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高校の授業で読んだ絵本『はじめてのおつかい』に込めた2つのメッセージ

幻冬舎ゴールドライフオンライン

いくつもの成功と失敗を重ねて成長してきた大人たちへ――。30年以上にわたり教壇に立ち続けてきた著者が、成長の機会を十分に提供できる理想の社会について語る。教育関係者、教員を志す学生、そして保護者必読の一冊。※本記事は、神田厚氏の書籍『子どもがおつかいに行ける社会 「挑戦の機会」を守る教育を!』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

【前回の記事を読む】周りの大人たちの神対応に思わず脱帽!幼い娘の「偽札事件」

第1章 おつかいとは?

5 『はじめてのおつかい』で高校生に伝えたこと

2012年2月22日、商業高校で2年生の担任をしていた私は、自分のクラスの授業で『はじめてのおつかい』を読みました。科目は『簿記』。恐らく大部分の読者の方には馴染みのないものでしょう。私も大学の商学部に入学して初めて学んだ科目で、商業科の専門科目の1つです。

『簿記』では今日の企業会計を支えている複式簿記を教えます。簡単に言えば会社のお金の出入りを記録・計算・整理して、会社の経営成績(いくらもうかっているのか?)や財政状態(財産がいくらあるか?)を明らかにする世界共通の手法です。

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「ビジネス界の共通言語」とも言われる『簿記』は、外国語と同様に、その理解度を保証する検定試験があります。この検定試験の中で一番存在感を示しているのが、日本商工会議所が主催する『日商簿記検定』。恐らく、書店に並んでいる受験対策本の90%以上が日商簿記をターゲットにしたものでしょう。

しかし、このメジャーな検定試験を商業高校では最初の目標とはしません。高校で使っている教科書に準拠した出題ではないことと、試験が高校生の学校生活に必ずしも都合のいい日程ではないからです。

商業高校では生徒の理解度の目安として、全国商業高等学校協会が教科書に準拠して実施する『全商簿記検定』を使っています。試験日は毎年1月の第4日曜日という点でも、年度の学習成果を測るのに最適な場なのです。

さて、2月22日の『簿記』の授業は1月末の検定試験も終え、合格発表も済んだ後で、当該学年の学習範囲も完全に終わっている状況でした。更に、前の週には、高校時代の最大のイベントである沖縄への2泊3日の修学旅行も終えていました。ここで簿記の復習を重ねるよりも、担任として彼らに伝えるべきことがあるのでは? と考えた末に選んだのが『はじめてのおつかい』を読むことでした。

この絵本を取り出した時、生徒から期せずして、「やった~!」という声が……高校生に絵本を取り出して、「やった~」と言わせることができたのは、かなり嬉しかったです。(“授業よりもまし!”という意味だったかも知れませんが……)

私がこのクラスで絵本を読むのは6冊目でした。もうすぐ学年末考査。それが終わるとクラス替えをして、いよいよ進路選択の3年生に進級していく……そんな彼らに、私はこの絵本を通して“人生には勇気を持って踏み出さなくてはいけない瞬間がある! 未知のことに勇気を持って踏み出して行って欲しい……”というメッセージを伝えたのです。

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