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ブラインドサッカー日本代表にまた「アジアの壁」。失点0もパラリンピック切符は持ち越し

パラサポWEB

インド・コチで開催された「IBSA ブラインドフットボール アジア・オセアニア選手権 2022」。優勝すればパリ2024パラリンピックの出場権を得られる大会だった。東京2020パラリンピックに自国開催枠で初出場した日本代表は、これまで自力でパラリンピック切符を決めたことがない。16歳から44歳まで年齢もキャリアも幅広い選手たちが同じ「優勝」という目標を頭に描き、ONE TEAM(ワンチーム)を合言葉に挑んだが……。

新たな歴史をつくるために

東京パラリンピック以降、ブラインドサッカー男子日本代表を率いる中川英治監督は、インド出発の数日前、頭を抱えていた。出場チームは10ヵ国。5チームずつ2グループに分かれて総当たり戦を行うが、まだ試合日程が決まっていなかったのだ。

「僕らのチームはコンディショニングトレーナーや栄養士もいるし、他のチームと比べて分析力もある。日程が決まっていたら、もっと大きなアドバンテージになっていたんだけど……」

しかしながら、どんな状況でも、強豪の中国やイランに勝たなければいけない。日本代表は、2007年、2011年、2015年と3度、この大会でパラリンピック出場を逃がしている。前を向いた中川監督は「歴史は塗り替えるもの」と力強く語り、主将の川村怜も「インドという、いつもとは異なる環境の中で、チームとしても個人としても試合を重ねるごとに成長した姿を見せたい」と意気込んだ。

11月3日。日本代表は、他国より5日間ほど早く現地入り。やや傾斜のあるピッチ状況や壁に当たるボールの跳ね返り具合も入念に確認した。10日に行われた組み合わせでは、イラン(前回2位)、韓国(前回7位)、オーストラリア(初出場)、ウズベキスタン(初出場)と同組に。決勝で当たる想定の中国は大会3日目からの登場で6連戦となる。日本代表は緊張感に包まれながらも12日、大会初戦を迎えた。

守備の要であり、チームのムードメーカでもあるロベルト
©️IBF Foundation/H.Wanibe

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予選グループは、初戦のウズベキスタン戦で黒田智成が左足でゲットしたゴールを皮切りに大量得点で白星スタート。8月のフランス遠征で中川監督に攻撃センスの高さを見出された16歳の平林太一も公式戦初出場、初得点を決め、「緊張でボールを思うようにコントロールできなかった」緊張感から解き放たれた。「若いタイチの活躍で、チームが盛り上がっている」と最年長の佐々木ロベルト泉が言うように、チームは波に乗る。3試合目の韓国戦でハットトリックを決めた川村は「毎試合、違う選手が得点し、だれもがヒーローになれる。厚みのあるチームに進化している」と喜んだ。予選最終戦のイラン戦は、後半2分、最年少の平林が値千金のゴールを決めた。日本代表は、1-0で勝利し、これまで公式戦で勝利したことのなかったイランから白星を挙げ、同時に日本代表はグループ1位通過を決めた。

イラン戦で決勝点を挙げた平林は「左壁際でトモ(黒田)さんが僕にうまく落としてくれた。ディフェンスも後ろにいたので、思い切ってシュートした」

予選4試合全勝、24得点。特筆すべきは無失点ということだ。

3戦目の韓国戦は1点リードの場面でファウルを与えたが、佐藤大介がPKをセーブし、その直後に黒田が追加点を挙げるなど、いい守備でリズムをつくった。

さらに、イラン戦では、攻守の起点となる川村が運動量を落とさず走り切り、相手エースのべフザド・ザダリアスガハリと対峙。ボールがこぼれても、ロベルトが猛烈なプレッシングで相手にシュートを許さない。ポゼッション率61パーセントのイランに対し、常にコンパクトな陣形を崩さず、シュートをわずか4本に抑えた日本代表。「前半はパーフェクトな展開だったのでは」と中川監督も称賛した。

東京大会後、選手兼コーチとなった佐藤大介。韓国戦でPKを止めて勝利を呼び込んだ
©️IBF Foundation/H.Wanibe

ゴールに嫌われた準決勝

1日空けて迎えた17日の準決勝の相手は、前日の最終試合でインドに勝利したタイになった。試合開始は20時。地元の若者や視覚障がいのある学生が狭い観客席を埋めた。連日30度を超え、湿度の高いコチ。夜になると、芝が水滴を含み、滑りやすくなる。滑りやすいピッチに選手たちは手を焼いていた。

そんななか、タイは4人が自陣に引いて守る戦術を取った。平林や黒田が果敢にゴールに向かうが見事にシュートコースを塞がれる。前半のボールポゼッション率は66パーセントだったが、ゴールを割ることのできない日本代表の焦りは募る。

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