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「参ったか」マンボウは旨くない!しかし翌日食べたものは…

幻冬舎ゴールドライフオンライン

※本記事は、株式会社メイコー・エンタプライズ代表取締役・佐々木明廣氏の書籍『居酒屋 千夜一夜物語』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

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第三章 東京

一味とめ

(一)三茶の奥座敷

その夏はモスクワ出張前に愛艇、シーガル三号を購入し出張から帰ったら進水式を執り行おうと仲間と決めていた年であった。ようやく帰国が決まり霧雨の降りしきる薄暗いシェラメチェボ空港を飛び立った私は十数時間シベリア上空を飛び続け、気圧が下がり始めたのに気がついて目を覚ました。

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下を見ると飛行機は既に日本海に入っていて太陽が明るく輝き、眼下に真っ青な海が広がっていた。今日は佐渡島が見えると直感し、目を凝らしていると真っ青な海に幾筋もの白い曳航が見え始め、その先にはまさに特徴のある島の姿が見えてきた。恐らく寺泊或いは新潟港あたりから島に向かうクルーザーなのであろう。

今年は梅雨前線が南に下がり北から梅雨が明けるパターンなのか、日本海側は既に梅雨が明けているようで今年も遂に私の夏がきたことに胸が躍った。ロシアの大地が冷え切り、薄暗く霧雨が降っていたモスクワに比べて日本の海の何と明るく美しいことか。その情景を語ると彼はしみじみと故郷を思い出したのであろうか、以来特別な感情で私に接するようになった。

ある日おばちゃんが

「マンボウ入ったよ」

と大声出して客の注文を煽っている。私はかつて網代でマンボウが揚がった時、艇で熱海の料亭に乗りつけて食したことがあったが、その水っぽさと生臭さが残るのが嫌でその後食したことがなかった。

マンボウは重量があり、安いのでおばちゃんは珍しさもあったのか切り身の一部を仕入れたのであろう。一方、工藤君は仕入れたマンボウを刺身にしてまあ食べてみなと言って強い薬味を添えて臭みを抜き出してくれたがやはり旨いとは言えない。

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