国分中央・安藤完投勝利
<第151回九州地区高校野球大会鹿児島予選:国分中央5-2樟南>◇5日◇準々決勝◇平和リース
1回裏、樟南は1死から3連打で満塁とし、5番・有村 琉星(2年)の犠飛で先制した。
直後の2回表、国分中央は8番・福永彪馬(1年)の右前適時打で同点に追いついたが、その裏、樟南は9番・上牧瀬銀士(2年)の犠飛で再び勝ち越す。
国分中央は5回表、2死三塁から相手のエラーで同点に追いつく。打線がつながって一、三塁と好機が続き、4番・高濱 橙生(1年)の右前適時打で勝ち越し。6番・東田 誠矢(1年)も左前適時打で続き、4点目を挙げた。
7回には3番・谷口 兼信(2年)が左翼席にソロを放ってダメ押し。
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先発した1年生右腕・安藤 寿丈は尻上がりに調子を上げて、3回以降は特に飛球を打ち上げさせる投球がさえて追加点を許さず、完投勝利を挙げた。
「中央の野球をやるぞ!」。国分中央はベンチにいる選手たちが口々に言い続けた。攻撃では1人1人がそれぞれの役割を果たしてつなぐ。守備では投手を中心に粘り強く守ってリズムを作る。国分中央らしさを随所に発揮し、昨秋、今春に続いて3季連続、今夏に続いて夏秋連続の4強入りを果たした。
5回、下位打線が粘って好機を作り、エラーで同点に追いつき、4番・高濱に好機が回ってくる。仕事は「後ろにつなぐこと」。初球が変化球でストライクだったので「2球目は直球がくる」と山を張った。やや振り遅れてしまったがうまく右前に抜ける勝ち越し適時打となった。
1年生右腕・安藤は「捕手の當さんのリードを信じて、思い切って腕を振って投げた」と振り返る。球威はないが角度のある直球と、時折100キロを切る緩い変化球のコンビネーションで、3回以降は無失点で切り抜けた。「守備からリズムを作る中央らしい野球ができた」と力強く言い切った。
「先輩たちも含めてずっと悔しい思いをしてきたから、彼らには上の大会を経験させてあげたい」と床次隆志監督は言う。昨秋は4強入りしたが鹿児島城西に逆転サヨナラ負け。今春は決勝に進んだが準優勝。この春からは九州大会の出場枠が優勝校のみとなったため、いずれも九州大会にあと一歩で届かなかった。今夏は準決勝直前でコロナ感染のためベストメンバーがそろわず、無念のコールド負けだった。4強入りを続けていることよりも、それ以上にいけなかった悔しさが、エネルギーになっている。「チームの目標である甲子園1勝を果たしたい。次はどこが相手か分からないが、どこが相手でも中央の野球をやるだけ」と高濱は気合を入れていた。
(取材=政 純一郎)