美を追求した“モード界の神”の人生を描く ミュージカル『イヴ・サンローラン』製作発表レポート
フランスが誇る世界的なファッションデザイナー、イヴ・サンローランの華麗な人生の光と影を描くミュー...

フランスが誇る世界的なファッションデザイナー、イヴ・サンローランの華麗な人生の光と影を描くミュージカル『イヴ・サンローラン』が来年2~3月に上演される。本舞台の製作発表が都内で行われた。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 ピエール・コリオ



まずは、フランス大使館文化参事官でアンスティチュ・フランセ日本代表のピエール・コリオが挨拶に立ち「フランスの偉大なデザイナーであるイヴ・サンローランを題材としたミュージカルが日本において上演されることを大変うれしく思う。昨年9月にこの世を去った、サンローランのパートナーであるピエール・ベルジュもこの企画について同意をしていたということで、彼へのオマージュにもなると思う」と、このミュージカルの上演を歓迎し、期待している思いを語った。

続いて、出演者の東山義久、海宝直人、上原理生、大山真志、川原一馬、安寿ミラ、作・演出の荻田浩一、音楽の斉藤恒芳、衣裳の朝月真次郎が登壇。この作品にかける思いをそれぞれ語った。

荻田浩一(作・演出)

歴史的に偉大な功績を残したデザイナーであり、波乱万丈な人生を送った方なので、そのエッセンスをより多く浮かび上がらせた作品にしたい。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 荻田浩一



斉藤恒芳(音楽)

既に半分くらい音楽制作が進んでいる。こんなに早く筆が進むのは初めて。現代風な感じと、サンローランの生きた60年代の音楽と混ぜて、楽しめるようにしたいと思っている。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 斉藤恒芳



朝月真次郎(衣裳)

荻田さんと斉藤さんといろいろなプランを考えながら、私の生前最後の作品になるくらいの気持ちでサンローランに恥じない衣裳デザインを手掛けたい。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 朝月真次郎



東山義久(イヴ・サンローラン役/Wキャスト)

このお話を初めていただいたときは、僕がサンローランの役と聞いて「え、誰が?」と思わず聞き直してしまった。まだまだ未熟な部分はたくさんあるけれども、ダブルキャストの海宝くん、安寿さんはじめとする素晴らしいキャストの方が集まって、また荻田さんも斉藤さんも朝月さんもずっと前から色々なオリジナル作品を製作してきた仲間なので、皆さんと一緒に作っていけたらと思っている。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 東山義久



海宝直人(イヴ・サンローラン役/Wキャスト)

この話をいただいたとき、イヴ・サンローランという題材、そしてそれをミュージカルでお届けするということで、その世界観がすぐには想像できなかった。自分と持ち味の違う東山さんとダブルキャストということで、たくさん刺激をいただけることを楽しみにしている。既に数曲聞かせてもらっているが、フランスの、そしてイヴ・サンローランの世界観を余すところなくお伝えできる作品になる予感がしていて、とてもワクワクしている。イヴ・サンローランの似合う男になれるようがんばりたい。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 海宝直人



上原理生(ピエール・ベルジュ役/Wキャスト、2/15~19出演)

イヴ・サンローランという名前は知っていたけれど、ピエール・ベルジュと二人三脚でやっていたことは今回初めて知った。フランスが世界に誇るファッションデザイナーの話をやることがとても面白いと思ったし、フランス本国からも様々な後援をもらってこの作品が動いていくので、フランスに失礼のないように、実在の方々を演じるので敬意を持って誠実に向き合って作っていきたい。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 上原理生



大山真志(ピエール・ベルジュ役〈2/20~3/3と兵庫公演〉、クリスチャン・ディオール役ほか〈2/15~19〉/Wキャスト、役替りで全日程出演)

新しく作るこのミュージカルの中で2つの役をやらせていただけるのは大変光栄だと思う。いろいろな人生を一つの作品の中で生きられることを幸せに思う。ベルジュはサンローランのことをずっと支えてきたと思うので、僕もこの作品の支えになれるように舞台に立ちたいと思う。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 大山真志



川原一馬(クリスチャン・ディオール役ほか/Wキャスト、2/20~3/3と兵庫公演出演)

クリスチャン・ディオールという歴史的に素晴らしい人物を演じるということは、身が引き締まる思い。この作品を通してディオールと向き合っていきたいと思う。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 川原一馬



安寿ミラ(ココ・シャネル役、サンローランの母・ルシエンヌ役ほか)

ここ30年近くフランスをよく訪れていて、今年の5月にも行ってきたばかり。フランス好きとして、シャネルの役をやらせてもらえることはとてもうれしいし、日本のミュージカルの演出家の中でも最もスリリングな演出をする荻田さんの作品にまた出演できることをとても楽しみにしている。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 安寿ミラ



ここで、司会者からイヴ・サンローランに関するクイズが出題され、登壇者たちが回答。見事な正解が続き、盛り上がりを見せた。途中、東山が荻田に回答を振ると、荻田は「台本書いてるんだから、知らなきゃおかしいでしょ」と苦笑い。会場も笑いに包まれた。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 クイズコーナーに盛り上がりを見せる登壇者たち



司会者からイヴ・サンローランという実在のカリスマ的人物を演じるにあたっての心構えを問われ、東山は「一番最初にしたことは、この役のために髪をバッサリ切ったこと。あと、荻田さんから『ヨシくん(東山の愛称)独特の“オラオラ感”を消してくれ』と言われたので、繊細に作っていけたらと思っている」、海宝は「パリに行く機会があり、イヴ・サンローランの美術館を見てきた。彼のセンス、空気感はそう簡単には表現できないと思うが、少しでも自分が感じてきたパリの雰囲気を膨らませながら作っていきたい」と答えた。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 写真左から川原一馬、大山真志、上原理生



イヴ・サンローランについてどのような印象を持っているか? と問われ、上原は「子どもの頃からブランドのロゴの高級なイメージがとても強くて、自分は一生関わる機会はないだろう、と思っていたので、自分のやっているフィールドでこのような形で関わらせてもらえることになり、これを機に世界に誇るイヴ・サンローランの美的センスを堪能したい」、大山は「イヴ・サンローランに関わる映画やドキュメンタリーを見たが、栄光を手にしたけれども繊細で孤独な人だったんだろうな、というのが第一印象。それを支えていたベルジュはじめ周囲の人々との関係性がどう描かれるのか楽しみ」、川原は「イヴ・サンローランは生きること=デザインすること、それくらい一途に命を燃やしていたんだな、と感じた。僕たちの世代にはとてもハイブランドなイメージだけど、この作品を通して“イヴ・サンローラン”というブランドと人物をもっと知っていけたら、と思っている」とそれぞれ答えた。

質疑応答で、今回ダブルキャストということでどのように自分の個性を発揮しようと思っているか、という質問を受け、海宝は「音楽が世界観の非常によく出ているメロディーとアレンジなので、それにのせてイヴ・サンローランの内面の世界を表現していきたい」、東山は「この機会がなければイヴ・サンローランのきれいな面しか知らなかったと思う。世界的なデザイナーにどのような光と闇があったのか、僕なりに、そして海宝くんなりに、二人の生きるサンローランができたらいいなと思っている」と回答。

「デザイナーの目から、イヴ・サンローランのデザイナーとしての最大の功績と、現代のトレンドにどのような影響を与えたのかを教えて欲しい」と質問された衣裳の朝月は「サンローランは既製服を初めて世に出したデザイナー。当時はオートクチュールで自分の好きなお客様に高く売るのが主流だったのに、トレンチコートやサファリルックといったものを既製服として発売した勇気を、日本のデザイナーにもお手本として見せられたらと思っている」と答えた。

「どのようなサンローランを描きたいと思っているか」という質問を受けて荻田は「サンローランは服飾の歴史を変えた人。当時の政治文化の背景も交えながら作品の構成を固めていきたい。あまりにも繊細過ぎる心と溢れすぎる才能によって心身をすり減らして作品を生み出していた彼の孤独と苦闘が一番大きなモチーフになると思う」と答えた。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 写真左から上原理生、大山真志




ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 写真左から川原一馬、安寿ミラ



そして、この日登壇の出演者たちにより公演テーマ曲の歌唱が披露された。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 写真左から海宝直人、東山義久



力強さの中に“闇”を覗かせるような東山の歌声、甘美でありながらどこか憂いを秘めたような海宝の歌声、二人の歌声にはそれぞれの特性が出ており、どのようなサンローラン像を舞台上で見せてくれるのか期待が高まった。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 ローラン・ピック駐日フランス大使と登壇出演者



最後に、ローラン・ピック駐日フランス大使が挨拶に立ち「サンローランは栄華そのものを象徴しており、美を追求した人。自分のブランドを立ち上げ、その時代ごとに流行の先端を作り上げてきた。ピエール・ベルジュは『イヴ・サンローランという人間は二十世紀の女性の歩みに伴走をし続け、常に女性の解放ということに関心を持っていた』と述べている。サンローランは亡き後も非常に多くの人々にインスピレーションを与えている。このミュージカルを通じてより多くの人々にイヴ・サンローランの生涯を知ってもらいたい」と述べ、製作発表は終了した。


ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表 登壇出演者



ファッションブランドとしての「イヴ・サンローラン」は世界中で知られ、長く愛されてきているが、イヴ・サンローランその人自身について詳しく知っている人は確かに多くないだろう。彼の素顔に焦点を当て、究極の美を求めるクリエイターとしての葛藤と、数奇でドラマチックな半生を描くこのミュージカルで、ファッションの歴史を切り開いた彼の人生とその内面世界に触れてみて欲しい。

取材・文・撮影=久田絢子

(更新日:2018年11月1日)

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