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【小説】「お前、女子に人気あるからさ」人気者の同級生にお笑いの練習に誘われ…

幻冬舎ゴールドライフオンライン

死に向き合い、もがきながらも、生きる意味を探す少年の姿を描いた青春小説。※本記事は、EIKO氏の小説『見上げれば空はブルー』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

そら美が死んだ日

小学六年生だったある夏の日の放課後、純太は同じクラスの聡の部屋にいた。聡の部屋と言っても兄の豊との二人部屋で、二段ベッドに中学三年生の豊の学習机が置かれ、他にはもう余分なスペースはない。

聡は豊の机の上にあったパソコンに手慣れた様子でパスワードを入れた。パッと画面が明るくなった。聡はお笑い芸人の動画を検索して、はやりの芸人動画を開いた。パソコンから流れる動画に食い入るように見ている聡を見ている純太。踊る授業といって二人組のダンサーが日本史「本能寺の変」をラップ音楽に合わせてリズミカルに歌い踊っていた。

純太は身長158・2センチ、体重38・8キロ。聡は純太よりチビで、純太よりはるかに太っていた。もう一つの違いは、聡は純太よりはるかに機敏で、みんなを笑わせる事を生きがいにしていた。いつも楽しい事を考えつき、同級生たちの前でそれを披露する。間違いなくクラスの人気者だ。

そんな人気者の聡がその当時はやっていた歴史をラップ風に歌って踊っていたグループに目を付け、純太に一緒にやらないかと誘ってきた。純太はそんなに仲良く聡と遊んだ記憶もないのに、突然の誘いに正直驚いた。「純太。お前、女子に人気あるからさ」が誘い文句だった。

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パソコンから流れるラップに合わせて聡のダンスのインストラクターばりの声が重なる。

「右腕を右斜め上、そう。ハイ次、左腕は関節から右へ、180度折り曲げる。そうそう、足は行進するようにその場でステップ」

そんなに運動音痴ではないと思っていたのに、純太は振りを覚えるのには苦労していた。そんな彼に聡は諦める事なく声をかけ続けた。

「『どーして、どーして』というところ、もっと体をくねらせて」

そこが笑いのサビだと何度もやり直しの声がかかる。その度、何回も体を少し曲げ、お尻を突き出す。もう同じところばかり十回以上やっただろうか、限界だ。「もうだめだー」とついに漫画本や靴下、丸まったシャツで散らかった上にダウンした。

「無理だー」

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