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『あなブツ』に2022年に出会えたことに感謝 “幸せは自分の手で掴むもの”という教え

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 現状、人知でコロナを完全に滅ぼすことはできない。それと同じく、人知にははかり知れない「巡り巡る何か」が、この世界には存在する。コロナがもたらしたものは、そのほとんどが災いだったけれど、前を向いて進み続ければ、その中にわずかな「希望」や「幸せ」も降ってくる。コロナ禍にならなければ、亜紀は漫然とキャバクラで働き続けていただろう。コロナが来たから、宅配ドライバーに転身して、自分の足で立ち、「生きている実感」を手に入れた。母・美里(キムラ緑子)のもとに身を寄せ、母娘の関係性を再構築した。祐二との関係にケリをつけ、咲妃ともきちんと向き合い、「(何が来たって)ママはもうビクともせえへん」と言える母親になった。

 汗だくになって顔をくしゃくしゃにしながら、がむしゃらに軽バンを走らせ続けて、ふと振り返ってみたら、亜子の後ろには知らぬ間に大きな一本道ができていた。自分で切り開いた「幸せの一本道」を、これからは堂々と歩いていく。ひとつ辛いことがあっても、ひとつ「いいこと」を積み重ねて、毎日を生きていく。

 番組タイトル『あなたのブツが、ここに』の「ブツ」は物流の「ブツ」であり、お客さまの「荷物」を表しているのだろう。同時に、一人一人の胸の深いところに宿る「ゆずれないもの」をも表してはいないだろうか。亜子にとっての家族、そしてドライバーの仕事。咲妃や美里にとっての「家族」。ミネケン(佐野晶哉/Aぇ! group)にとっての原風景である「女神」に誘われた「トラック」。最初から最後までひとつもブレなかった武田の「宅配のプロとしての矜持」。聖子(山崎静代)の、会社を守る経営者としての責任。祐二が捨てられなかった、亜子と咲妃が生きてきた証である「黒飴」。

 失敗したっていい。腐らずに前さえ向いていれば、毎日積み重ねてきたことは確実にあなたの糧になり、あなただけの道を作っている。幸せは、自分の手と足で掴むもの。そんなことを、このドラマは教えてくれた。亜子たちの日々も、私たちの日々も、続いていく。『あなたのブツが、ここに』が放送された2022年の晩夏を、私はきっと忘れないだろう。(佐野華英)

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