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世界の野球ファンのハートをつかんだスタイル 仙台大・辻本倫太郎のNo.1ショートを目指す戦い

週刊ベースボールONLINE

プレー以外の姿勢を大事に



仙台大・辻本は国学院大との明治神宮大会2回戦[11月19日]の6回裏、左越えソロアーチ。2点差に追い上げる豪快な一発だった

 侍ジャパン大学代表は今年7月に出場したハーレムベースボールウイーク2022(オランダ)で4位だった。毎回、同大会のスタンドはお祭りムードで、野球観戦を楽しむ多くの観客で埋まる。目の肥えた現地ファンのハートをつかんだのが仙台大・辻本倫太郎(3年・北海高)であった。

 鉄壁の守備力と、シュアな打撃で初の代表入り。本大会ではベンチを温める機会が多かった。24人という限られたメンバーで、バックアップ要員もやるべき役割はたくさんある。

 辻本は日本チームのベンチサイドに座り、攻撃時のサポート役を買って出た。味方が安打で出塁した際など、全力疾走でエルボーなどを一塁まで取りに行き、すぐさま、猛ダッシュでベンチへと戻る。このスピーディーな対応が観衆の目を誘い、スタンドは拍手喝采。背番号2・辻本は一躍、人気者となった。ファン投票によるMPP(最も印象に残った選手)に選出されたのである。

 日の丸を背負ったから出た行動ではない。辻本は常日ごろから、プレー以外の姿勢を大事にしている。国学院大との明治神宮大会2回戦(11月19日)でも、自らのスタイルを貫いた。攻守交代は全力疾走。特に自軍の攻撃を終えて守備に入る際、三塁ベンチから飛び出すトップスピードは驚愕だった。背番号1はとにかく、グラウンドで目立っている。

 その意図を、辻本はこう明かす。

「早くポジションへ行くことで、次のイニングの準備をするんです。また、そういう姿を見たときに『良い選手だな』と思ってもらえる。いつも変えずにやっていることです。チームに良い流れを持ってくる目的もあります」

 仙台大・森本吉謙監督は辻本を「学生野球の見本」と一目を置く存在であり、今夏の国際大会を通じての成長を認める。国学院大との2回戦では、3点を追う6回裏に左越えソロ本塁打。4点ビハインドの9回裏には、先頭打者として初球をたたいて、中前打を放った。後続の3人が凡退して2対6で敗退したものの、持ち味である遊撃のディフェンス力を含め、最後まで全力プレーを貫いた。

 目標の「日本一」に届かず、悲願は最終学年となる2023年に持ち越しとなった。

「今回の神宮を一つの『経験』だけでは終わらず、来年は春、秋とも連覇(日本一)で終わりたいと思います。全体的にもう一つ、二つ上げていかないといけない。打撃のほうに意識して、チャレンジしていきたい」

 長打も期待できる、右打ちの遊撃手。毎年のように、出てくる素材ではない。プロ球団の補強ポイントと合致すれば、ドラフト上位で指名される可能性も十分にある。辻本が言う23年のNo.1ショートを目指す戦いは、すでに始まっている。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
 
   

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