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もしも恐竜が絶滅していなかったら、人類のように進化し文明を築き上げていただろうか?

カラパイア


 今から約6600万年前、巨大な小惑星が地球に衝突し(諸説あり)、恐竜の時代は終わりを告げた。

 舞い上がった塵によって空が暗くなり、光合成できなくなった植物は枯れ、それを餌とする動物も死んだ。食物連鎖が崩壊し、全生物種の9割以上が死に絶えた。

 この大量絶滅があったことにより、私たち人類は進化できたとも言える。生き残った哺乳類が繁栄し、その中には私たちの遠い祖先も含まれていたからだ。

 だがもしも、恐竜が絶滅せず、そのまま生き続けたとしたらどうなったのだろうか?絶滅しなかった恐竜も人類と同じように、高度な文明を築き上げていたのだろうか?


もしも恐竜が生き残っていたら、進化して文明を発達させた?

 我々人類は高度な知性を進化させ、言語や道具を使いこなし、科学を発達させ、宇宙に到達するまでになった。

 もしも恐竜が絶滅せず、今の時代まで生きていたとしたら、進化して人類と同じように文明を発達させていたのだろうか?

 英バース大学の古生物学者ニコラス・R・ロングリッチ氏が『The Conversation』に寄稿した記事によると、「ありえないわけではないとしても、可能性は低い」のだそうだ。

 ロングリッチ氏によると、恐竜が人間のように進化すると考えにくい理由は、動物の生態がその進化の方向性を制約するからだ。スタート地点がゴール地点をある程度決めてしまうのだ。

恐竜の進化系「ダイナソイド」Ancient Aliens: Dinosaur Humanoids Alive Today? (Season 8) | History

恐竜は巨大化しても脳は小さいまま

 そのことを恐竜の大きさで考えてみよう。ジュラ紀に出現したブロントサウルスなどの竜脚類は、体重30~50トン、体長30メートルもの巨体に進化した。

 同じことが、ディプロドクス、ブラキオサウルス、トゥリアサウルス、マメンチサウルス、ティタノサウルスなどにも起きている。

 こうした超巨大化は異なる大陸、異なる時代、異なる気候で起きたが、どの恐竜も同じように大きく進化したわけではない。

 超巨大化した恐竜に共通するのは、竜脚類であることだ。すなわち肺、中空の骨による強度と重量の比率、代謝など、竜脚類ならではの解剖学的構造がそれを可能にしたのだ。

巨大化した恐竜に比べ、ほ乳類の体は小さい / image credit:Nick Longrich

 竜脚類ほどではないにしても、巨大化した恐竜はほかにもいる。

 たとえば、1億年以上の間に、メガロサウルス、アロサウルス、カルカロドントサウルス、ネオヴェナトルス、ティラノサウルスといった、体重数トンもの巨大な肉食恐竜が繰り返し登場している。

 恐竜は大きな体をうまく使っていた。だが脳はそれほどでもない。恐竜の脳は、あまり大きく進化しようとはしなかった。アロサウルス、ステゴサウルス、ブラキオサウルスなど、ジュラ紀の恐竜の脳は小さいままだ。

 それから8000万年後の白亜紀後期になると、ティラノサウルスやハドロサウルスのようなもう少し大きな脳を持つ恐竜も登場している。

 それでもティラノサウルスの脳はたったの400グラムで、エドモントサウルス(ハロドロサウルス科)は200グラム。体重のわりに小さなままだ。

 私たち人間なら、体重100キロもないのに脳の重さは平均1.3キロある。

恐竜、哺乳類、鳥類の脳の重さと体重との比率 / image credit:ick Longrich

恐竜が高度な知能を進化させたとは考えにくい

 恐竜はだんだんと新しいニッチ(生態的地位)に進出していった。小型の草食恐竜がより一般的になり、鳥類が多様化した。

 時代が下ると足の長い恐竜が登場し、捕食者とその獲物とで足の速さが競われていただろうことをうかがわせる。

 また恐竜の社会生活も複雑になった。群れで暮らすようになり、戦いやディスプレイのために凝った作りのツノを発達させた。

 それでもロングリッチ氏によれば、草食恐竜も肉食恐竜も、脳は小さいまま体だけが巨大化するという進化を繰り返しているだけなのだという。

 1億年という恐竜の歴史を見渡しても、恐竜が絶滅しなければ根本的に違う何かが起きたことを示す兆候はほとんどないのだそうだ。

 「少しは脳が大きくなったかもしれないが、天才的な進化を遂げただろうことを示す証拠はほとんどない」

恐竜の進化予測モデル「ダイナソイド」 / image credit:Dale Russell & Ron Seguin/Canadian Museum of Nature via Naish & Tattersdill、Canadian Journal of Earth Sciences、2021

人類の知能ですら、予測できない進化だった

 現実には、小惑星によって恐竜は絶滅し(諸説あり)、哺乳類の台頭が始まった。だが、それによって私たち人類の登場が必然だったかというと、そうでもないようだ。

 哺乳類にはまた違う制約がある。草食であれ肉食であれ、恐竜のように超巨大化することはなかった。

 その代わりに大きな脳を繰り返し進化させた。シャチ、マッコウクジラ、ヒゲクジラ、ゾウ、ヒョウアザラシ、類人猿などは、人間と同等かそれ以上に大きな脳を進化させている。

 カラスやオウムなど、今日まで生き残った恐竜の子孫もまた複雑な脳を持つ。彼らは道具を使い、会話をし、数を数えることができる。

 それでももっとも大きな脳ともっとも複雑な行動を進化させたのは、類人猿、ゾウ、イルカなどの哺乳類だ。

 だがロングリッチ氏によれば、恐竜が絶滅したことで、哺乳類の知能の進化が必ず起きたとは限らないのだという。スタート地点はゴール地点を限定するだろうが、それを保証するわけではないからだ。

もしも恐竜が進化して知性をもったら?

 霊長類の歴史を見れば、私たちの進化がすべて必然だったわけではないことがわかる。

 霊長類はアフリカで700万年かけて大きな脳を持つ類人猿に進化し、やがて現生人類が生まれた。だが、ほかの場所の霊長類はまったく別の進化を遂げている。

 3500万年前に南米に到達したサルは、ただのサルとして多様化しただけだった。霊長類は5500万年前、5000万年前、2000万年前と過去に少なくとも3度北米にたどり着いた。

南米に生息するライオンタマリン/ image credit:iStock

 だが、その中に核兵器やスマートフォンを作れるようになった仲間はいない。それどころか、どういうわけか絶滅してしまった。

 独自の進化を遂げられたのはアフリカの霊長類だけだったのだ。アフリカにある何かが、陸生で、大きな体と大きな脳を持ち、道具を使う霊長類の進化をうながした。

 ロングリッチ氏によれば、「恐竜がいなくなっても、私たちが進化するにはチャンスと幸運に恵まれる必要があった」のだそうだ。

References:What if the dinosaurs hadn’t gone extinct? Why our world might look very different / written by hiroching / edited by / parumo

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