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「修業は0日、YouTubeで寿司の握り方を覚えた」日本1バズる寿司屋大将の想い

日刊SPA!

「修業は0日、YouTubeで寿司の握り方を覚えた」日本1バズる寿司屋大将の想い

 いま、日本で1番「バズっている」寿司屋がある。「有楽町かきだ」は、創業わずか1年未満にして、超予約困難。Twitterではツイートが1万件以上いいね!やリツイートされ、毎日予約のDM(ダイレクトメール)が200件以上届くという。

 そんな同店で寿司を握る大将の蛎田一博(かきだかずひろ)さん……じつは、本業は転職エージェント。今期で7周年を迎える株式会社ユニポテンシャルの社長を務めており、自らを“転職大将”と名乗る。

 まったくの畑違いにもかかわらず、彼はなぜ、いきなり寿司屋をオープンさせたのだろうか。

◆まかないの海鮮丼が社員や取引先に大好評

「コロナ禍で会社が暇だったんで、毎日釣りに行って。釣れた魚をまかないの海鮮丼として社員に出したのがはじまりです。社員の数が多すぎて、僕の釣る魚だけじゃ足りなくなってしまった。

 そこで知り合いの卸業者に豊洲市場に連れていってもらって、魚の仕入れを覚えたり、YouTubeで魚のさばき方をみて研究したりしていくうちに、海鮮丼のクオリティがどんどんあがって。さらにそれがいつの間にか話題になって、取引先の企業に『うちにも作りにきてよ!』と頼まれるようになりました」

 出張海鮮丼は大好評。次第に大将は「ラーメン二郎のような店を作りたい」と考えるようになったと話す。

◆「ラーメン二郎のような店を作りたい」

「ラーメン二郎の総帥(山田拓美氏)をリスペクトしてるんです。あんなに美味しくて安くて大盛り。そりゃ行列になりますよ。だんだん海鮮丼でラーメン二郎のような店をやってみたらどうだろうかって、欲がでてきたんです」

 “どうせ作るなら絶対に行列店にしたい!”と考えた大将だったが、それはいとも簡単にかなってしまう。

「ランチの海鮮丼のみではじめたんですが、すぐに開店1時間前から30人も待つ店になってしまって。こんなにすぐに目標を達成できるとは思わなかったから、やりきった感がでてしまいました」

 毎日行列は増えていき、そのまま続けていけば順風満帆だったはず。だが、大将はわずか10日で海鮮丼のランチ営業をやめる決断にいたる。

「もともとは1年限定で安く借りれた店舗なんです。1年しかないし、僕の趣味ではじめただけだし、別に儲からなくてもよかった。寿司屋だけにネタといいますか(笑)。週1でも週2でも好きなお客さんだけいれて“寿司”を握ってみたいな、という気持ちが芽生えてきたんです」

◆修行は0日、YouTubeで学んだ見様見真似の「寿司」

 海鮮丼にとどまらず、突然“寿司を握ってみたい”と思った大将だが、驚くことに修業は0日。誰に教わることもなく、YouTubeを見ながら見様見真似で握ったという。

「僕は修業していないのに寿司を握っている自分のことを偉いとかすごいとか全然思っていません。10年修業した大将がいる寿司屋と真っ向勝負しても絶対に勝てないし、そもそも戦う気もない。同じ寿司でも全く違うものとして考えて欲しいです」

 一般的に高級といわれる寿司屋はコースで2万円以上するのはザラ。さらに握りの追加をしたり、お酒を飲んだりすると、料金は跳ね上がってしまう。

「ぶっちゃけ、おかわりできない人って多いですよね? “値段がこわくてできない”みたいな。コースで2万、3万もする店で追加の握りを頼んだら、1巻3000円なんてケースもある。

 フードファイターとまではいかなくても、かきだでは『もう一巻食べたいけど我慢しよう』『もう少し飲みたいけど、お会計がこわいからやめよう』という思いをしてほしくない。そういう気持ちを味わわせたくないんです」

◆高級寿司屋との差別化「いい意味でこだわりがない」

 少し背伸びをしながら食事を堪能するのが高級寿司屋だとすると、かきだはラフな雰囲気を出し、リラックスして食事を楽しんでもらうことを意識している。

 店内でゲラゲラ笑ってもよし、子供が泣いていてもよし。それが大将いわく「寿司の修業をしていない僕だからこそできる強み」だという。

「とにかく居心地のいい空間にしたい。いい意味でこだわりがないんです。初めてカウンターで寿司を食べる人にも、子供連れのファミリーにも、安心して美味しい寿司をお腹いっぱい食べてもらいたい」

 大将のTwitterには、毎日笑顔の写真がアップされているが、それも高級寿司屋との差別化が目的で「あえて」なんだとか。

「いいお寿司屋さんの大将ってドヤ顔が多い。とくに公式の写真とかはみんなキリっとしてる。そりゃそうですよ、何年も修業していたらドヤ顔するのもわかる。僕も最初は大将っぽいドヤ顔をしてましたが、修業0日なんだから笑顔のほうが合ってる気がするな、と」

◆住所非公開で2店舗目と焼肉屋をオープン予定

 オープンしてすぐ予約困難になるほどの人気店になってしまったがゆえに、ほかの寿司屋からのやっかみなどを受けたりはしなかったんだろうか。

「それが全然なんです! もしかしたら、いわれてることもあるかも知れないけど、僕の耳には入ってきてないです。むしろ僕がプライベートで行く寿司屋の大将は『すごいね!』って褒めてくれますよ。素直に嬉しいですし、やっぱり差別化したのがよかったんだと思います。お互いに全くライバル視してないからいいんでしょうね」

 現在の店舗での営業は1年の期限付きだったため、残りわずか。来年1月には住所非公開ではあるが、2店舗目の「有楽町かきだ」、そして「焼肉かきだ」もオープンする。続けて「大きく2つのミッションがあります」と目を輝かせる大将。だが、それは拡大移転のことではないという。

◆地方の生産者を応援したい

 まず1つ目は、SNSの発信力を使って“地方の生産者を応援する”こと。

「この前、出張で福島県の被災地である浪江町に行ったのですが、仲卸、酪農家、酒蔵にお邪魔させてもらって、生産者の“想い”を聞かせてもらいました。たとえば、福島牛。放射線量をしっかり測ってクリアしてるのに『福島の牛はちょっと……』と風評被害を受けて選ばれないこともある。おかしいですよね? ちゃんと測ってるんだから大丈夫なのに。そういうネガティブを、SNSの発信力を使ってポジティブにしていきたい。

 他にも野菜の育て方や魚の釣り方にこだわっているという生産者さんは多いのですが、食べる人にはイマイチ魅力が伝わってないから、色んな地域をまわって僕がかわりに伝えていけたら、と考えています。ただ美味しい寿司をお腹いっぱい食べられるだけではなく、生産者の“想い”のある食材を厳選して、ちゃんとストーリーを伝えられるような寿司屋になりたいです」

 今後も全国各地の生産者のもとに足を運んでいく予定だという。

◆2年後の海外進出を視野に

 そして、2つ目のミッションは“世界を目指す”こと。

「2年後を目処に僕はL.A.に行く予定です。日本ではある程度、寿司屋として認知されたので、次は世界で同じことをやっていきたい、という展望が僕のなかで出てきてしまった。有楽町かきだの僕のスタイルをL.A.に、世界に伝えていきたい」

 現在は英会話のレッスンをスタートさせ、海外向けのYouTubeやTikTokの制作にも力を入れていくそうだ。

「寿司屋しかやってなければ海外進出なんて考えなかったと思います。でも僕にはビジネスマンとして営業や経営の経験があるし、コミュニケーションをとるのも得意だから。寿司屋以外の経験を活かしていけるという自信がある。それに、寿司だけじゃなくて日本の文化ももっと広めていきたい。世界をとりにいきますよ!」

 日本で1番バズっている寿司屋が世界でバズる日もそう遠くないだろう——。

<取材・文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。『bizSPA!フレッシュ』『BLOGOS』などでも執筆。Twitter:@sally_y0720

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