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素人でもできる窓と壁の対策!DIYで自宅避難できる家づくりに取り組む西野弘章さんに聞く②

防災ニッポン

知り合いのサッシ屋さんによると、「雨戸がある場合でも合板を張っておくのが一番」とのこと。合板を張るのが難しい場合、窓ガラスの外側に段ボールを重ねて防水テープで留めておくだけでも、ある程度の効果を発揮するのでやってみてください。

写真説明:合板の代わりに段ボールを重ねて防水テープで補強したところ

 物干し竿(ざお)が飛ぶとガラスを突き破るのでロープでしっかり固定します。庭やベランダに置いてある植木鉢、自転車、ガーデン小物など、飛びそうなものは室内や物置に収納しましょう。エアコンの室外機がひっくり返って破損すると、せっかく非常用電源を用意しても使えなくなります。これもロープなどでしっかり固定しておきます。

玄関や勝手口のカギは必ずロックしておきましょう。猛烈な風が吹くと、ドアがバタンバタンといって、吹っ飛ぶことがあります。

沖縄在住の方から聞いた工夫

台風が多い、沖縄在住の友人が教えてくれたのですが、ホームセンターで買える農業用のネットがクッションになります。車の周りや雨戸のないところの窓を、壁や庭木などにロープで縛って囲っておくのも良い方法です。

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写真説明:ネットを使って家や車をガードした様子

 窓対策以外のDIY

 ――ほかに、DIY未経験者でもできそうなことはありますか?

災害でエアコンなどが使えなくなると、夏の暑さ、冬の寒さがつらくなります。自宅避難をより快適に送るためには、家の断熱化を進めておくことが大事です。

自宅避難のために家の断熱化を

建物の熱損失の50%は窓などの開口部からです。ポリダン(段ボール状のポリカーボネート製のパネル)を使って内窓をつくることをお勧めします。

写真説明:掃き出し窓に、ポリダンを使って内窓をつけた例

ホームセンターでDIY用のキットが売っています。意外と簡単だし、力がない女性でも取り付けることができます。特に昭和時代に建った家はやった方がいいと思います。キットの窓レールを両面テープで既存の窓の建具枠に貼るだけですから、付けた後に取り外しも簡単にできます。

賃貸でもできます

大家さんにもよりますが、古いアパートやマンションでも効果的です。家の防災化のアドバイスをすることがあるのですが、賃貸の家で取り組まれた方もいます。

ガラスのような透明度はないので、多少見通しは悪くなりますが、逆に外部からの目隠しにもなります。何より即効性があり、夏は涼しく、冬は暖かく、家の中が一気に快適になります。省エネにもなりますよ。

開口部以外では

壁や床にもDIYで断熱材を入れることができます。壁用で扱いやすいのは、グラスウールやロックウールといった柔らかい繊維タイプ。床用の断熱材は限られた厚みで断熱性に優れるボードタイプがお勧めです。

体に優しい天然素材で、快適な癒やしの防災空間を

――西野さんは、自宅避難をより快適に過ごすための条件として、「断熱」だけでなく、「調湿」も挙げていますよね。温度だけでなく、湿度の調整も大切ですか?

むしろ湿度の方が重要かなと思います。暑さ、寒さは体感的には湿気が左右します。台風で被災し、猛暑のさなかに2週間停電しても自宅避難ができたのは、家の調湿機能がキモだった気がします。

天然素材の場合…

もともと日本では、無垢(むく)の木材や漆喰(しっくい)、珪藻土(けいそうど)など自然素材を生かした家がつくられてきました。これらの天然素材は、熱や湿気を適度に吸収したり、放出したりして、日本の高温多湿な環境下でも室温と湿度を適度に調節してくれます。

我が家の室内の壁はスギの無垢板と漆喰による仕上げになっています。私や奥さん、子ども達が作業したものです(=写真)。建物の強度に影響を与えないので、DIYで気軽に取り組めますし、値段も意外に安いです。素人でも簡単に仕上げ作業ができるインスタント漆喰も売られています。

自然素材の仕上げのおかげで、我が家は夏でも室内はさらっとしていて、一年を通じて快適な生活が送れています。

――自宅避難を考えるということは、日頃から省エネでも快適な家をつくることにつながるのですね。西野さんの本「避難所に行かない防災の教科書」では、写真入りで工程がわかりやすく解説されていますよね。漆喰を塗るなんて、ハードルが高そうでしたが、お子さんも含めて家族で、なんてすてきですね。

素人だからできること

プロは漆喰をコテで塗りますが、使い捨てのビニール手袋をして手で直接塗れば、子どもでも簡単に作業できます。自分の家ですから、かえって愛着がわきます。

――本では、DIYで自宅の耐震工事、耐風工事をする方法も解説されています。かなり本格的です。

DIYが得意な人は、自分で取り組めば工費も安く上がります。ただ、自信がない場合は迷わずプロにお願いしましょう。

耐震基準のこと

そもそも、今住んでいる家に耐震工事が必要なのかどうかです。目安となるのが、1981年6月以降の「新耐震基準」で建てられたかどうか。新耐震基準は、震度6~7の地震で倒壊、崩壊しないこととなっています。2000年には木造住宅の耐震基準がさらに強化されました。築年数が古い、過去に大きな地震を経験した、家の一部が傷んでいるなどの場合は、専門家に耐震診断を依頼するのが良いと思います。

昔の民家の瓦はクギなどで固定せず、屋根に置いてあるだけなので、超大型の台風では飛んでしまうこともあります。素人が屋根に上るのは危険なので、自信がない人は迷わず、業者に相談してください。屋根は軽い方が耐震性能はアップします。張り替えられるようでしたら、軽いものにすることも検討してみてください。

(写真はすべて西野さん提供。次回は、自宅避難をするために必要な「ライフラインの自給自足」についてうかがいます)

プロフィル 西野弘章(にしの・ひろあき)さん

出版社で雑誌編集に携わった後、独立。それを機に家族とともに千葉県・房総半島へ移住する。釣りの楽しさ、DIY・田舎暮らし&自給自足、アウトドア、料理、保存食などの世界を紹介するライターおよび編集者。著書に「避難所に行かない防災の教科書」(=写真)「小屋大全」「DIY工具50の極意」などのほか、釣り関係の著書も多数。

<執筆者プロフィル>
館林牧子
読売新聞 専門委員

※「DIYで自宅避難できる家づくりに取り組む西野弘章さんに聞く」は全5回。3回目は10月2日公開です。

<関連する記事はこちら>
養生テープは効果あり?台風・嵐の前の窓ガラス対策

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