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芥川賞作家・今村夏子の、【信頼できない語り手】マジックがすごい

ホンシェルジュ

本好き芸人でnote芸人でもある、レッドブルつばささんによるブックセレクトコラム「今月の偏愛本 A面/B面」がスタート!A面では、今月買って読んで間違いなしの1作をパワープッシュしていきます。

第2回は2022年に映画化された『こちらあみ子』の作者でもある、今村夏子の芥川賞受賞作『むらさきのスカートの女』。作風の魅力を独自に解釈していきます。(編)

『むらさきのスカートの女』を一言でおすすめ

小説は、物語が無くても面白い!

 

この本を推す理由

今村夏子さんの小説の内容を説明するのは難しい。

物語の起承転結の面白さや、斬新なテーマが分かりやすく提示されているわけでもない。

何か大事件が起きるわけでもなく、一見すると少し変わった人物の日常の話を淡々と描いているようにも思える。

だが、理由が分からないままどんどん読み進められてしまう。

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読み終えた時の感情は“面白い”もあるが“凄いものを見てしまった”という方が近いだろう。

 

『むらさきのスカートの女』には、過去の今村さんのある作品に似た雰囲気があると個人的には思っている。

それは『こちらあみ子』に収録されている「ピクニック」という短編だ。『こちらあみ子』は今村さんのデビュー作で、私が初めて読んだ今村さんの小説でもある。

それまで小説は“物語を読むもの”だと思っていたのだが、それ以外にも小説の面白さはあるのだ、ということを考えるきっかけにもなった。

この作品を読んだ時、その時の忘れられない衝撃に近い感覚を味わうことができたのだ

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