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【テニスギア講座】ラケットの「ストリングパターン」をもっと気にしよう! 打球性能との密接な関係に迫る<SMASH>

THE DIGEST

 今回は「ストリングパターン」について取り上げましょう。ラケットのフェイス面積にはかなりの幅があり、現在市販されているものは93~120平方インチまで多種多彩です。

 その中で主流となっているのが黄金スペックの100平方インチ。それよりもやや小さい97~98平方インチを競技系モデルといい、もっと大きい103~120平方インチをパワー系モデルといって、ラケット側のパワーサポートが大きな設定です。

 しかし、ユーザーはフェイス面積は選べても、ストリングパターンは選ぶことができず、そのラケットに与えられたパターンを受け入れるしかありません。ラケットの設計コンセプトにより、独自のストリングパターンが組み合わせられますが、黄金スペックを中心に、多くのモデルが「縦ストリング16本×横ストリング19本」を採用しています。

 ストリングパターンは、打球感や打球性能に大きな影響を与えます。ラケット選びでは、フレームだけでなく、ストリングパターンのことも考えましょう。
  黄金スペックと同様に、競技系モデルも「16×19」が多くなってきていますが、よりスイングパワーのある競技者のために「16×20」「18×20」という目の細かいパターンもあります。

 マス目の細かい方が、ストリング面全体のたわみ量が少なくなるため、飛びは抑えられます。パワフルな競技者はボールを強く叩き、つぶしてスピンをかけることを好みますから、ストリング面の「たわみ→戻り」の機能が抑えられたモデルを選ぶケースが多いのです。

 逆に、1つのマス目が大きい場合は、ストリング面がたわみやすく、糸の伸縮性を大いに利用してボールを飛ばすのに向いています。つまりスイングパワーが大きくなくてもよく飛ぶラケットになるので、フェイスが大きくて、フレームが厚いパワー系モデルに多く使用されるパターンです。

 基本的にルールブックでは、ストリングの本数については全く制限されていませんが、パターンについてはこう記されています。

「ラケットの打球面は平面で、ストリングが交差する箇所で交互に組み合わせるか、接着させて、十文字に交わった模様を成していなければいけない。さらにストリングの張り上がり模様はおよそ均一でなければならず……」
  こう定められていますが、条文の中の「およそ」がポイントで、多少のアレンジは認められているということです。

 昔のウッドラケットなどは、まさに「均一」を忠実に守っていましたが、カーボン化されてからはある工夫がなされるようになりました。かつてラケットの開発・販売をしていたヤマハが流行させた「センターフォーカス」は、ストリング面の中央部が「密」で、周辺ほど「疎」になるというものです。

 そもそもストリング面の中央部は高い反発性を発揮しますが、それに比べて周辺は反発性が低くなります。そこで、周辺のパターンを「疎」にすることで、中央部の反発性能に近付け、それを結果的に「スイートエリアが広い!」と謳ったのです。

 これがルール違反ではないと判断されたため、他社もこのパターンを取り入れて、現在でも広く利用されています。
  ストリングパターンについてはルール的に意外と緩いわけですが、明言されている違反パターンが「……中央部において他の部分より密度が薄くてはいけない」です。つまり先に挙げた「センターが密:周辺が疎」とは逆のパターンです。

 その理由については記されていませんし、実際に試したこともないのですが、おそらく「予想がつかない飛び」を生み出してしまうからではないでしょうか? 相手には普通に打っているように見えても、ボールを面のセンターで打てばものすごく飛び、ちょっとズラせば極端に飛ばない状況を演出することができるため、トリッキーな打球となるからではないでしょうか。

 まぁこんな張り方をすれば、ストリングはすぐに切れてしまい、打つ本人だってかなりの熟練者でなければ使いこなすことはできないでしょうけどね。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2021年2月号より抜粋・再編集

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