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世界初、幅広いドナーから集められた便移植が正式に承認される(オーストラリア)

カラパイア


 健康な人の便に含まれる腸内細菌を患者の消化管に移植する「便移植(便微生物移植)」は、消化管疾患だけでなく、双極性障害皮膚がんなど、様々な疾患に効果があるとして研究が進められている。

 そんな中、オーストラリアでは、便移植による治療法が正式に承認されたそうだ。

 幅広いドナーから集めた、いわば「便バンク」の便移植が承認されたのは世界初で、消化管疾患を抱える大勢の患者にとっては画期的なことであるそうだ。


抗生物質の服用者に起きやすい感染症「偽膜性大腸炎」

 「クロストリディオイデス・ディフィシル」は、命に係わる下痢や大腸炎を引き起こす「クロストリジウム・ディフィシル感染症(偽膜性大腸炎)」を引き起こす。とりわけリスクが高いのは、何かの病気で抗生物質を服用している人だ。

 抗生物質を服用している最中や服用後1ヶ月の間は、C・ディフィシル菌に感染する危険が7~10倍高くなる。なぜなら、抗生物質は病原菌を殺すだけでなく、健康を守ってくれる善玉菌までをも殺してしまうことがあるからだ。

 従来の治療法は、誘因となっていると思われる抗生物質や抗がん剤等の使用を中止し、それでも改善されない場合は、C・ディフィシル菌に有効な抗生物質を投与していた。

 だが、腸内の細菌の耐性を強めてしまったり、神経毒性により再発時に繰り返し使用することや長期に使用することは避ける必要があった。

 そこで健康な人の便を移植して、抗生物質で台無しになってしまった腸内の細菌バランスを回復させようというのが、オーストラリア保健省薬品・医薬品行政局から正式に承認を得たバイオームバンク社(BiomeBank)の狙いだ。

photo by iStock

健康な人の便の健全な腸内細菌を患者の消化管に移植

 健康な人の便には健全な腸内細菌が含まれている。これを飲み込んだり、大腸に直接注入したりすることで、崩れてしまった腸内細菌のバランスを回復させることができるのだ。

 バイオームバンク社の糞便移植治療法「BIOMICTRA」は、ドナーから提供されたうんちを注射器に入れ、内視鏡で腸内を確かめながら注入するというものだ。

 同社ではカプセルや錠剤として飲み込むタイプの治療法も開発しているが、現時点で承認されているのは、この浣腸タイプのみだ。

 だが浣腸タイプには、錠剤・カプセルタイプにはない長所もある。それは素早く大量にの便を移植できることだ。

 バイオームバンク社の最高技術責任者サム・フォルスター氏によると、仮に数百ミリリットルほどの便を投与したい場合、その量は普通のコップくらいになるそうだ。それを口で飲み干すのはさすがに抵抗があるだろう。

photo by iStock

幅広いドナーから集められた便移植としては世界初

 なお、ただの便移植治療ならアメリカでもすでに承認されている。

 ただしアメリカの場合、便を移植したい患者は、ドナーを自ら探さねばならない。そして何か事故があっても、それは自己責任だ。

 一方、オーストラリアでは、より幅広く募られたドナーからの移植が承認された。いわば「便バンク」のようなもので、その点で世界初の画期的なことなのだ。

 便を提供するドナーは、さまざまな人が選ばれるはずだ。というのも、あらゆる患者に対応できる”最高の1本”なんて便は存在しないだろうからだ。

 それは特殊なトイレで回収されて、便を必要とする患者の元へ届けられる。便移植の恩恵を受けることができる大勢の人にとって、幸ウンなニュースであることは間違いない。

References:Australia gives world-first regulatory approval to fecal transplant therapy / written by hiroching / edited by / parumo

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