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現役引退の西武・内海哲也がコーチで複数球団の争奪戦か 「名指導者になる」の声が

週刊ベースボールONLINE

実績以外に積み上げたもの



引退登板では5球、すべてストレートを投じた

 あふれる感情を抑えられなかった。今季限りで現役引退を発表した西武・内海哲也投が10月2日、イースタン・リーグ最終戦の巨人戦(ジャイアンツ)に登板。若手のときに汗を流した思い入れの強い場所で、現役最後の登板を飾った。3点リードの5回二死二塁で登板すると、代打・石川慎吾にオール直球勝負で最後は137キロで見逃し三振に。登板後に西武・西口文也ファーム監督、巨人・二岡智宏監督から花束を手渡されると、涙を流しながら頭を下げた。

 巨人、西武で内海を取材したスポーツ紙記者は語る。

「これほどナインに愛された選手はなかなかいない。内海の武器は人間力だと思います。自分のことだけでなく仲間のことを常に考え、苦しい境遇の人間の気持ちに寄り添っていた。選手として一流でしたが、今後の人生でも名指導者になる可能性を秘めている。コーチとして複数球団から打診が来ると思います」

 巨人在籍時は7度の2ケタ勝利をマーク。2011年に18勝、翌12年に15勝で2年連続最多勝のタイトルを獲得した。積み上げたのは数字に残る実績だけではない。他球団から入団した選手たちに積極的に話しかけ、チームの輪に入りやすい環境を作った。練習量も群を抜いていた。誰よりも走り込み、トレーニングに没頭する。その姿を後輩たちが追いかけてきた。実績を積み上げても若手投手たちに気さくに話しかけ、相談相手になることも。先輩の阿部慎之助(現巨人作戦兼ディフェンスチーフコーチ)、後輩の坂本勇人、長野久義(現広島)ら主力の野手陣たちとも関係が深く、チームを強くするために熱い思いを語り合ってきた。

巨人史上初の“移籍”



巨人ではエースとして133勝をマークした

 巨人を象徴する存在だった内海の野球人生が大きく変わる出来事が、18年オフの西武移籍だった。炭谷銀仁朗(現楽天)がFAで巨人に入団することに伴い、人的補償で移籍が決定。巨人の開幕投手経験者がFA移籍の人的補償で他球団に移籍することは球団史上初だった。驚きの一報に、ショックを受けた巨人ファンが涙を流す光景が見られた。

 内海にとっても衝撃は大きかっただろう。敦賀気比高で高校球界を代表する左腕として注目され、オリックスからドラフト1位で指名を受けたが、祖父・内海五十雄氏がプレーした巨人へのあこがれを断ち切れず、東京ガスへ進んだ。4年後に自由獲得枠で巨人へ入団。快速球、キレ味鋭いスライダー、チェンジアップを抜群の制球力で操り、左腕エースとして活躍してきた。

 36歳で西武への電撃移籍――。だが、新天地でも野球に取り組む真摯な姿勢は変わらなかった。移籍初年度の19年に左前腕の故障で一軍登板なしに終わるなど、在籍4年間で11試合登板して2勝にとどまったが、内海の貢献度は白星だけでは測れない。誰よりも早くファームの施設に到着してトレーニングに打ち込み、今年からコーチ兼任になると若手の育成にも精力を注いだ。

愛弟子からの手紙



引退会見で愛弟子・渡邉[左]から心のこもった手紙が読み上げられた

 9月19日に埼玉県所沢市内の球団事務所で行われた引退会見。エース・高橋光成、守護神・増田達至ら投手陣たちが会場に駆けつける中、愛弟子の渡邉勇太朗が手紙を読み上げた。

「褒めてもらったこと、叱られたことなど数々の思い出が走馬灯のように思い出されます。プロ野球人生をスタートした瞬間に、内海さんに出会えていろんなことを教えてもらった4年間が自分の人生において一番の財産です。まだまだ内海さんのような一人前の投手には程遠いですが、いつか必ず追いつき、追い越していきたいと思います。4年間本当にありがとうございました」

 渡邉の目に涙があふれる。内海も目頭をぬぐった。プロ19年間で335試合登板し、通算135勝104敗2ホールド、防御率3.24。心優しき左腕の勇姿を忘れない。

写真=BBM
 
   

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