top_line

【 最新ニュースをアプリでサクサク読むなら! 】

『PICU』吉沢亮と大竹しのぶの掛け合いに引き込まれる 安田顕が家族のために担った役割

Real Sound

『PICU 小児集中治療室』©︎フジテレビ

「僕たちがやれることはあるところまでは人間の仕事なんだけど、あるところから先は神様の領域でどんなに頑張っても辿り着けない」

参考:『PICU』が描いた“治療”の在り方 柊木陽太の心のバリアを溶かした吉沢亮の信じる力

 “しこちゃん先生”こと志子田(吉沢亮)とその母・南(大竹しのぶ)との掛け合いが圧巻だった『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)第7話。

 PICUに運び込まれた初患者で救命の叶わなかった神崎鏡花(磯村アメリ)と同じく、緊急腹症を発症した須藤七海(宮崎莉里沙)の受け入れを決める。志子田の記憶にずっと残る自分の腕から力なく振り解かれてしまった鏡花の手と飛び散る血しぶきが脳裏を過ぎるが、彼の咄嗟の判断で七海は手遅れにならず、必要な処置を迅速に受けることができた。「亡くなったから話すんです。人間が一人死んでしまったから、まだ皆の記憶が新しいうちに正しい情報が集められる今のうちに考えるんです。どうしたら助かったのか、次に同じことが起きたら確実に助けられるように、僕たちは経験を自分の血と肉にするために話すんです。分析するんです」とは第1話で科長の植野(安田顕)が話していたことだが、まさにそれが実践されている。

 しかし、七海にはまた別の問題があった。両親による“医療ネグレクト”だ。子どもに必要な医療を受けさせない虐待の一種だが、結局彼らには娘がPICUに運び込まれている状況だというのに連絡さえつかない。激しい痛みに襲われ、目覚めたら知らない場所で知らない人たちに取り囲まれているなんて、大人でも不安でしかたないシチュエーションなのに、子どもがそんな事態に一人耐えていると思うと心が痛む。しかし常に冷静に“最悪のケース”を見越して、植野らはもし万が一両親が面会を希望しても謝絶する方針を決め、児童相談所とソーシャルワーカーと連携し、退院したら施設に預けられるように手配する。ここでも薬の投与や手術などの医療行為だけに留まらない“治療”が施された。ちなみに、七海役の宮崎は、『#家族募集します』(TBS系)で木村文乃演じるシングルマザーの娘役を演じており、本作では医師と患者という関係で共演を果たした。

広告の後にも続きます

 そして必要な治療を子どもに受けさせない親の存在と共に描かれたのが、子どもに自身の病状を隠し通そうとし、一人静かに、だけれども頑なに治療しないことを決め込んでしまっている母親・南の姿だ。息子の前では“軽い膵炎”の一点張りだが、もちろんそんな嘘は突き通せるはずがない。この親子の押し問答が非常にリアルだった。親子だからこそ“言い出したら聞かない”ことくらい互いに嫌というほどわかっているからこそ、簡単には引かないことも承知の上で、それでも両者ともに言葉を重ねていく。志子田は医者でありながら最も近くにいるはずの母親の異変に薄々気づいていながらも決定的に探ろうとはしなかった自分のことが何より情けなく不甲斐なくやるせないのだろう。自分のことを責める言葉ばかりが次から次に思い浮かび、南に何とか治療を受けさせたいという気持ちばかりが先立ってしまう。そりゃあそうだ、この状況下で誰も冷静でなんていられない。南役を演じる大ベテランの大竹については言わずもがなだが、彼女のペースに飲み込まれずに対等に力まずやり合えている吉沢の自然な演技に引き込まれた。

 植野は「ご家族の代わりに冷静な判断をするために医者がいる」というようなことを話していたが、まさに彼自身がその言葉通りの役回りをしこちゃん親子の間でも担ってくれた。詳しく明かされることはなかったが、南の中にある「がん治療にまつわる嫌な思い出」とはどんなものなのだろうか。志子田が幼い頃に亡くなった父親の死と関係があるのだろうか。膵臓癌で、かつ骨転位も見られる南の「とにかく痛い」という言葉に身が裂かれる思いがしたが、その弱音一つさえ自分の前では吐き出せず我慢させてしまっていたことに気づいた志子田も同じように苦しく辛かっただろう。

 次週は心臓移植を望むも感染症にかかってしまい、それこそ“神様の領域”の一歩手前にいるような圭吾(柊木陽太)に、志子田らPICU がどう向き合うのかが描かれそうだ。(佳香/かこ)

TOPICS

ジャンル