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60歳以降は「好きな食事を好きなように食べるほうが健康」の理由

日刊SPA!

60歳以降は「好きな食事を好きなように食べるほうが健康」の理由

 老後の健康が気になり始める60代。これまでの食生活をガラリと変えて、甘いものを控えたり、減塩食を始める方もいます。

 しかし、「60代以降の方は好きな食事を好きなように食べるほうが健康に良い」と高齢者専門の精神科医・和田秀樹さんは言います。<『60歳からはやりたい放題』より一部抜粋>

◆塩分不足は命を左右する

「塩分は血圧が上がるため、高齢になると控える」という人も多いのですが、医師としては2つの点から疑問があります。

 まず、血圧の高さが健康や寿命に関与しているかというと、まだわからない点がたくさんあるのです。少なくとも、年齢を重ねたら少し血圧が高いほうが、頭もはっきりすることは事実です。血圧が200を超えていたらさすがに高いとは思いますが、いわゆる160~170前後の高血圧であれば、正直そんなに気にしなくていいと考えます。

 もう一つ、ナトリウムは体にとってなくてはならない物質です。

 歳を重ねると腎臓のナトリウム貯留能(体にナトリウムをキープしておく力)が落ちます。若い頃であれば塩分を摂らない生活をしていても、腎臓からその代わりにナトリウムを排出しないようにできていたのですが、高齢になると塩分を摂っていなくてもナトリウムを排出してしまうため、低ナトリウム血症を引き起こしやすいのです。塩分の不足で起こる低ナトリウム血症は、重篤な場合は死んでしまい、軽度であっても意識障害の原因になります。高齢で車を運転する人などにとっては、塩分不足は命を左右する危険な問題です。

◆血糖値が高くないことの弊害

 加齢により、若い頃よりも糖分や塩分を欲する人が多いように感じています。その要因は、動脈硬化に原因があると私は考えています。

 さらに、動脈硬化が進む割合が高まり、血管内には脂質などがたまって、壁が厚くなり通り道が狭くなってしまいます。この場合、血圧が少し高めでないと、血液を通じて酸素が脳に運ばれません。同様に、血糖値が多少高くないと、低血糖になり、脳まで糖分がいきわたらないことも起こりえます。

 血圧や血糖値が高いほうが、体がよく機能するので、以前よりも甘いものや塩辛を好むようになるのです。塩分と糖分に関しては、節制しすぎると体に悪影響を与えます。ですので、少しばかり多く摂っても気にする必要はないのです。

◆「食べたいもの」は「体が欲しているもの」

 人間がおいしいと感じるもの。それは、甘いものや脂肪分があるもの、うまみ成分(アミノ酸)が含まれているものなどです。

 なぜ人間がこのような食べ物をおいしく感じるのか。それは、生物進化の過程で 「体に必要なものはおいしく感じるように進化しているから」です。

 たとえば、甘いものに多く含まれるブドウ糖がなくなれば、脳が働かなくなり、人間の生命活動は止まってしまいます。そういう意味で、人間の体にとって糖分は最も大切な物質だといえるでしょう。

 脂肪は体を動かすエネルギーとして欠かせないですし、細胞膜の生成や修復にも使われています。たんぱく質はアミノ酸に分解され、細胞の原料にもなります。

「今日は肉が食べたい」「今日は甘いものが食べたい」と感じるのは、体がその栄養素を欲しているからこそ。毎回は無理でも、たまには体の声をきちんと聞いて、食べたいものを食べる機会を積極的に設けてほしいものです。

◆節制しすぎは老化を早める

 高齢になればなるほど、「粗食であるほうが健康的に生きられる」として、玄米一食にしたり、菜食に切り替えたりする方も少なくありません。たしかに肥満は抑えられるでしょうが、低カロリー、低栄養、低脂肪の食事を続けていると、早く老けるという弊害もあります。

 それを踏まえた上で、私は60代以降の方は、好きな食事を好きなように食べるほうが健康には良いのではないかと思っています。食べることは人生における大きな楽しみです。私自身、老人ホームなどで多くの高齢者を見てきて、食を楽しみにしている方を大勢見てきました。

 節制しすぎて、食事への興味が失われてしまうと、肉体的にも精神的にも老け込んでしまいます。長生きのためにダイエットを続けていても、気持ちが鬱々としたり、心の病気になったりしてしまうのは、非常にもったいないことです。もちろん毎日ごちそうを食べるような暴飲暴食はおすすめしませんが、おいしいものを食べて、幸せな気持ちになるだけで、前頭葉には良い刺激になります。

 また、グルメな人ほど、脳が若々しいのか、いつまでも元気な印象があります。健康のために我慢して好きではない物を食べるよりは、無理のない範囲で自分の好きな物を食べて、脳にも体にもきちんと栄養を与えること。それが、一つのアンチエイジングだと私は思います。

◆健康な食生活に偏ることの危うさ

 テレビや雑誌ではよく、健康な食生活についての特集が組まれています。

「毎日〇〇を食べると健康に良い」
「△△を食べ続けたら病気が治った!」
「□□を食べると痩せる!」

 いかにも興味がそそられる表現で、ある特定の食材がクローズアップされることがあります。人気のテレビ番組が紹介した食材が、次の日、スーパーマーケットでいきなり品薄になることも珍しくありません。このように、食べ物が健康に与える影響を過大に評価したり、信じたりすることを「フードファディズム」と呼びます。

 私自身は、こうしたフードファディズムは健康に対して逆効果であると考えています。年齢を重ねるほど、栄養素には「足りない害」が増えてきます。ある特定の食べ物が健康に良いと聞いてそればかりを食べていると、栄養が偏ってしまいます。外食ばかりでも、なんでも食べる人のほうが長生きすると思います。

◆コンビニ弁当は悪くない

 コンビニ弁当は体に悪いイメージがありますが、幕の内系などはかなりの種類の食材が食べられる点に関して非常に優れています。自炊で使う食材がせいぜい5~6種類だとすると、自炊よりもコンビニ弁当や、外で食べるラーメンのほうが数多くの食材を使っていて、体に良い可能性が大きいのです。

 最近の60代は、コンビニ弁当や外食をすることに、「体に悪いのでは」「自分で作ればよかった」などと罪悪感を抱く人もいるかもしれませんが、疲れて食事の用意をする気力がないとき、コンビニ弁当や外食に頼るのは決して悪いことではありません。むしろ、「今日はたくさんの食材を食べられてよかった」と思えば、罪悪感も減るのではないでしょうか。

 では、日々の生活でどんなものを食べたらいいのでしょうか。

 私が敬愛するクロード・ショーシャ博士は、ジャッキー・チェンや後藤久美子などのセレブを何人も顧客に抱えるアンチエイジングの第一人者です。彼が語るアンチエイジング理論には、「タイムリー・ニュートリション」という考え方があります。これは、臓器にはそれぞれ活動している時間と休んでいる時間があるため、活動時間に合わせた食事をすることで、内臓負担や細胞の炎症が減るというものです。

 この理論では、朝食と昼食、間食、夕食とそれぞれの時間帯で臓器の活動に合った食事を取ることを推奨しています。

◆望ましい朝昼晩&間食のモデル

【朝食(7~9時)】
 朝は肝臓が活発になり、脂肪を代謝してたんぱく質の合成が進む時間帯です。そのため、朝食は一日のエネルギーのもとになる脂肪と、新たな細胞の原料となるたんぱく質を摂ることをおすすめします。

 たとえば、たんぱく質と脂肪が豊富な卵や魚、鶏肉など。また、エネルギーを燃焼させるためには、少量の炭水化物も必要になるので、ご飯1膳やパン1枚くらいの炭水化物を摂取するのが望ましいです。

 できれば、抗酸化物質を含むトマトやパプリカ、ほうれん草などの野菜も一緒に取れるとベストです。

 朝はコーヒーとパンなどで済ませる人も多いかもしれませんが、朝は膵臓の動きが活発ではないので、糖分を分解するインスリンの働きが十分ではありません。砂糖を入れたコーヒーや、ジャムをたっぷり塗ったパンのように糖質の多い朝食は、体には負担になります。

【昼(12~14時)】
 肝臓がまだ活発に動いている時間帯なので、たんぱく質をしっかり摂ることが重要です。なお、たんぱく質は脂肪を燃焼させるグルカゴンというホルモンの生産にもかかわっています。脂肪を燃焼させたい人ほど、しっかりたんぱく質を摂取するべきでしょう。

 なお、一日に摂るべきたんぱく質の量は、赤身肉なら「身長(cm)+100」。白身肉なら「身長(cm)-40」で計算できます。身長170cmの人であれば、赤身肉ならば170+100で270グラム、白身肉なら170-40で130グラム取ることができます。

「意外と多い!」とびっくりされるかもしれませんが、この量をできれば一日で朝と昼で分散して食べるのが理想的です。

 もう一つ大切なのが、野菜です。特に生野菜はビタミン類や酵素が豊富で、代謝のサイクルを助けてくれます。昼間にサラダをたっぷり食べる際は、オイルにエキストラバージンオリーブオイルを選ぶのがポイントです。

 炭水化物も、効率の良いエネルギー代謝を促進してくれるので、適量摂るのが望ましいです。

◆食べる順番が重要に

【間食(16~17時)】
 夕方は膵臓の動きが活発になり、インスリンの分泌が高まります。そのため、甘い物を食べても膵臓の負担が少なくて済むため、最も太りづらい時間帯だといえるでしょう。

 なお、前出のショーシャ博士が間食としてすすめるのは、抗酸化作用のある食べ物です。特によいのが、カカオ成分が70%以上のダークチョコレートです。カカオは、抗酸化物質を作りだす上に、セロトニンやドーパミンの生産にもかかわってくれます。

 そのほかによいのが、リンゴやブルーベリー、イチゴ、オレンジなどの抗酸化作用がある果物類です。果物はお菓子などと違って、インスリンを急激に分泌させることもないため、理想的です。

【夜(19~21時)】
 夜になると肝臓の代謝機能が弱まるため、できるだけ肉類は減らすのがベターです。脂肪を摂るならば、エキストラバージンオイルや脂ののった魚などがおすすめです。膵臓の動きも落ち着くため、砂糖や炭水化物、果物類は、心もち控えたほうがいいでしょう。なお、アルコールは糖質なので、血糖値を急上昇させます。ただ、「夜はアルコールを飲みたい」という方も多いはずです。飲むお酒は、抗酸化物質であるポリフェノールが多く含まれている赤ワインなどが理想的ですが、何のお酒であれ、水を合わせて飲むことで、血糖値の急上昇を抑えられます。

 夜は、腎臓の代謝機能が上がり、日々の肝臓や膵臓の代謝で生まれた老廃物を排泄してくれます。腎臓の機能を促進するためにも、できるだけ水分を多く摂るのが望ましいです。

 また一回ずつの食事での食べる順番も重要です。食事は、できるだけ野菜やたんぱく質から食べましょう。

 なぜかというと、食べ始めに炭水化物を摂ると、血糖値がぐんと上がり、インスリンが大量分泌されます。すると、食事の間に血糖値が上がりづらくなってしまうのです。血糖値が激しく乱高下するため、内臓に負担を与え、細胞の炎症につながります。

 イメージとしては、懐石料理の食べる順番が望ましいです。和食の場合、最初に野菜や魚介類を使った先附が出て、刺し身や焼き物、そして、油を使った揚げ物から食事へと移行します。このようにたんぱく質や野菜からゆっくりと食べると、血糖値は緩やかに上昇していくので、内臓にも負担をかけづらいです。

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