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フレッシュトーナメントで見せた早大に受け継がれている「一球入魂」の精神

週刊ベースボールONLINE

終盤の粘りで同点



早大は2点を追う8回裏一死二、三塁から五番・前田健の二塁打で3対3に追いついた

 永遠のライバルに2連勝。早大は今秋、伝統の一戦で慶大のリーグ制覇を阻止した(優勝は明大)。1回戦(11月5日)は逆転サヨナラ勝ち(5対4)、2回戦(同6日)は打線が15安打と活発で9対6の快勝。8勝2敗、勝ち点4。春は連敗した早慶戦で、秋は成長した姿を見せ、春5位から秋2位と順位を上げた。

 スタンドから見ていた1年生・前田健伸(大阪桐蔭高)にも、グラウンドの熱量は十分に届いた。「あきらめないプレー。4年生が意地を見せてくれた。2日間、執念を強く感じることができました」。前日からの余韻は翌7日、2年生以下で戦うフレッシュトーナメントにも残っていた。

 法大とのブロックB初戦。2点を追う8回裏一死二、三塁。五番・前田は右中間へ同点二塁打を放った。「バットの先でしたが、何とか落ちてくれた。うれしかったです」。3対3。前田健は今春、リーグ戦で4試合に出場も7打数無安打。同春のフレッシュトーナメントも3試合で9打数1安打と、大学野球の洗礼を浴びた。この一戦が、神宮における「初打点」だった。大阪桐蔭高では昨夏の東海大菅生高との甲子園1回戦で、中越えへ豪快なソロ本塁打。高校生トップレベルの強打者だった。


8回裏の同点を呼んだのは、背番号19を着けた二番手・齋藤成の好投に尽きる。7回からの2イニングを打者6人、パーフェクトに抑えた

 さて、早大の反撃ムードを生み出したのは、2点ビハインドの7回表から二番手として救援した右腕・齋藤成輝(1年・早大本庄高)の好投にほかならない。2イニングで一人の走者も出さないパーフェクトピッチング。打者6人に対し、球数はわずか12球と、テンポの良い投球を披露した。リーグ戦中はデータ班を担当。打者の心理を読む力に長けており、丁ねいに一球一球を積み上げた成果が出た。

 奪三振0こそ、齋藤の持ち味だ。抜群の制球力で、相手に的を絞らせず、守っている野手に良いリズムを与える。それが、8回裏の同点につながった。高校時代は3年春の埼玉県大会2回戦でシード校・川越東高を下し、16強進出により1999年以来、2度目となる夏のシード権を獲得。同夏は埼玉県大会4回戦(ベスト32)へと導いた実力者である。早大入学後もコツコツと練習を重ね今秋、フレッシュトーナメントのメンバー25人入りを遂げた。

 試合は3対3のまま9回を終え、規定により引き分けた。早大は先輩から学んだ終盤の粘りを、後輩たちが実践した。何よりも大切なのは、目の前に一球に集中すること。1901年の創部から伝統として根づいている早大のスタイルだ。1年生・前田は言う。

「早稲田のユニフォームを着ているので、プレッシャーがかかるんですけど、その中でも活躍できる選手にならないといけない」

 早稲田大学野球部の育ての親で、初代監督を務めた飛田穂洲氏が提唱した「一球入魂」の精神は、いつの時代も学生たちの心に引き継がれている。

写真=田中慎一郎
 
   

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