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『七人の秘書』が広く愛される理由を解説 爽快なシスターフッドがSPドラマで再び

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『七人の秘書スペシャル』©︎テレビ朝日

 劇場版公開に先駆け、10月2日にテレビ朝日系でスペシャルドラマが放送される『七人の秘書』。今作では、2020年に放送された連続テレビドラマ版の続編であり、6人の秘書と1人の元秘書からなる“影の軍団”が権力組織の裏で結託し非情な権力者から弱者を救うストーリーが描かれる。本作は女性同士の支え合いを軸としてストーリーが展開されているのも見どころの1つであり、こうした構図はフェミニズムから生まれた言葉で「シスターフッド」と呼ばれている。

参考:木村文乃、菜々緒らがアクションに挑む 『七人の秘書 THE MOVIE』新場面写真公開

 「女性同士の連帯」と訳されることの多いシスターフッドは、もともとウーマンリブ運動である第2波フェミニズムの最中に生まれた言葉であり、女性解放運動のもと集まった女性たちの繋がりを示す言葉だった。昨今ではその意味合いに加え、愛情や友情など精神的な繋がりを強固に持つ女性たちを指す言葉としても使用されている。エンタメ作品では後者の意味合いで使用される場合が多く、海外作品では2013年公開の『アナと雪の女王』をはじめさまざまなシスターフッド作品が人気を集め支持されるようになった。

 昨今の日本ドラマでもシスターフッドは多く描かれるようになった。2017年放送の『監獄のお姫さま』(TBS系)では、家庭や職場でトラブルを起こした女性たちが女子刑務所で出会い、冤罪をかけられた「姫」のため結託し復讐を遂げる1夜の物語が描かれている。また2021年に放送された『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)では、男社会である警察組織内で女性警察官として連帯する様がコミカルに描かれ、本格的なお仕事ドラマと女性キャラクター同士のやり取りのバランスが秀逸で評価を得た。

 さらに同年には『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(NHK総合)も放送され、「2人でいればより楽しい」女性2人が幸せを求めて生活を共にする姿も描かれている。シスターフッドを中心にせずとも女性キャラクター同士が深く繋がり互いに支え合っているドラマ作品は多く、高評価を集めた『カルテット』(TBS系)や『アンナチュラル』(TBS系)、『凪のお暇』(TBS系)でもシスターフッドは描かれた。こうした描写は視聴者に安心感や癒しを与え、作品自体への評価に繋がる要因ともなる。

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 日本ドラマにおけるシスターフッド作品は身近な“生き辛さ”を扱うことが多いが、本作は巨悪を痛快に挫いて行く女性たちの活躍が主軸となっている。市井の人々が手を出し辛い領域へ自身の立場を生かして踏み込み、頭脳とアクションを交え活躍する様は観ていて実に爽快であり、ヒーロー作品のような高いエンタメ性も感じられる。現役の秘書である6人は大手銀行や警視庁、大学病院や都庁トップのもとで働いており、男社会を生き抜く力強さや知性を持ち合わせている。しかし秘書全員が完璧な人間であるわけではなく、得意不得意や抱えているものも違う。こうしたグラデーションは現実世界における多様な人々のあり方に即した描写であり、より登場人物たちに共感してもらうため視聴者を置き去りにしないという制作者の意図が感じられる。

 女性がストーリーの主軸となり、作り込まれたキャラクター性を与えられることは近年“当たり前”として扱われ、こうした“当たり前”が現実世界を生きる女性たちにとってのエンパワーメントになっていく。恋愛ものやイケメンのみが女性にとって重宝されていると思われていた時代もあったが、現実の女性たちは多種多様であり典型などないのだ。スカッと爽快な海外のシスターフッド作品といえば映画『オーシャンズ8』(2018年)が記憶に新しいが、日本には『七人の秘書』があるぞと声高に主張したい。(yoruno)

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