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遺伝子操作した観葉植物で空気清浄効果を大幅アップ。1本で11倍に

カラパイア


 観葉植物には空気洗浄効果があると言われている。室内を漂う有機汚染物質を吸収し、空気の質を向上させてくれるという。

 だが少しばかりの植物を置いても大きな効果は得られない。そこで、フランスの企業は、植物とその根に潜む微生物の遺伝子を操作して、天然の空気清浄機能を11倍にアップさせることに成功した。

 しかも観葉植物だから電気がいらない。環境に配慮された天然の空気清浄機なのだ。

1本で30本分の空気清浄効果がある観葉植物を開発

 「ポトス」というお馴染みの観葉植物から開発されたハイテク観葉植物「Neo P1」は、普通の植物30本分の空気清浄効果がある。

 フランス、パリのスタートアップ企業「ネオプランツ(Neoplants)」社のそもそも狙いは、電気を使わずに空気をキレイにする方法を開発することだった。

 電気を使わなければ、二酸化炭素を排出することなく、いつまでも空気から汚染物質を取り除くことができる。

 ネオプランツ社の技術責任者パトリック・トーベイ氏によると、コロナ禍の影響で、このところ空気の質に対する関心が高まっているのだという。
パンデミックの影響で、自分たちが呼吸している空気に何が含まれているか意識する人が増えました


ただの観葉植物に見えるが、この超ポトスの空気清浄能力は通常の植物の30倍もある / image credit:Neoplants

 気候変動、地球温暖化にともなう干ばつや気温の上昇により山火事が深刻化したことは言うまでもないが、その影響を受けた世界中の大勢の人たちが、室内の空気の質を気にするようになった。

 ネオプランツ社のNeo P1なら、電気を使わないエコな空気清浄効果で、そうした人々を空気中の汚染物質とストレスから守ってくれるのだ。

シックハウス症候群を引き起す化学物質を除去

 Neo P1は空気から「揮発性有機化合物(VOC)」という反応性の高い化学物質を取り除いてくれる。これは塗料・清掃用品・建築材・殺虫剤などに含まれており、「シックハウス症候群」の原因として知れるものだ。

 ほとんどのVOCはとても小さな分子なので、空気に漂うものを一般的なフィルターで取り除くのは難しい。またフィルターで除去できるくらい大きな分子だったとしても、完全に中和されるとはなく、結局はまた空気に放出されてしまう。

 だが植物なら比較的簡単にVOCを吸収し、それを代謝することができる。

 そのことはNASAが1989年にはすでに報告しているが、より最近の研究では、その効果はそれほど大きなものではないことも明らかにされていた。

 そこでネオプランツ社は、その能力をどうにかアップさせることはできないかと考えたのだ。

Neo P1はこのタネから成長する / image credit:Neoplants

まずはポトスの全ゲノムマッピングからスタート

 そのための植物としてポトスが選ばれたのは、人から喜んでもらえるものを開発したかったからであるそうだ。日本でもお馴染みの観葉植物だが、北米で一番人気なのだ。

 だがそれは苦労のタネでもあった。

 一般にこうした研究は、すでにゲノムがマッピングされ、詳しく調査が進んでいる「シロイヌナズナ」や「ベンサミアナタバコ」のようなモデル植物で始めるものだ。

 しかしポトスを選んだ研究チームは、まずその全ゲノムをマッピングし、どの遺伝子を操作すればVOCの除去性能を最大化させられるのか調べねばならなかった。

 「まるで、空を飛びながら飛行機を作ろうとするようなものです」とトーベイ氏は話す。

photo by Pixabay

遺伝子編集で共生菌も改造。基準もクリアした超ポトス

 だが苦労の甲斐あって、完成したNeo P1は「ホルムアルデヒド」や「トルエン」など、室内の4大汚染物質を効果的に吸収することができる。さらに山火事の煙に含まれる発がん性物質ベンゼンなどにも効果がある。

 だが本当に画期的なのは、ポトスの根に生息する共生菌を改造できたことだ。

 研究チームはそのために、有害な化学物質ですら食べてしまう極限微生物から遺伝子を集め、それを共生微生物に組み込んだ。Neo P1の空気清浄能力が飛躍的にアップしたのは、そのおかげなのだそうだ。

 また、米国食品医薬品局(FDA)の基準に準拠するために、ゲノム改変のせいでポトスが野生で強い繁殖力を持ったり、農薬に耐性を持ったりしないよう気をつけたとのことだ。
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地球温暖化の切り札にもなる可能性

 ちなみに「Neo P1」のお値段は179ドル(約25000円)とのこと。観葉植物としては少々お高いかもだが、空気清浄機として考えるなら特に違和感ないだろう。

 今のところポトスの1種類しかないが、将来的には植物のラインナップを拡充を検討してくとのことだ。

 操作すべき遺伝子さえわかっていれば、植物の種類が違ってもカスタマイズはそれほど難しくないのだそうだ。「DNAの素晴らしいところは、その普遍性です」とトーベイ氏は説明する。

 だが、今回の天然の空気清浄機の真価は別のことにあるかしれない。それは今後の温暖化との戦いの鍵を握っていると期待できることだ。

 ご存知のように、植物は光合成によって空気中から二酸化炭素を吸収する。

 もしも遺伝子を操作して、その力を強化できるのなら、自然界に存在するどんな植物よりずっと多くの二酸化炭素を吸い取れるようになるかもしれない。

 ネオプランツ社のリオネル・モーラCEOは、これが今後重要な地球温暖化対策になるだろうと考えている。
私たちの見るところ、緊急の課題は、炭素の回収と貯蔵です。生物学がその解決策の一翼を担わないわけがありません
References:Neoplants – The Future of Plants / This genetically engineered houseplant does the work of 30 typical plants / written by hiroching / edited by / parumo

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