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強い覚悟を示して秋季東京大会決勝に進出した東海大菅生高 成長と躍進は日大三高との激闘の軌跡とイコール/高校野球リポート

週刊ベースボールONLINE

青々とそろっていた頭部



東海大菅生高のエース・日當は190センチ95キロと堂々とした体格。最速148キロだが、日大三高との東京大会準決勝[11月12日]は制球重視で、2失点完投勝利を挙げた

 決戦前夜、190センチ右腕エース・日當直喜(2年)は提案した。髪の毛を短く刈上げよう、と。しかし、それは、半端な長さではない。まずは姿勢で、強い覚悟を示そう、と。

「以前、一人で剃って……。全体を乱したのか、負けてしまった。皆に呼びかけると最初は『エーッ!!』という反応でしたが『やろう!!』ということになりました」(日當)

 主将・渡部奏楽(2年)はチームの総意を若林弘泰監督に伝え、最終確認を取った。

「剃るのは、どうかと思いましたが……。気持ちを一つにしたい、と。こちらから強制をしたわけではありません。時代に逆行しているかもしれませんが、良いことではないかな、と……」(若林監督)

 21時過ぎ、カミソリで剃った東海大菅生高のメンバーの頭部は、青々とそろっていた。

 日大三高との東京大会準決勝(11月12日)は、特別な一戦だった。昨秋の東京大会準々決勝(7対8)、今春の東京大会準々決勝(2対3)、今夏の西東京大会決勝(2対6)と3季連続で敗退した因縁の相手。この秋の東京準決勝を落とせば事実上、来春のセンバツは絶望的となる大一番である。

 2対2の8回表二死一、二塁から九番・日當が決勝左前適時打を放った。「(投球の)調子は悪かったです。心は燃えて、頭は冷静に。監督から言われたことを実践しました」(日當)。投げては10安打を浴びながらも2失点でしのぎ、135球を一人で投げ切った。

 最後の守り。3対2で迎えた9回裏一死一、二塁。三遊間を抜けそうな痛烈な打球を、東海大菅生高の遊撃手・門間丈(2年)が好捕し「6-4-3」の併殺を完成させた。若林監督は「あれしかないプレー。勝つには、ゲッツーしかないと思っていた」と、仮に抜けていれば同点、サヨナラのピンチを迎えていたかもしれない。東海大菅生高はギリギリの攻防、球際を制したのである。

 若林監督は、強豪対決をこう振り返った。

「私が就任した2009年4月当時、西東京は日大三さんの『1強』の時代でした。上位に進出すれば、三高さんと当たる。一番対戦が多いのは三高さんだと思います。三高さんと試合をやるのは緊張して嫌なんですけど、楽しいと言えば、楽しい。試合ができて幸せです」

 若林監督は数々の修羅場を経験してきた元中日投手。自然と、勝負師の血が騒ぐのである。東海大菅生高の成長と躍進はイコール、日大三高との激闘の軌跡でもあるのだ。

最大のライバルを乗り越えて



東海大菅生高は日大三高との東京大会準決勝を制し[3対2]、勝利の校歌を聞いた。メンバーの頭部は全員、青々としていた

 最大のライバルを乗り越えたが、喜ぶのはまだ早い。エース・日當も十分、承知の上だ。

「うれしさに浸っていたら、勝てない。決勝で絶対に勝って、うれしさをかみ締めたい」

 東京大会は来春のセンバツの参考資料である。関東・東京の一般選考枠は「7」。関東5、東京1が基数(残る1枠は両地区での比較検討)であり、二松学舎大付高との決勝に勝利すれば、春の甲子園切符は「当確」となる。

 心と体、そして勝利へと向かう野球も統率された東海大菅生高に、怖いものはない。迷うことなく相手校に、全力でぶつかるだけだ。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
 
   

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