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遺伝子編集技術で外来種のネズミを根絶する世界初の試み。メスを不妊に

カラパイア




 オーストラリアで、遺伝子編集技術でメスを不妊にして、疫病をもたらすネズミを根絶させるという、世界初の実験が行われたそうだ。

 この技術は「t-CRISPR法」と呼ばれ、もともとはマラリアを媒介する”蚊”を駆除するために開発されたもで、それが今回、オーストラリアに侵入した外来種の「ハツカネズミ」に応用された。

 『PNAS』(2022年11月8日付)に掲載されたこの研究は、t-CRISPR法がほ乳類に応用された初の試みで、将来的には、ネズミの被害が深刻な島や陸地の害獣駆除に利用されると期待されている。

メスを不妊にし、20万匹のネズミを20年で根絶する計画

 t-CRISPR法でネズミを駆除するには、まず遺伝子編集したネズミを野に放つ。

 このネズミから生まれたメスの子ネズミには不妊遺伝子が受け継がれ、子供を作れない。そのため不妊遺伝子が十分に広まれば、駆除対象のネズミは徐々に数を減らしていくことになる。

 オーストラリア、アデレード大学のポール・トーマス教授らの計算モデルによると、遺伝子改変ネズミを250匹も用意すれば、島に生息する20万匹のハツカネズミを20年程度で根絶できる可能性があるという。

 トーマス教授は、「オーストラリアでは150年前からネズミの疫病が発生」していると説明する。しかし毒餌のような駆除法は、非人道的で、費用も労力もバカにならないとのこと。

 そこで、遺伝子を操作することでメスを不妊するt-CRISPR法が試されることになったのだ。

 「t-CRISPR法は、DNA編集技術でメスの生殖遺伝子に手を加えます。遺伝子改変されたネズミが集団内で十分に増えれば、子供を作れるメスはいなくなります」

photo by iStock

遺伝子編集技術の害虫駆除の利点

 非常に高い効果が期待できるにもかかわらず、こうした遺伝子編集を通じたネズミの駆除には倫理的・社会的な懸念もある。

 だがt-CRISPR法には従来の駆除法にはない利点もある。その1つは、毒餌のように自然環境に毒をまき散らす必要がないことだ。

 また毒餌や罠では、駆除したくない在来種まで殺してしまうことがあるが、t-CRISPR法は狙った対象だけを駆除することができる。

 たとえば、今回の駆除対象であるハツカネズミはハツカネズミとしか繁殖しない。だから不妊遺伝子が、守りたい在来種に広まることもない。

 トーマス教授は、「毒餌や罠など、在来種ネズミにも効いてしまう従来の駆除法にはない、遺伝子バイオコントロールならではの利点です」と話す。

photo by iStock

小型ネズミ以外にも応用できる可能性

 t-CRISPR法は、クマネズミのような大型ネズミやウサギなど、小型ネズミ以外の害獣駆除にも応用できるかもしれない。

 その一方、ネコやキツネのような、世代交代までの時間が長い大型哺乳類では、効果に限界があると考えられるという。

 また今回の実験はあくまで実験室内での試みで、まだ野外試験は行われていない。しかしアメリカでは、そのための自然に似せた環境のシミュレーションが行われているそうだ。

References:World first trial to eradicate mice with gene modification / written by hiroching / edited by / parumo

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