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漫画家は地方に住む時代? 外部コンテンツに依存せず「漫画の創り手を生み出す」動きが活性化

Real Sound

 かつて、漫画家はデビューが決まれば、出版社が多い首都圏にアパートを借りるなどして、仕事をするのが一般的であった。ところが、昨今はデジタル化が急速に進み、地方で漫画を描くプロが増加している。アシスタントへの指示もリモートを通してできるためである。同様の理由で、地方にスタジオを置くアニメ会社も誕生している。

 これからの地方は、漫画やアニメの創造の拠点になり得る大きな可能性を秘めているのだ。日本が誇る文化が、地方から生み出される。実に魅力的な未来ではないだろうか。

 漫画に可能性を見出し、既に動き始めている自治体がある。その筆頭が熊本県である。熊本県は、『ONE PIECE』の尾田栄一郎の出身地であることから、もともと漫画への関心が高い土地であった。

 そんな熊本県の高森町内には、原哲夫や北条司の漫画作品で知られるコアミックスが、漫画家を育てるために造った寮がある。

 漫画家志望者を受け入れる体制ができており、そのうち、高森町の地域おこし協力隊員として広報活動に従事している人もいるという。漫画の能力を生かし、広報誌などに作品を発表するなど、地域に根差した活動を始めている。
 
 また、長野県佐久市では、『北斗の拳』の原作者として高名な武論尊の協力を得て、JR佐久平駅前に漫画塾を建設することが決まっているという。

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 これもまた、漫画家を地元から輩出するために造られる専用の建設だ。3階建ての塾棟のほか、2階建ての宿泊棟が完備されるという。現代のトキワ荘のような施設である。

  リアルサウンドブックでは、佐賀県唐津市で漫画を描き続けている『ちゃお』の漫画家、あまねあいに取材したことがある。あまねは、唐津の環境が創作にプラスになっていると語っていた。首都圏の喧騒から離れ、地方ならではゆったりした環境で創作ができるメリットは、想像以上に大きなものがあるようだ。

 いわゆる漫画を生かした地域活性化と言えば、作者の故郷や、アニメの舞台を巡ってもらう聖地巡礼に注目したものが多かった。これは外部から観光客を呼び、地元で消費してもらうことで活性化につなげるというものである。しかしながら、聖地巡礼は確かにアニメがヒットすれば経済効果は大きいが、ブームの衰退とともに訪れる人は減っていく。大河ドラマを使った活性化を見ればわかりやすいが、どうしても外部のコンテンツに依存した観光は一過性のものになりやすい。

 対して、熊本県高森町や長野県佐久市の例は、「漫画の創り手を生み出す」ことで活性化につなげようとするものだ。これは地元に新しい産業を作り、雇用を生み出し、人材を定着させる試みである。外部のコンテンツに依存しない活性化策として、極めて理想的な取り組みではないだろうか。こうした姿勢には筆者も共感する。地元で活躍する人材を育てることは、これからの地方にとって極めて重要なことである。

文=山内貴範

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