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「アダムス・ファミリー」&『キャスパー』の人気子役から個性派へ…クリスティーナ・リッチが歩んできた独自の歩み

MOVIE WALKER PRESS

ティム・バートンが製作総指揮&エピソード監督を務めるドラマシリーズ「ウェンズデー」がNetflixで配信中だ。ネバーモア・アカデミーに編入してきた陰キャなウェンズデー・アダムス(ジェナ・オルテガ)がとある猟奇殺人事件の謎を追うダークな学園ファンタジーで、事件を通じて彼女が成長していく姿が描かれるという。本作はチャールズ・アダムズの漫画を基にドラマやアニメーション、映画とメディアを超えて愛されてきた「アダムス・ファミリー」のスピンオフ。感情を表に出さず危険ないたずらばかり画策している一家の長女ウェンズデーは、アダムス家のなかでも特に人気の高いキャラクターなので、本シリーズを楽しみにしていたファンは多いだろう。

そんなウェンズデー人気の起爆剤となったのが、1991年公開の『アダムス・ファミリー』だ。大きな瞳の美少女が、表情一つ変えずに弟パグズリー(ジミー・ワークマン)を電気イスにかけたり、学芸会で流血ショーを演じたりする様は世界中の映画ファンの度肝を抜いた。この作品でウェンズデーを演じ、ブレイクしたのが演技派として活躍しているクリスティーナ・リッチである。本作で強烈な印象を残した彼女は“個性派”のイメージが定着し、やがてインディーズを中心にクセの強い作品で躍動していく。

■『アダムス・ファミリー』『キャスパー』への出演で早くもブレイク!

リッチは1980年生まれ。モデルの母を持つ彼女は5歳のころから演じることに興味を持ち、8歳よりタレント活動を開始。9歳の時『恋する人魚たち』(90)で映画デビューを飾った。リッチはこの作品で、のちのグラミー賞受賞歌手シェールの娘で、ウィノナ・ライダーの妹という大役をはつらつと演じて注目された。そして10歳の時に出演したのが『アダムス・ファミリー』だった。ウェンズデー役に必要とされるのは、通常の子役に求められるあどけなさや愛らしさとは真逆の表現。リッチはそれを見事に体現し、かわいい顔立ちとトリッキーな言動のギャップも手伝ってその名を広く知らしめた。

2年後には続編『アダムス・ファミリー2』(93)に出演。パグズリーと一緒にサマーキャンプで周囲を戦慄させるなど、前作とはまた違った一面を見せつけた。1995年にはスティーヴン・スピルバーグ製作の『キャスパー』(95)に参加し、古い屋敷に住み着いた幽霊キャスパーと淡いロマンスを繰り広げるヒロインを好演。情感豊かでおしゃべりなCGキャラ、キャスパーとのかけ合いでコメディエンヌとしての才能も見せつけ、サターン賞の新人俳優賞に輝いた。

■伝説的となった『バッファロー’66』での妖艶な佇まい

瞬く間に10代のアイコンとなったリッチのターニングポイントになったのが、アン・リー監督の『アイス・ストーム』(97)だ。この作品で彼女はセックスへの好奇心旺盛なティーンエイジャーを熱演。あどけなさを残したままきわどい役を演じ、それまでのイメージを払拭。『熟れた果実』(98)では、生意気で機転が利き、目的のためには手段を選ばない少女を演じて、ゴールデン・グローブ賞やインディペンデント・スピリット賞にノミネートされている。

10代半ばよりインディペンデント映画に積極的に出演するようになったリッチは、個性派としてキャリアを重ねていく。そんな彼女がヒロインを演じて話題を呼んだのが、ヴィンセント・ギャロ監督&主演の『バッファロー’66』(98)である。リッチが演じたのは、ムショ帰りのビリー(ギャロ)に拉致され、強引に彼の両親の前で妻役を演じさせられるレイラ。愛に飢えたダメ男を受け入れ、愛情を注ぐ薄幸そうな少女という役柄が絶妙にマッチしていて印象的だった。撮影当時17歳、ブロンドヘアに胸元の開いたドレス姿でダンスを踊る妖しげな姿はもはや伝説といっても過言ではない。

■ティム・バートン監督作『スリーピー・ホロウ』や「マッハGoGoGo」原作の『スピード・レーサー』でも存在感を発揮

ティム・バートン監督作『スリーピー・ホロウ』(99)は、アメリカの怪談をベースにしたダークファンタジー。リッチが演じたのは怪事件の捜査にやって来た主人公イカボッド(ジョニー・デップ)に惹かれる地主の娘カトリーヌで、首なし騎士に命をねらわれるという役どころだ。現代劇が多かったリッチだが、19世紀が舞台のこの作品では仕立てのよいドレスに身を包んでしっとりした美しさを披露。恐怖におののく大きな瞳も印象的で、ホラーヒロインとしてのポテンシャルの高さを見せつけた。

「ワンダーウーマン」シリーズのパティ・ジェンキンスの監督デビュー作で、シャーリーズ・セロンがアカデミー賞ほか数々の主演女優賞に輝いた『モンスター』(03)。7人の男性を殺害した実在の殺人鬼を描いた本作で、リッチは主人公アイリーンの恋人セルビーを演じた。セロンはメイクを含め実在のアイリーンを研究して臨んだが、リッチのキャラクターは物語に合わせ脚色されていたため自由度が高かったという。セロンの演技は圧巻だが、粗野なアイリーンに依存しながら彼女の凶行を助長するリッチのリアルな演技も見逃せない。

その後もウディ・アレンのラブコメ『僕のニューヨークライフ』(03)、呪いによって豚鼻で生まれた女性を描いた『ペネロピ』(06)、性依存症を題材にした『ブラック・スネーク・モーン』(06)など多彩な作品に出演したリッチだが、そのキャリアで最も“ハリウッド大作らしい”作品が『スピード・レーサー』(08)だろう。彼女が演じたのは、主人公スピード・レーサー(エミール・ハーシュ)の幼なじみトリクシー。日本のアニメ「マッハGoGoGo」を原作とする本作で、リッチは原作同様ショートヘアーのヒロインをキュートに演じた。カラフルなCGで作られたアニメから飛び出したような世界観のなかで、リッチも赤やピンクの派手な衣装に身を包み、丸い輪郭に大きな目というアニメ顔が映えまくったという意味でも、レアな作品と言える。なお、リッチがこの作品に惹かれた理由の一つが、プロデュース・監督・脚本を手掛けたウォシャウスキー姉妹とのコラボ。この出演が『マトリックス レザレクションズ』(21)へのカメオ的な出演につながったのではないだろうか?

■人気子役から個性派としての地位を確立することに成功

デビューが早かったことに加えて、ハリウッドのワナに陥ることなく子役から女優へのシフトに成功したリッチ。順調にキャリアを重ね、40代を迎えた時点で50本もの映画に出演したほか、「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」や「PAN AM/パンナム」などドラマの演技でも高い評価を獲得した。インディーズの現場で刺激を受けたのか、プロデューサー業にも進出し、うつに苦しむ少女を描いた『私は「うつ依存症」の女』(01)やラブコメ『パンプキン』(02)には主演のほか製作陣として参加。2015年のドラマ「リジー・ボーデン 美しき殺人鬼」、2015~17年の「ゼルダ ~すべての始まり~」では製作総指揮を務めるなど、活躍の幅を広げている。

卓越した演技力が高い評価を受ける一方、いまだ “「アダムス・ファミリー」のウェンズデー役”というフレーズが付けられることもあるリッチ。そのことについて彼女自身は「これだけ長く愛されていることを誇りに思っている」と好意的に受け取っているようだ。そんなリッチは「ウェンズデー」に教師のマリリン・ソーンヒル役で出演している。彼女が「アダムス・ファミリー」の世界に帰ってくるのは、約30年ぶりのこと。新鋭ジェナ・オルテガ演じる新ウェンズデーとどんなかけ合いを見せるのか、22年ぶりとなるバートン監督との化学反応を含め楽しみである。

文/神武団四郎
 
   

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