
ということで今回は改正プロバイダ責任制限法が具体的にどう変わったのか法律の専門家である井上義之弁護士(富士見坂法律事務所代表)に話を聞いてきた。
■プロバイダ責任制限法とは?
まずはプロバイダ責任制限法がどんな法律なのかを伺った。
「プロバイダ責任制限法は、インターネット上における不特定多数の間の情報の流通に関して、プロバイダ、サーバの管理者・運営者、掲示板管理者等(プロバイダ等)の責任の制限と発信者情報の開示を求める権利を定めるものです」(井上義之弁護士)
そもそもなぜプロバイダ等の責任を制限する必要があるのだろうか。
「プロバイダ等は、名誉毀損等の被害者と表現の自由を有する発信者との間の板挟みになり、うまく対応できない場合があります。そこで、プロバイダ等が適切な対応をとれるように、一定の場合に責任を免れるというルールが定められました」(井上義之弁護士)
■改正のポイントは「開示請求をできる範囲の拡大」と「新たな手続の創設」
10月1日からプロバイダ責任制限法が改正施行されましたが何が変わったのだろうか。
「今回の改正のポイントは、大まかにいうと、(1)開示請求をできる範囲の拡大、(2)新たな手続の創設の2つです」(井上義之弁護士)
(1)の開示請求をできる範囲の拡大とはどういうことだろうか。
「ログイン型SNSサービスの提供事業者はログイン時のIPアドレス等の情報は保有しているものの、ログイン後の個々の投稿についてはIPアドレス等を保有していないことが多々あるようです。こうした場合、加害者を特定できるのはログイン時の情報しかないわけですが、改正法施行前においては、ログイン時情報が権利侵害に関するものではないという理由で開示されないケースがありました。そこで、こうしたケースでも開示がなされるように法改正がなされました」(井上義之弁護士)
(2)の新たな手続の創設とはどういうことだろうか。
「改正法の施行前は、通常、掲示板やSNSを提供する事業者に対する発信者情報開示仮処分の申立てを行い、さらに通信事業者に対する訴訟提起するという2段階の訴訟手続を経る必要がありました。現在は、1つの手続の中で発信者情報の開示を求めていくことができるようになりました」(井上義之弁護士)
シンプルにスピードアップしたということだろう。
■困ったら何をすればいい?
最後に私達が困ったときにどのような対応をとればいいか伺った。
「ネット上の誹謗中傷などを発見した場合、まずは、スクリーンショットをとりURLを保存すべきです。対抗手段としては、発信者を特定した上での民事責任の追及、刑事告訴などが考えられます。放置するほど被害が拡大しますし、IPアドレス等の保存期間が過ぎて加害者が特定できなくなる可能性もあるので、早めに弁護士に相談されることをお勧めします」(井上義之弁護士)
とにかく迅速に対応したほうがいいとのこと。誹謗中傷等で困っている方は参考にしてもらえると幸いだ。
専門家プロフィール:弁護士 井上義之(第一東京弁護士会)事務所HP ブログ
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記事提供:ライター o4o7/株式会社MeLMAX
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