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米国の利上げで住宅バブルが崩壊する~森永卓郎『経済“千夜一夜”物語』

週刊実話WEB

森永卓郎 (C)週刊実話Web

米国の連邦準備制度理事会(FRB)が11月2日に公開市場委員会を開き、政策金利を4回連続で、通常の3倍となる0.75%引き上げることを決めた。

これで米国の短期金利の目標は年3.75〜4.00%となった。会見でFRBのジェローム・パウエル議長は、次回12月の利上げで引き上げ幅を縮小する可能性があることを示唆する一方、最終的な政策金利の水準がこれまでの予想より高くなるとの見通しを示した。つまり、小幅な利上げが延々と続く可能性があると主張したのだ。金融市場は12月の利上げが最終と見込んでいたため、ニューヨークダウが4営業日連続で下落するなど大きな混乱が生まれた。

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そして、もう一つ注目すべきは住宅市場への影響だ。米国の30年固定の住宅ローン金利は上昇を続け、11月2日の発表では7.06%となっている。1年前の金利は2.98%だったから、とてつもない勢いで金利が上がっていることになる。当然、毎月の返済額は大きく膨れ上がる。ローン金利が3%から7%に上がると、毎月の返済額は1.58倍に増えることになり、そうなれば住宅を買えない人が続出する。

この10年間、米国の住宅価格指数は、ほぼ一貫して右肩上がりだったが、今年5月をピークに8月は1.5%下落している。高金利に加えて、今後の価格上昇が期待できないとなれば、住宅投資は確実に細っていき、住宅価格はさらに下落するだろう。それは同時に、金融危機が訪れることを意味する。

米国の住宅ローンの主流は「ノンリコースローン」と呼ばれ、物件そのものに対して融資が行われる。だから不動産が大きく値下がりしても、住宅ローンを借りている人は住宅を手放すだけで責任を果たすことができる。

日銀の金利引き上げで返済額急増へ!?

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3万ドルの住宅ローンを借りて買った住宅が2万ドルに値下がりしたら、ローンの借り手は住宅を2万ドルで売却すれば残債が残らない。値下がりした1万ドルの損失は、融資した金融機関が負担するルールなのだ。だから住宅価格が大きく下がれば、売却する人が続出することになり、そうなるとますます住宅価格が下がるという悪循環に陥ってしまう。

日本の場合、住宅ローンの融資は物件に対して行われるのではなく、人に対して行われる。だから、不動産が値下がりして物件を売却したら、損失分は住宅ローンを借りた人が負担し、返済を続けなくてはならない。これは、バブル崩壊後に実際に起きた事態だ。

いまの急速な円安を受けて、日本銀行のマイナス金利政策への批判が強まっている。そのため日銀は、来年4月の黒田東彦総裁の退任に伴い金利引き上げに向かう可能性が高いと考えられる。そのなかで、日本では7割の人が変動金利の住宅ローンを借りている。変動金利の住宅ローンは、日銀が短期金利を引き上げれば、連動して金利が上がる。

例えば、いま0.5%の変動金利で3000万円を35年ローンで借りている人の場合、毎月の返済額は7万7875円だが、短期金利が1%引き上げられると返済額は9万1855円に急増する。3%引き上げられると12万3987円になり、毎月の負担増は電気代の値上がりどころではなくなるのだ。米国や中国の不動産バブルが崩壊に向かうなか、最も危ないのは日本で身の丈に合わないローンを抱えた人なのかもしれない。

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