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監督交代も好転せず、プレーオフ進出へ崖っぷちに立たされたベガルタ。上位対決が続くラスト3戦に必要なのは?

SOCCER DIGEST Web

[J2第39節]仙台0―2東京V/10月2日(日)/ユアテックスタジアム仙台]

 一時はJ2で首位に立ち、1年でのJ1復帰を視界に捉えていたベガルタ仙台。ところが、7月末頃からチームの調子は下降線をたどり、8月13日の第31節・大宮アルディージャ戦から9月3日の第34節・水戸ホーリーホック戦まで4連敗を喫してしまう。クラブは9月6日、昨季終盤に就任した原崎政人前監督の解任と8月14日にJ1ジュビロ磐田の監督を更迭されていた伊藤彰新監督の就任を発表した。

 伊藤監督は9月7日の練習から合流し、その日にオンライン会見を開いた。「2日前(9月5日)に仙台の強化からオファーがあり、直接会って仙台の未来についてどういうサッカーをやるのか、そしてJ1昇格に向けて熱い思いを共感できたのでオファーを受けました」と、残り8試合という厳しい状況でオファーを受諾した経緯を明かした。

 合流から3日後に行われた第35節・大分トリニータ戦は、原崎監督時代の4-2-3-1のフォーメーションで挑んだが、試合の主導権を握れず0-1で5連敗となった。

 ここで伊藤監督は大きな決断をする。大分戦から中3日で行われた第36節・栃木SC戦では、守備時にはヴァンフォーレ甲府や磐田でも見せていたような3-4-2-1、そして攻撃時にはこれまでの仙台のビルドアップを生かした形の4-3-3といった形に変化するシステムを採用した。

 そしてFW中山仁斗のゴールで先制すると、後半はGK小畑裕馬の好守もあり1-0で勝利。就任からわずか1週間でチームを激変させ、複数失点の多かった今季初めてのウノゼロ(1-0)での勝利ということもあり、明るいムードが漂いかけた。
 
 しかし現実は甘くなかった。第37節・徳島ヴォルティス戦は序盤は栃木戦の勢いそのままに攻め込むも、前半でMF遠藤康が退場。先制を許し、DF真瀬拓海のゴールで何とか追いつくも1-1で引き分け。第38節・ファジアーノ岡山戦は遠藤の不在とチームの完成度の差が響き、0-3で完敗。J1自動昇格の可能性は消え、気がつけばJ1参入プレーオフ圏内で一番下の6位まで後退し、プレーオフ出場も危うい状況になってしまう。

 10月2日に行われた第39節・東京ヴェルディ戦は、プレーオフ出場のためにも絶対に負けられない試合だった。しかし前半から相手にボールを保持され続ける苦しい展開に陥った。それでも岡山戦から大幅に選手を入れ替えたDFラインが何とか踏ん張り0-0で前半を折り返した。

 後半は攻撃面で改善が見られ、決定機も作ったが「相手が圧力をかけてくれて、(ディフェンスライン)裏のスペースが空いたので、ドリブルで運ぶことができた」と東京Vの城福浩監督が語る通り、今度はカウンターを浴びてしまい、76分ショートコーナーからFW染野唯月のゴールで先制を許した。88分にはFW阪野豊史にもゴールを許し、0-2で敗戦。

 連敗を喫し、順位は6位のままとはいえ、10月5日に延期開催となる第33節・大宮—モンテディオ山形戦で山形が勝利すれば、山形と順位が入れ替わりプレーオフ圏外の7位に後退する。仙台はついに崖っぷちに追い込まれた。

 伊藤監督は「後半になってボールも握れて、良い守備もできていました。流れの良い時間帯を増やしたい。それができなければプレーオフに入ってJ1昇格にはたどり着けない」と強い危機感を示した。
 
 終盤に来ての連敗。そして残り3試合は首位のアルビレックス新潟、4位のロアッソ熊本、13位のブラウブリッツ秋田と厳しい相手が続く中、どう選手のメンタルをケアしていくか。この点を問うと、「プロのサッカー選手は日々戦いで、日々成長しなければいけないのでそれは各々で変えていかなければならない」とまず選手自身の変化を求めると共に、「クラブとしてわれわれスタッフがしっかり変えていく、その雰囲気をつくることがすごく重要になる」と変化を促す雰囲気作りをしていきたいと語った。

 その上で「みなさんもご存知の通り、メンタルを改善するには勝点3が一番だと思いますので、そこをしっかり目指していかないといけません」と次節・新潟戦の勝利に向けて全力を尽くす姿勢を語った。

 ただ、伊藤監督は非常に細かい戦術理解を要求するスタイルだ。そうしたスタイルの下で時間が無い中、悪い流れを断ち切れるのか。
 
 エースストライカーである中山は、基本戦術をベースにした上で、個々がもっと特長を出し、球際での戦いの部分で勝っていかなければいけないと語る。

「伊藤監督が求めること、言われたことはまずやって、そこから一人ひとり、みんなの持っている特長やイマジネーションを特に攻撃の選手はどんどん出していかないといけません。型にはまるじゃないですけど、誰かのひらめきがあってゴールにつながっているので、そういう部分ももっと大事にしたいです。その上で戦うところ、相手に1対1で負けない、バトルで何が何でも勝つ。前半戦を見ればそれが前面に出せていて結果がついてきたので、もっと出せるんじゃないかと思います」

 本来ならばリーグ終盤戦ではこの1年積み上げた集大成を見せていくべきだが、仙台は終盤戦を前に監督交代を決断した。結果的に戦術家として名高い伊藤監督をもってしても1か月でのチーム構築は非常に厳しく、1年でのJ1復帰は厳しい状況になったと言わざるをえない。

 ただ、可能性がゼロになったわけではない。リーグ戦残り3試合で勝点を積み重ねプレーオフ出場を勝ち取るためには、厳しい状況でのオファーを受けた伊藤監督が限られた時間の中でチームの完成度を高めることと、選手たちがこの苦境を乗り越えようとする強いメンタルが必要だ。
 
取材・文●小林健志(フリーライター)

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