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戸田恵梨香&永野芽郁、『母性』難役を乗り越えた特別な絆。語り合う俳優としての現在地

MOVIE WALKER PRESS

戸田恵梨香&永野芽郁、『母性』難役を乗り越えた特別な絆。語り合う俳優としての現在地

ドラマ「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」で息ピッタリに先輩、後輩警察官を演じて視聴者を楽しませた戸田恵梨香と永野芽郁。実は「ハコヅメ」に先駆けて初共演を果たしていたという映画『母性』(11月23日公開)では、母娘役を熱演。想いのすれ違う壮絶な親子関係を体現し、それぞれが鬼気迫る演技を披露している。まったく違う作風の2作品で現場を共にし、かけがえのない存在になったという2人。『母性』の撮影を振り返りながら、お互いに寄せる信頼感を語り合うと共に、戸田が永野の年齢のころに抱いていた悩み、そこからの進化について明かした。

■「自分を奮い立たせるために挑戦した」(戸田)

累計発行部数120万部を突破した湊かなえの同名小説を廣木隆一監督が映画化した本作。“娘を愛せない母”、ルミ子(戸田)と、“母に愛されたい娘”、清佳(永野)。それぞれの視点である事件を語り、次第に食い違う2人の証言から、事件の秘密と母娘の関係性を描きだす。

――複雑な胸の内を抱えた母娘の関係性を見事に体現したお2人ですが、それぞれ引き受けるには覚悟のいるような難役だったのではないかと感じます。オファーを受けた時の感想を教えてください。

戸田恵梨香(以下、戸田)「脚本をいただいて、プロデューサーさんに『清佳役のオファーですよね?』と聞いてしまいました(笑)。『いや、ルミ子です』とおっしゃるので、『私がルミ子?まさか!』という想いでした。私はまだ子どもを産んだこともありませんし、ルミ子を演じるには経験不足。せめて学生時代や結婚して間もないころは演じられたとしても、娘が高校生になった時のルミ子はどうしたらいいのか…と大きな不安を覚えました。オファーをいただいた時にはプロデューサーさんから『あなたならできる。あなたしか思い浮かばない』と熱いメッセージをいただきましたが、あまり腑に落ちなくて。ただ、これまでにもお世話になってきたプロデューサーさんが丁寧に説明してくれて、『私に』と言ってくれるなら、なにかを見出すことができるのかもしれない。自分で演じることがあまりイメージできないような役柄はお断りさせていただくこともありますが、これは挑戦するべきなのではないかと感じて、自分を奮い立たせるために挑戦させていただきました」

――ルミ子は、自分を奮い立たせることが必要な役柄だったのですね。

戸田「ルミ子は理解し難く、共感や感情移入することのできない役柄でもあります。だからこそ感情でお芝居をするのではなく、理屈で突き詰めていかなければ成立しない役柄だなと感じました。自分の能力勝負だと、いまの自分に賭けてみるような気持ちでした」

――清佳も力強さと繊細さを持ち合わせた、とても複雑なキャラクターです。

永野芽郁(以下、永野)「私は脚本を読んでから出演を決めたのではなく、ルミ子を演じられるのが戸田さん、原作が湊かなえさんだと聞いて、それが決め手になりました。戸田さんとは、いつかご一緒したいとずっと思っていたんです。『やります』とお返事してから脚本を読んで、『あ、これは難しい役だ。どうしよう』と(笑)」

戸田「(笑)」

永野「清佳とルミ子は、私の知っている母娘像とはかけ離れた関係性でしたし、戸惑いもありましたが、清佳の内側にある強さや、母に対しての想いを自分なりに考えながら撮影に臨みました。とにかく戸田さんとご一緒できるだけでうれしかったので、『よし!戸田さんについて行けばいいんだ!』と思うことが、私にとって力になりました」

■「戸田さんに頼もしさしか感じていません」(永野)

――本作の撮影は、ドラマ「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」の前に行われたとのこと。本作が初共演となったお2人ですが、連続で共演を果たしたことでお互いがどのような存在になりましたか?

戸田「芽郁ちゃんに初めて会ったのは、『ハコヅメ』の(情報解禁用の)写真撮影だったんですね。私は先に『母性』の現場に入っていたので、芽郁ちゃんが『「母性」の現場はどうですか?』と聞いてきてくれたんです。写真を一緒に撮っていても、気さくで気負いがなくて、はつらつとしている感じがとても伝わってきて。芽郁ちゃんとならば、楽しく気負いなく、撮影ができそうだなと思えました」

永野「私は、『母性』の現場で戸田さんのお芝居を初めて目の当たりにして、自分の知っている戸田さんのイメージとはまったく違う戸田さんがそこにいて、本当にびっくりしたんです。普段の戸田さんのお人柄ともまったく違うし、圧倒されるような毎日でした」

戸田「『母性』は私たちだけでなく、キャストの皆さんが悩みながら、切磋琢磨しながら撮影をしていました。ある種みんなでお互いをフォローしながら、優しい空気のなかでルミ子に挑めたと思っています。不安や違和感を抱きながら試行錯誤していましたが、撮影中に母の日があって。芽郁ちゃんが、『母の日に』と言ってプレゼントをくれたんです。芽郁ちゃんが私のことを“母”として見てくれていたことで、大きな安心感が生まれました。そうやって『母性』で苦楽を共にしたので、『ハコヅメ』の時は気持ちも楽に、ものすごく楽しく過ごさせてもらいました!芽郁ちゃんは、『関西人ですか?』と思うようなギャグのセンスもお持ちなんですよ。年齢としては10歳くらいの差があるんですが、そんな歳の差も感じないような存在です」

永野「ええ!?ギャグのセンスですか(笑)!」

戸田「そうそう。長くこのお仕事をしていて、芽郁ちゃんはたくさんの苦労やしんどいことも知っているはず。それなのにいつも笑顔で、現場を和やかにしてくれる。私は真顔になるタイプなので(笑)、いつも芽郁ちゃんを頼りにしています」

永野「私こそ、戸田さんに頼もしさしか感じていません。いつも『戸田さんがいてくれたら絶対に大丈夫だ』と思わせてくれる方です。佇まいからパワーが伝わるし、お芝居の集中力もすごいです。周りのことを見ていないようでいて、ものすごくみんなのことを見ていて、なにかあるとさっと支えてくださる。私自身『清佳は難しい役だな』と感じていましたが、疑問に思ったことはすぐに戸田さんに相談して、母親の視点も交えながらいろいろと一緒に考えてくださりました。『ハコヅメ』でも『母性』でも、私はずっとちょこまかと戸田さんにくっついていたので、戸田さんがいないと、不安なんです(笑)」

戸田「昨年は長い時間を一緒に過ごしていたので、どこかお互い一緒にいるのが当たり前になっている(笑)」

永野「お母さん役が戸田さんじゃなかったら、乗り越えられなかったかもしれません」

■「SPECが、脚本との向き合い方について考えるきっかけになりました」(戸田)、「いま、“合う、合わない”を探しているところなのかなと」(永野)

――本作では、母と娘、それぞれの視点で過去を振り返ることで、お互いの気持ちのすれ違いや生じる誤解、彼女たちの不穏な関係性までが見えてきます。「どうしてわかり合えないんだろう」と見ていてもせつなくなるような母娘でしたが、お2人は人間関係を築くうえで大切にしていることはありますか?

戸田「私は、言葉足らずにならないように気をつけたいなと思っています。でもこれまでの人生において、『言葉が足りすぎて、相手にしんどい想いをさせている可能性もあるな』と感じることもありました。映画やドラマなどは、物語についてそれぞれの感じ方が違うからこそおもしろいものだと思いますが、人に対しては、誤解が生まれた時にきちんとそれを埋めるように努力することだったり、きちんと向き合うことが大事だなと実感しています」

永野「私も、言葉は大切にしないといけないなと思っています。自分が発する言葉も大切にしたいですし、私は誰かになにかを言われた時に、できる限りポジティブに変換して、自分自身を守ろうとしています。関係を育むうえで生まれた誤解や、傷つけてしまったことがあれば、きちんと向き合っていきたいなと思いながら、過ごしています」

――こうしてお話を伺っていても、戸田さんと永野さんがお互いに信頼し合っていることがひしひしと伝わってきてとてもステキだなと思います。戸田さんが永野さんくらいの年齢のころは、役者というお仕事にどのように向き合っていましたか?

戸田「本作の撮影当時、芽郁ちゃんは22歳だったんだよね。22歳というと、私はドラマ『SPEC』(〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿)に出演していたころです。当時はとにかく役作りや、役者としての幅を広げることに無我夢中になっていました。『成長しなければ』と必死になって、その想いにしがみついているような感じ。芽郁ちゃんのような心の余裕がなかったかもしれないなと思います」

――悩みの時期だったのですね。

戸田「悩んで、切羽詰まっている感じでした。でもそこで加瀬亮さんと出会い、真摯に作品に向き合う姿を見て、脚本との向き合い方について改めて考えるきっかけにもなりました。また『SPEC』に出演したことで、クセの強いキャラクターのオファーがものすごく増えたんです。すると自分のお芝居の長所や自分の好きな作風も見えてきつつ、一方で『短所としている部分を克服して、演じられる幅も広げて、深めていかなければ』と感じていました。その悩みが少しずつ解消できてきたなと思えたのは、本当につい最近のことです。やっぱり人それぞれに“合う、合わない”はあるし、無理にできることを広げる必要もないのかなって。人生にはそれぞれ自分の役割、役目のようなものがあるんだなとだんだん理解できるようになって、私も無理する必要はないのかなと思えるようになりました。ただ時には、本作のようにチャレンジすることも大事。そうやってきちんと考えながら、一つ一つの作品に向き合っていきたいです」

――永野さんは近年、やさぐれた女性を演じた『マイ・ブロークン・マリコ』や本作など、チャレンジングな作品が続いています。いま作品選びで大切にしていることは、どのようなことでしょうか。

永野「私はいま、“合う、合わない”を探しているところなのかなと感じています。自分が好きなこと、楽しいこと、大変だけれどやった時に達成感を味わえるものなど、いろいろなものに挑戦してみて、それに対して自分がどう感じるのかを探っているところなのかなと。私は本作で戸田さんと共演したことで、本当にいろいろなことを学ぶことができました。戸田さんは誰よりも脚本と向き合っている時間が長くて、自分の役以外のことについてもものすごく深く考えられて。脚本から、いろいろなヒントを得ているんです。初めて現場でお会いした時に、『そんなに脚本を読み込んできているんだ!』と驚きました。例えばセリフがないシーンでも、なぜそのシーンがあるのか、このシーンにはなにが込められているのかをものすごく考えていらっしゃる。演じるうえでは、誰もが“脚本を読む”というスタート地点は同じ。でも時間をかけて脚本に向き合うことで、こんなにも役への理解が変わるんだと強く感じました。2作品の撮影で戸田さんとご一緒できたことは、私にとって本当に貴重な経験になりました」

取材・文/成田おり枝

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