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白人占めるワイン業界に新風を 黒人が参入 南ア

時事通信ニュース




【ステレンボッシュAFP=時事】これまで白人で占められていた南アフリカのワイン業界に近年、黒人がさまざまな障壁を乗り越えて進出している。≪写真は南アフリカの南西部フランシュフックにある自身の農園で、AFPの取材に応じるポール・シグカさん≫
ポール・シグカさん(41)もその一人だ。15年間お金をためて、南西部フランシュフックの農園を購入した。農園の名前「クライン・フダラスト」は、アフリカーンス語で「しばしの休息」を意味する。
シグカさんの母親はアパルトヘイト(人種隔離)時代に37年間、主要都市ケープタウン近郊のワイン生産地の農園で働いた。「農園で黒人労働者の子どもとして生まれると、その農家の次の労働力として育てられる」とシグカさん。
フランシュフックには、数百年の歴史があるブドウ畑が点在する。シグカさんは2019年に購入した「荒れ果てた」農園をリノベーションし、昨年オープンさせた。
有色人種の起業家の参入は土地の入手や資金確保が難しく、遅々として進まない。その結果、業界全体として、変化のペースを加速させようという動きが起きている。
スタートアップ向けの助成金やインターンシップを取りまとめる非営利企業「南アフリカ・ワイン産業変革ユニット(WITU)」のマネジャー、ウェンディ・ピーターセン氏は、リソースは十分ではなく、候補者間で少しずつ分け合わなければならないと指摘する。
WITUは新たな生産者育成のため、国内のワイン造り拠点となっているステレンボッシュに、テイスティングルーム「ワインアーク」を開設した。
ここで扱っているブランドに、2011年に南ア初の黒人のみが所有するワイナリーとして設立され、14年に最初のビンテージを発表したカルメン・スティーブンス・ワインズがある。
設立者のカルメン・スティーブンスさん(51)は、普通の生産者とは少し違っている。

■土地所有が最大の障壁
スティーブンスさんは、貧困やギャングで知られる地区ケープフラットで生まれ育った。母親は工場で働いていた。母はミルズ&ブーンの恋愛小説をよく読んでおり、ブドウ畑を舞台にしたものやワインにまつわるものが多かった。
スティーブンスさんが初めてワイン造りを学ぼうとした1991年、南アはアパルトヘイト政策が取られていた。入学を何度も断られたが、93年になり認められた。
スティーブンスさんの粘り強さは報われた。今年開催された南アのワイン・蒸留酒のイベントで、スティーブンスさんのソービニヨンブランを使った白(ワイン)と、母ジュリーさんの名を冠した新発売のロゼが計3個の金メダルを獲得した。
しかし、他の黒人のブランド同様、スティーブンスさんもブドウは域内の農家から調達しており、自分でブドウを栽培する土地は持っていない。
ワイン業界に参入する黒人にとって土地の入手が最大の障壁となっていると、シグカさんは指摘する。南アの人口の約8割を占める黒人の大半は歴史的に土地所有を制限されてきたため、「極めて政治的な問題だ」と話す。
黒人は土地の入手において、「上の世代や白人、一等地を購入する海外バイヤーとも競っている。米ドルやポンド、ユーロとも競争だ」とシグカさん。
障壁を乗り越えワイン業界に参入した有色人種のこれまでの道のりは、ほろ苦いものだ。参入には極めて時間がかかり、参入しても失敗できないというプレッシャーがのしかかる。
シグカさんは、「私たちが自由になってから28年あったのだから、もっと多くの黒人がワイン業界への参入を望んでいたはずだ」と語った。
ピーターセン氏によると、アフリカ最大のワイン生産国である南アには数百の生産者がいるが、黒人のブランドはわずか80余りにとどまっている。【翻訳編集AFPBBNews】

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