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佐野史郎語る「敗血症で死の覚悟」娘の版画が救ってくれた命

女性自身

 

「僕が高校生だった70年代、TBSの『白い影』というドラマで、田宮二郎さんが演じる主人公が多発性骨髄腫で亡くなる物語だったので、病名は知っていたんです」

 

LINEで《驚かせて悪いけど、多発性骨髄腫だった》と妻に報告すると、《気がつかなくてごめんなさい》という返事が返ってきた。

 

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「短いやりとりでしたが、お互い俳優という表現の仕事に関わっているので、僕には“この難局を乗り越えるためにも、冷静で、きちんと支え合える家族を演じ通しましょう”という決意にも受け止められたんです」

 

と、俳優らしい気持ちの切り替えをしたのだった。だからこそ、死の恐怖や不安に襲われることはなかったのだろう。

 

「俳優は与えられた役、シチュエーションを生きるのが仕事。患者に徹して、投薬など患者としてやるべきことをやっていると、余計なことを考える暇がないくらい忙しかった」

 

 

■あらたな血液のおかげで肌ツヤもよく髪も増えて

 

コロナ禍であったため、家族でも面会はできない。

 

「そのため、土曜日の夕食はお互い食卓にタブレットを置いて“リモート食事会”をしていました。病気の話題もあったけど、ほとんどが他愛のない日常の世間話です」

 

夫婦での穏やかな時間が癒しとなり、抗がん剤治療に移行できるまでに腎機能も回復していた。その矢先、敗血症になってしまった。

 

「解熱剤を飲んでも37度台に下がるのは1~2時間で、すぐに39度、40度に。医師も原因がわからないというので“もう治らず、半年後、1年後もこのままなんじゃないか”と思ったり、今回の治療で唯一、弱気になりました」

 

このときに力を与えてくれたのが、やはり家族の存在だった。

 

「版画家をしている娘(30)はクールなやつなんで『お父さん、がんばってね』というタイプではないんですが、ギリシャ神話に出てくる医療の神・アスクレピオスの持つ杖に巻きつく蛇、縁起物の南天の木などをモチーフにした版画作品を作ってくれてね。病室に飾っていて、これは相当の励みになったんですよ」

 

病状が安定し、昨年末に抗がん剤治療を開始。白血球や赤血球の数値をほとんどゼロにして、あらかじめ採取しておいた健康な造血幹細胞を自家移植したのだった。

 

「すると、あらたな血液が一から造られるんです。そのためなのか体質の変化もあって、肌ツヤがよくなったし、以前に比べて髪の毛も太くなって増えました(笑)」

 

新生・佐野史郎となり、現在は寛解と診断されている。

 

「『完治』ではなく再発の可能性も残されていますが……。でも考え込んでも暗くなるだけだから“なるようにしかならない”って考えていますよ。もちろん、仕事を続けられる喜びはありますが、生きているだけで十分です」

 

メガネの奥の目を細め、飄々として笑った。

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