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TikTokで話題のドラマー葵、「青い」でボーカルデビュー フィクション×ノンフィクションで紡ぐ本当の“わたし”

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自分でも「いやいや、影響を受けたアーティストがいないなんてことはないでしょ」と思って考えてみたんですけど、たくさんいて絞れてないだけなんですよね(笑)。例えばライブパフォーマンスでいえば、SCANDALのRINAさんの華奢なのに大きく魅せるところが大好きですし、ライブ全体でいえばLiSAさんのパフォーマンスはすごいですし。でも音楽性でいえばKing Gnuさん、歌詞やメロディでいえばあいみょんさんやaikoさんという風に、本当にたくさんいて。

──1回宣言したことは絶対にやり遂げる、というのはドラムに限らず葵さんのマインドでもあるんですかね。

そうですね。私、「言霊」を信じるタイプなので、見てくれる人たちの前であえて言うことで、「やらなきゃいけない」って奮い立たせています。本当だったら弱音を吐きたい時もあるけど、そういう時はSNSの投稿画面に打ち込むだけ打ち込んで、投稿せずに消します(笑)。

──言葉だけでなく、目に見える形で結果も残していますよね。昨年大手ドラムメーカーであるPearlとエンドース契約、FNS歌謡祭への出演と、着実にプロドラマーとしてステップアップしてきたと思いますが、実感はいかがですか?

Pearlとのエンドース契約は専門学生の頃から夢の一つだと公言していたので、自信になりました。FNS歌謡祭に関しては、メインである『ONE PIECE』のウタちゃんのバックでドラムを叩かせていただいたのですが、ずっと見ていた番組にどんな立場であれ参加できるというのが感慨深くて。FNS歌謡祭への出演によって「私はこういう活動をしていくんだ」みたいな明確な目標が持てたと思います。

私は最強 / ウタ ONE PIECE FILM RED 叩いてみた

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ドラム以外の表現の幅を広げたかった

──葵さんといえばTikTokやYouTubeなどで“叩いてみた動画”(楽曲に合わせてドラムを演奏する動画のこと)ですよね。動画を投稿し始めたきっかけって何かあったんですか?

当時“弾いてみた”が流行っていて、ブームに乗っかっちゃおうくらいの軽い気持ちでTwitterにドラム動画を投稿し始めて、そこからルーティン化していきました。コロナ禍に入った頃くらいに思うように音楽活動ができなくなったのもあって「自分を知ってもらうためのツールとしてSNSを続けていくべきじゃないか」って強く思うようになって、TikTokへ移行して。

──従来のミュージシャンとは別方向からオーディエンスが増える分、SNSならではの悩みもあったのではないでしょうか。

はじめに「いいね!」が付き始めた時は純粋に嬉しかったんですが、2回目のバズからは徐々にプレッシャーみたいなものを感じるようになりましたね。意図していないものがたまたま伸びたので、「同じパターンを続けないとこれからキツイかもしれない」という気持ちが強くなってしまって。

──数字や期待といったものが、のしかかってくるわけですね。

 “なりたい自分と評価される自分”の違いにはよく悩んでいました。動画の中には、私が叩いたからじゃなくて楽曲のおかげで伸びているものもありましたし。何を発信するにしても「この発言をしたらフォロワーさんたちは喜ばないかも」って1回は考えますし、「ミュージシャンとしてこの発言はしたい」と思うこともありましたし。

──TikTokerならではのギャップに苦しめられると……。

こういったギャップを、今後のアーティスト活動を通して崩していかなければいけないなと思っています。打破してこそ、ドラムボーカルのアーティストとしてオリジナルを出す意味があるんだろうし、私のなりたいアーティスト像にも近づくためにも必要なことなんじゃないかと思いますね。

──“なりたいアーティスト像”に近づくための一歩として、今回スタートしたのが「青い」というドラムソロプロジェクトです。「青い」ではドラムボーカルにチャレンジするわけですが、歌は前々からやりたいと思っていたんですか?

歌もやるべきだと思ったのはコロナ禍に入ってからですね。スタジオに入ることが簡単ではなくなって、アコースティックドラムから電子ドラムに切り替えたんですけど、電子ドラムではドラムでできる表現の幅には限りがあることに気付いたんです。そこで“声”という自分にしか出せないものが加われば、もっと広がるんじゃないかと思って、チャレンジしたいと思うようになりました。

ドラマーがヴァンパイア 歌ってみた!【葵ドラム】


技術を高めるための努力は続ける。ここは絶対に譲れない

──実際にボーカルをすることになっていかがですか?

「青い」のプロジェクトが始動することが決まる少し前から本格的に機材を揃えて、自分でレコーディングをしながらああじゃないこうじゃないと言いながら試行錯誤を積み重ねてきたのですが、やはりプロの方々にディレクションしていただいたとき、歌との向き合い方を根本から学ぶ必要があると感じました。今はまだこれからが楽しみという気持ちが大きくて、これから苦労するんだろうなぁと思っています。

──デビュー曲となる「推しあわせ」と「ムーヴ」という2つの楽曲が決まったときの率直な感想を教えてください。

たくさんデモを聴かせていただく中で、直感的にピンときたのが「推しあわせ」、テーマ出しなどやり取りを重ねて書き下ろしていただいたのが「ムーヴ」でした。私自身がミュージシャン気質の耳というより、リスナーの感性に近い耳をしているので、「これは何度聴いても飽きない」と思える楽曲になるように、展開に関しては特に細かなリクエストを出させていただきました。

──そのおかげもあってか、リズミカルでキュートな一面を押し出した「推しあわせ」に、ちょっとダウナーチックな歌声が映える「ムーヴ」と2曲ともすごい葵さんらしさが際立っていますよね。

私、自分が本当に良いものだと思えていないと「推せない」んです。だからこそ、ちゃんと腑に落ちたくて。ただ曲を書いてもらってそれを淡々と演奏するだけじゃ、「叩いてみた」をやっている私と何も変わらないので、ちゃんと自信を持って「これが“青い”の作品です」といえるものを届けたいと思っていました。

青い「推しあわせ」MUSIC VIDEO

──ソロプロジェクトのキーワードである挑戦・創造的・好奇心を含めた“フィクション”と本心・等身大・現実世界を含めた“ノンフィクション”は、対となる言葉ですが、どちらもポジティブな印象を受けます。葵さんとしてはこの2つのキーワードをどう感じていますか?

“フィクション”も“ノンフィクション”もわかりやすく称しているだけで、どちらも私自身であることが大前提です。“フィクション”は、画面の中の私を応援してくれていたファンの皆さんとのこれまでの歩みを続けたいという思いから来ているもの。“ノンフィクション”は、これからの私の活動をリアルに映し出すことを表現しています。なので、みんなで一緒に楽しめるものと、私の自己実現を詰め込んだものを両方出していくというのが、“フィクション”“ノンフィクション”であると思っています。リリースを重ねないときちんと伝わっていかないので、活動していく中で本当の在り方を伝えていければなと思っています。

──葵さんとお話していると、不屈のチャレンジ精神が伝わってくるようです(笑)。アーティストデビューを果たしたあと、次にチャレンジしてみたいことは何ですか?

まず「推しあわせ」と「ムーヴ」をたくさんの人に届けることに全力を注がなければ次はないと思っていますが、リアルでライブをやるのが目標の一つですね。「ドラム&ボーカル」のプロジェクトであることがまだ浸透していないと思うので、ライブや映像のほうがより伝わりやすいのかなと。実現して残念な印象にならないよう、日々練習を積み重ねていきたいと思います。あとは、ドラムサウンドに電子的な部分を加えてみたいというのと、サンプラーにもチャレンジしてみたいと思っています。挑戦できるところは全部やっていきたいですね。

──作詞にもチャレンジしてみたいと思っていたり?

そうですね!勉強から始めることにはなると思うんですけど、「推しあわせ」と「ムーヴ」の制作を経て、作詞にも携わってみたいなという気持ちが湧いています。楽曲のことをより深くお話しできそうですよね。

──ではもう少し範囲を広げて、音楽活動における次なる目標は何でしょう?

ドラムボーカルであることに甘えないでいたいなと思います。両方をやっているから、少し歌が下手でも、多少リズムがずれてもしょうがないみたいな許され方は嫌なので、技術を高めるための努力は続けます。ここは絶対に譲れないですね。そして私にしかできない音楽は何なのかを模索して、みなさんと音楽と通して繋がっていきたいです。それこそが、他のアーティストの楽曲をお借りして演奏していた「叩いてみた」ではなく、アーティストとしてオリジナル楽曲を届ける意味だと思うので。

取材・文=宮谷行美

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