誰からも共感できる人物」 

 心臓移植を望むも感染症にかかってしまい、それも叶わぬ圭吾(柊木陽太)が VF(心室細動)を起こす。何とか“こっち”に戻ってきた圭吾だが、病院でできうる検査を全て受けるも結局感染症の原因は特定できず、次なる治療法が見出せない行き詰まり状態だ。

 PICUに運び込まれてきた当初は「どうせ死ぬんだから放っておいてよ」と後ろ向きな発言ばかりが目立った圭吾だったが、志子田はその都度彼の本心や恐怖心にずっと寄り添い、彼の“生きたいという希望”を引き出し、それを決して諦めさせなかった。心臓移植を拒んでいた背景には「他の子どもが死ぬのを待つみたいで嫌だ」という圭吾の優しさがあり、どんなに自分が苦しかろうが、もっと大変な思いをしている相手のことを思いやれてしまう彼の指摘にはハッとさせられた。そして、ここまで物分かりが良く様々な視点に立ててしまえる圭吾だからこそ、より一層この治療法がなくどうにもできない“誰も悪くない”今の状況がもどかしい。責める対象がないことほど、ある意味やるせなく割り切れないことはない。

 心停止の状態で運び込まれた光(寺嶋眞秀)を心配する友達の大輝(森島律斗)には「応援してあげて。パワーを送ってあげるんだよ、友達に」と声を掛け、そして志子田に対して「もし俺が駄目なら、俺の体をあの子にあげて。俺の命、無駄にされたくない」と訴える。神様がいるのならば、どうしてこんな理不尽を圭吾に与えられるのだろうか。どうしてまだまだ無邪気さの残る彼に、こんな大人びたことを言わせてしまうのかと行き場のない感情に襲われてしまう。志子田はそんな圭吾の姿を「立ち上がる度に優しくなってどんどん周りを幸せにしていく」と表現したが、母・南(大竹しのぶ)は「そうならないといけなかったのかも。健康で何の心配もない子と違ってそうやって大人になって皆を幸せにしてくれるんだよ」と、望むと望まざるとにかかわらずそうならざるを得なかった、そうでないと生き続けられなかった圭吾の背景に想いを馳せた。

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 そんな圭吾からの「俺死ぬんでしょ? 本当のこと教えて。先生、ちゃんと教えてよ」という問いかけに、真摯に向き合い切った志子田のやり取りには息を呑んだ。圭吾の真っ直ぐな視線を一身に浴びながら、志子田は一切そこから目線を逸らさず、圭吾にとって“正しい”ことを完遂した。感染症の治療は簡単だから函館に帰って治療するだけだという志子田の説明を受け、圭吾は「死んじゃうのかなって怖かったから。違って良かった」と涙ぐみながら安堵の表情を見せた。この圭吾の反応が全てで、確かに志子田は今の彼の精神力と受容力だからこそ貫き通せる医師としての“正しさ”を最後まで絶やさず圭吾に見せた。あらゆる言葉と圭吾との思い出の日々を飲み込みながら。

 科長の植野(安田顕)は、圭吾の両親が終末期ケアに納得したのは「やれることは全てやったからです。ちゃんと諦めがつけば看取る覚悟ができるんだと思う」と話していたが、この言葉がいずれ南を看取らねばならない志子田にある決意を固めさせていた。

 「俺が諦められるだけの時間をください。母ちゃんと離れる覚悟ができるだけの時間を」と南に頭を下げ、東京にいる名医に診てもらう約束を取り付けた志子田。「ご家族を失ってしまうかもしれない恐怖の中で、私たち医者にできることはほとんどないかもしれません。一緒に考えたいんです、圭吾くんにとって何が最適か」とは志子田が彼の両親に向けて発した言葉だが、まさにここでいう“家族”と“医者”の間を同時に行き来し続ける志子田は、南にとっての、そして自分たち親子にとっての“最適な形”をどう模索していくのだろうか。(佳香/かこ)

 
   

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