ーーツリーをご覧になっていかがでしょうか?
向井理(以下、向井):木は本物というか、生なんですね。こんな大きいツリーは初めて見ますし、こうやって舞台の世界観も踏襲していただいて、勝手に親近感が湧いてます。
石丸:舞台の中にこの時計が出てくるんですよね。タイムターナーと僕らは呼んでますけども、それがいろんなところに付いていて、この木に触ったら、どこか別の空間に行けるのかな、なんて。だから触らないように(笑)。

石丸幹二
ーー舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は世界中の60以上の演劇賞を獲得し、6都市で上演されている大ヒット作ですが、この作品のテーマや魅力を教えていただけますか?
石丸:はい。そうですね、この作品には数々の親子がでてきます。その親子がいろいろな愛を探しながら旅をしていくような話になっておりまして。それも世代を超えて、また時空を超えていろいろな人が繋がっていきます。『ハリー・ポッター』を本や映画でご覧になった方も、「あ、あの人たちがこうなるの!」。そんな瞬間が舞台ではご覧になれます。ぜひぜひご覧になっていただきたいと思っております。
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――ハリー・ポッター役は、実際に20種類くらいの魔法を使うということで、向井さんが好きな魔法は?
向井:コナー(・ウィルソン/演出補)にこれを言ったら怒られたんですけど、「アロホモラ」というドアの鍵を開ける魔法が好きで。扉が開くってすごく爽快な気持ちになりますし、劇中ではすごいインパクトでバーンと開くので、毎回気持ちいいですね(笑)。

向井理
――共演者の皆さんとのエピソードや雰囲気など教えていただけますか?
石丸:稽古場で皆さんと初めて会って、長い稽古を積んできました。2チームぐらいいますので、チームが入れ替わり立ち替わり、いろいろなコンビネーションでやってきたものが、いよいよ6月・7月と舞台に上がって、皆さんの前にお見せすることになったんですけども、そこからお客様の前で演じることによって、新たな刺激が加わって。
特に若い世代は、日ごとにぐんぐん個性を出しています。幕が開いたときから、ものすごい進歩を遂げて、毎日舞台をやっているんですね。それに刺激を受けて、僕ら大人チームもますますいろいろな技や表現が繰り出されてきて、一度見ただけではおいていかれますよ! また観なくちゃいけません。そのぐらい変化に富んでいる、そしてそんな仲間たちです。

石丸幹二、向井理(左から)
――舞台を作る皆さんが、出演者の方だけではなく技術チームも含めて本当に絆が深いなと感じますが、いかがでしょうか?
向井:やっぱり大きなカンパニーだと思いますけど、毎回やることのハードルがすごく高い分、本当に一瞬でも間違えるとショーストップがかかるような、結構繊細な……大胆かつ繊細な芝居なので、それを毎回毎回クリアしていくという感覚がみんなの中にあります。そういう意味では、本当に共演者とスタッフの関係もあり、戦友のような関係なのかなと感じています。

ホグワーツ魔法魔術学校4寮をモチーフにした4色のツリーがお目見え
――ロングラン公演ということで、体調を整えるために気をつけていることや、欠かさず行っていることはありますか?
向井:そうですね。とてもハードな舞台でして、ハリーだけじゃなく、セリフがあるなしに関わらずキャストみんな、スタッフも、走り回っている舞台です。稽古中にすごく体重が減ってしまって、とにかく食べてます。毎回体重が減るので、スタミナをつけるために食べないと、声が出なくなる。やっていることは壮大ですけど、人力でやってる部分もかなりあるんです。僕らもワイヤーなしで飛んでいますし、体幹も体力がないと乗り越えられないので、とにかく食べることを意識しています。
石丸:理くんも言っていましたが、体力維持プラス、自分の体のメンテナンスですね。始まる前にアドバイスをもらったんですが、今は楽屋のアイスバスに毎日入っています。(藤原)竜也くんもそれに入っている映像がありましたけれども、それに僕は毎日入って、クールダウンする。それからしっかり寝ることを怠らないようにしています。

クリスマスツリーの前に立つ、石丸幹二(左)と向井理
――クリスマスはお忙しくてなかなか楽しめないかもしれませんが……どういったことを楽しみたいですか?
向井:幹二さん、イブですよね。僕は25日ですから、ここにいます(笑)。
石丸:お客様をお迎えする側です。仕事ではありますけども、その空間を楽しんで過ごしたいなと思います。
向井:仕事というのもありますけど、これだけ大変な舞台なので、なるべく共演者と少しでも空気感を味わえたらいいなと思います。
――もし魔法が使えたらどんな魔法を使いたいですか?
向井:使えますよ。劇場の中だけですけど(笑)。すぐ疲れが飛ぶ……これをいうと、なかなか酷な舞台だと思われるんですけど、やっぱり本当に体力勝負なので、疲れない体がほしいですね。
石丸:できたら最高の舞台が毎日できる魔法を使いたいですね。もちろんお客様が喜んでくれるのを毎日僕たちも見ているんですけど、みんなで一つの作品をお客様と作り上げる時間が長く続けばいいなと。そういう魔法を使いたいです。
取材・文・撮影=五月女菜穂