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『ハーヴェステラ』でスクエニが挑む「スローライフ」への挑戦─コンプリートまで100時間!? ロード時間改善への意欲も【インタビュー】

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『ハーヴェステラ』でスクエニが挑む「スローライフ」への挑戦─コンプリートまで100時間!? ロード時間改善への意欲も【インタビュー】

スクウェア・エニックスといえばRPG。そうしたイメージを持つゲームファンは、かなり多いことでしょう。王道のコマンド型RPGから始まり、アクション性を加えたものや、インターネットを介したオンラインゲームなど、その広がりは実に多種多彩です。

もちろん、RPG以外のジャンルも手掛けていますが、割合的にかなり多いのも事実。ですが、数多くのRPGを生み出しつつも、これまでほとんど手を付けていないジャンルがあります。それは、「スローライフ」といった通称で呼ばれることも多い、生活シミュレーションです。

生活シミュレーションはゲームごとに方向性も異なりますが、そのほとんどでのんびりとした日常を自分好みに過ごすことができます。また、作中に冒険が盛り込まれている場合は、ゲーム性としてRPG要素が含まれることも珍しくありません。

時にちょっとした冒険を交えつつも、穏やかな日々を過ごす「日常」を主軸とした生活シミュレーション。そのあり方は、ドラマティックな物語をRPGで描いてきたスクウェア・エニックスの方向性とは、少々異なる路線とも言えます。

ですが、11月4日に発売される『ハーヴェステラ』(ニンテンドースイッチ/Steam)は、スクウェア・エニックスによる“生活シミュレーションRPG”。同社が得意とするRPGに「スローライフ」を取り入れた、新たな挑戦となる1作です。

果たしてどんな経緯で、この『ハーヴェステラ』が立ち上がったのか。また、スクウェア・エニックスがいかなる「スローライフ」を提案するのか。その本質へと迫るべく、プロデューサーの高大輔氏、開発ディレクションを担当する受田直之氏、そしてディレクター兼シナリオ担当の古屋海斗氏に向けたインタビューを行いました。

■『ハーヴェステラ』は、いろんな味が楽しめる「幕ノ内弁当」! 開発のきっかけからゲーム性まで、その魅力に迫る
──最初に、読者の皆様に向けた自己紹介をお願いします。

高氏:プロデューサーの高大輔です。『ハーヴェステラ』の立ち上げから携わっていて、システム周りのゲームデザインなども担当しました。

古屋氏:ディレクターで、シナリオを書いている古屋と申します。クリエイティブ面のディレクションをしております。

受田氏:私は、開発側の取りまとめをしておりました。高さんからのアイディアや古屋さんの世界観を再現すべく、延々とダメ出しを受けながら取り組みました(笑)。

──三者三様ですね(笑)。では、『ハーヴェステラ』についての質問に移ります。まず本作は、「スローライフ」の要素が主軸かと思いますが、スクウェア・エニックスさんが手掛けるジャンルとしてはかなり珍しい印象を受けます。なぜ、このジャンルを選ばれたのでしょうか。

高氏:『ハーヴェステラ』は、私がスクウェア・エニックスに入社してからすぐに企画したタイトルです。弊社は皆様ご存じの通り、RPGがすごく多くて。なので、RPGを作ろうと思っても、自社の中だけでもライバルがかなり多いんです。

──確かに、スクウェア・エニックスさんといえばRPG、というイメージがあります。

高氏:そうした状況なので、ほかのRPGにはない独自性を出すべきだと考え、ジャンルについても熟考しました。ちょうどその頃、株式会社「Live Wire」の高田誠さんとお会いして、一緒に何かをやりたいという気持ちが湧きまして。(※高田誠さんの高ははしごだかの高)

「Live Wire」は、生活シミュレーションゲームを作ったことのある方が多かったので、スクウェア・エニックスが得意とするRPGの良さと、「Live Wire」が持つ生活シミュレーションの豊かな経験を組み合わせ、“ファンタジーを舞台とした新たな生活シミュレーションゲーム”が作れないかなと考えたのが、『ハーヴェステラ』の始まりでした。

──なるほど、ライバルが多い中で独自性を求め、そして「Live Wire」との関わりもきっかけになって『ハーヴェステラ』に辿り着いたんですね。そんな『ハーヴェステラ』を生み出す上で、特にこだわった点はありますか?

高氏:多くの先人たちが作ってきた生活シミュレーションは、「可愛い」や「ほのぼの」といった表現がすごく似合うと思うんですが、そうした路線とは違う方向を選びました。シナリオであればシリアスであったり、世界観ならばより格好良くて美しく、と。そうしたチャレンジが、『ハーヴェステラ』におけるコンセプトのひとつですね。

──大きな特徴のひとつに、住民たちの生活を脅かす「死季」の存在があると思いますが、これも個別化や差別化の一環として取り入れられたのでしょうか?

古屋氏:差別化として盛り込んだというよりは、「RPGらしさを用意しないとな」と考えた結果ですね。作品にもよりますが、「RPGらしい目的となれば、世界に危機が訪れていないといけない。じゃあ、この世界に合う危機ってなんだろう?」というところから模索を始めました。

そこでまずは、色々な生活シミュレーションゲームに触れてみたところ、多くの作品が「季節」を大事にしていると感じました。こういうゲームで「季節」が変わる時って、作物が枯れる仕組みがゲームデザインの「お約束」として組み込まれているんですよね。

現実の世界では、(1日跨いだだけで)一気に全部の作物が枯れることはなくて。そこで「なんで枯れるんだろう」と疑問に思い、ここに明確な世界観を用意すれば「世界の危機」を用意できると考えました。

──「死季」は、RPGらしさを求めた結果だったんですね。これは勝手な憶測ですが、生活シミュレーションというジャンルに不慣れなユーザーのために、プレイの指針となる「大きな目的」を用意したのかなと受け止めていました。

古屋氏:そうした一面があるのも確かです。目的を追いかけていくとストーリーが進む、というのは分かりやすいですよね。RPGファンの中には、生活シミュレーションをまだプレイしたことがない人も少なからずいるので、「死季」は間口を広げるという役割も担っています。

高氏:古屋自身、生活シミュレーションゲームをあまり遊ばないんですが、私が「こういうゲームを作りたいから、(同じジャンルのものを)ちょっとプレイしてみてくれ」と言ったところ、結構ハマったようで(笑)。

古屋氏:まさにその通りでした。今まできっかけがなくて遊んでいなかったんですが、実際にプレイしたらこれが面白くて。ずーっと遊んでいられるくらいハマったので、大事なのはきっかけなんだなと実感しました。

──その「きっかけ」としての意味合いもあるんですね、「死季」は。

古屋氏:今までこのジャンルに出会わなかったことがもったいなかった、という気持ちになりました。ですので、このジャンルにまだ触れていない方も、『ハーヴェステラ』をぜひプレイして欲しいですね。

──スクウェア・エニックスさんの新たな挑戦とも言える『ハーヴェステラ』ですが、開発にあたって最も苦労された点はどこでしょうか?

受田氏:ゲーム性としては実に王道で、冒険100%、生活100%を楽しめます。ですが、体験としては「新しいもの」「新鮮な体験」を目指し、没になったアイディアも数えきれないほどありました。

高さんは非常にアイディアマンで、次々と色んな提案をしてくれるので、その都度作ってみるというのを繰り返した開発でしたね。ひとつずつ作っては「これじゃないな」「これもちょっと違うな」という試行錯誤の繰り返しで。

遊びやすさを大前提にしつつ、「新しい体験とは何なのか」をずっと追い求めた開発だったと思います。何度も作り直したところもありましたしね。

──本作で最もユーザーに味わって欲しい「新しい体験」は、どういった部分になりますか?

受田氏:システム面については、分かりやすさを重視して用意させていただきました。そのため「新しい体験」という意味では、世界観が一番分かりやすい点かもしれません。「死季」がある世界で日常を過ごし、そして状況が展開していく。先が気になる物語を通して、その体験を直接味わって欲しいですね。

古屋氏:日常があり、それが「死季」によって破壊されてしまう。そうした「身近に感じる危機」を、生活シミュレーションというゲームを通して体験してもらえたらと思います。

あと一般的なRPGだと、「自宅」って効果的に使いにくい舞台なんですよね。基本的に、主人公たちは旅をするので。でも『ハーヴェステラ』は「自宅」があり、毎日ここで寝起きします。

で、人間って朝起きた時は油断しているので、その隙を狙ってアクシデントを仕込んだりできるんですよね。そのような形で、「日常」と「ドラマ」が地続きになるように意識してシナリオを書きました。

──自宅が日常の象徴となり、そこにドラマを差し込むことで、物語が動いていくんですね。

高氏:ファンタジー世界における「冒険がある日常」というのは、こういうことじゃないか──という投げかけのひとつが、この『ハーヴェステラ』ですね。ファンタジーの世界でも普通に暮らしている人はいますし、もちろん冒険者もいます。だからこそ、冒険と生活が繋がる世界もあるんじゃないかなと。

──本作の戦闘はアクションになりますが、そのゲーム性は一般的なアクションRPGと比べるとかなりシンプルで、防御などの手段もありません。アクション面の腕前を重視しない作りになっているのは、間口を広げるためですか?

高氏:ジョブパネルを開いていくと、回避は出来るようになります。ただ、最初から解放していないのは確かです。

──それは、何らかの狙いや意図があって?

高氏:アクションRPGが苦手な人も、結構多いと思うんですよ。でも、それを理由に遊んでもらえないのは残念なので、アクション面のハードルはできるだけ下げたかったというのが本音です。

元々、本作の開発自体がRPGベースで考えられており、コマンドバトルを試してみたこともあります。でも、背景のグラフィックがすごく良い出来栄えだったので、「このフィールドをフル活用するんだったら、バトルはシームレスの方がいいよね」という話が持ち上がり、コマンドRPGからの昇格という形でアクションRPGになりました。

なので、基本的な軸としては、レベルを上げて武器を強くして戦う、というゲームです。一般的なアクションRPGとは、アクション面の比重が異なると思います。

「ダメージを受けないことを前提とする」みたいな、腕前が問われるタイプのアクションRPGとは全然違いますね。時間をかけてキャラクターを強くすれば、アクションが苦手な方でもクリアできると思います。

──ちなみに、本作をクリアした後、そこからさらにプレイを続けることは可能ですか? もしくは、育成などを引き継いで最初から遊び直せたりしますか?

古屋氏:『ハーヴェステラ』は、クリア後も継続的にプレイできます。クエストなどもふんだんに用意しているので、クリア前に遊びきれなかった部分を続けてプレイする、という楽しみ方も可能です。

──本作を楽しみつくす目安として、全要素をコンプリートする時間はどれくらいでしょうか。

高氏:コンプリートの線引きにもよりますが、全部を遊びつくすとしたら、最高効率でも100時間とかはかかると思います。例えば、「FEAR」と呼ばれる強敵がおり、ランダムで結構強いアイテムをドロップするんです。こうしたものを集めるだけでも相当の時間がかかりますね。

──配信番組で、体験版をプレイしたユーザーの反応を受け、ワールドマップでの時間の進み方を調整したいといったコメントがありましたが、製品版に向けてこの他に調整している部分はありますか?

高氏:可能な限り、色々と努力しています。ロード時間の短縮なども、できれば入れたいですね。

今お話ししたアップデートは、発売日のタイミングに間に合わせられるよう頑張っていますが、間に合わない場合は発売後のアップデートで対応します。

──『ハーヴェステラ』のプラットフォームはニンテンドースイッチとSteamですが、このふたつを選んだ理由は?

高氏:ニンテンドースイッチをお持ちのお客様とこの手のジャンルって、すごくマッチしていると思うので、スイッチという選択は外せないだろうと判断しました。

古屋氏:スイッチは携帯モードで遊べる、というのも強みのひとつですよね。短時間だけちょっと遊ぶ、またはベッドで横になりつつ……みたいなプレイスタイルでも『ハーヴェステラ』は楽しめるので、スイッチとの相性はかなり良いと思います。

高氏:じっくり遊びたい時はTVモード、ちょっとだけ触りたい時は携帯モード、みたいな使い分けができるので、『ハーヴェステラ』とスイッチとの親和性はかなり高いですね。

──それでは最後の質問になりますが、本作を敢えて一言で表すならどんなゲームですか?

高氏:作曲を担当している椎名豪さんが、「幕ノ内弁当みたい」と仰っていましたね。おかずがいっぱいあり、メインも副菜も揃ってる。色んな味が楽しめて、食べ終わった時には満足感もある。確かに、そんなゲームかもしれませんね。

古屋氏:おかずを食べる順番も、かなり自由に決められますしね。

──よりどりみどりの魅力を、自分の好みで選びながら味わい、満腹になれる。そんな『ハーヴェステラ』の発売を楽しみにしています。本日はありがとうございました!


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