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アルコ&ピース平子祐希、初の小説連載!「ピンキー☆キャッチ」第12回 最高の店選び

MOVIE WALKER PRESS

アルコ&ピース平子祐希、初の小説連載!「ピンキー☆キャッチ」第12回 最高の店選び

MOVIE WALKER PRESSの公式YouTubeチャンネルで映画番組「酒と平和と映画談義」に出演中のお笑いコンビ「アルコ&ピース」。そのネタ担当平子祐希が、MOVIE WALKER PRESSにて自身初の小説「ピンキー☆キャッチ」を連載中。第12回は3人のサブメンバーの獲得に成功した都筑が決起集会を企画するのだが…。

■ピンキー☆キャッチ 第12回

「鈴香です」
「七海です」
「理乃です」
「私達三人合わせて『ピンキー☆キャッチ』です!」
十七歳の私達、実は誰も知らない、知られちゃいけないヒミツがあるの。それはね、、表向きは歌って踊れるアイドルグループ。
でも悪い奴らが現れたら、正義を守るアイドル戦隊『スター☆ピンキー』に大変身!
この星を征服しようと現れる、悪い宇宙人をみ~んなやっつけちゃうんだから!
マネージャーの都築さんは私達の頼れる長官!
今日も地球の平和を守る為、ピンキー☆クラッシュ!

都築は悩んでいた。新たに三人のサブメンバーを迎え入れる事には成功した。これからプリズムパワーを使いこなす研修期間に入る。それに先立って顔合わせ兼、決起集会の飲み会を計画したいのだが、店選びに苦戦していた。

パンクスの三島は29歳。女子大生の咲恵が20歳。そして資産家の鏑木は52歳である。年齢もライフスタイルも異なる三人全員がしっくりきそうな店が見当たらない。もちろん三人とも嫌な人間ではない。『自分はどこでもいいですよ』と声を合わせるに違いない。それは分かるのだが、それでは都築が納得できないのだ。昔から誰かを迎える側の立場になると妥協できない性格だった。今回もその気を使いすぎる面倒な虫が騒ぎ出したのだ。

三島に合わせれば下北か高円寺辺りの安い焼き鳥屋で済むだろう。咲恵を優先するのであればカフェ一択だ。鏑木が好むのは老舗のBARかどこかだろうか。こうして、誰かに合わせれば他の誰かがやや浮いてしまう店選びとなる。普通の居酒屋ならいいだろうという意見もあるだろう。しかしあれだけ大袈裟に勧誘して承諾を貰った手前、『決起集会と銘打っておいて普通の居酒屋かよ』という印象を持たれるのは避けたいのだ。

都築自身、同僚などと飲む際は職場から近い居酒屋が常であり、他の店舗には明るくない。条件を絞り携帯で店舗検索を試みた。条件ワードは『居酒屋』『接待』『個室』『デート』だ。『接待』に相応しい雰囲気はマストである。もちろん誰にも聞かせられない内々の話も出るので『個室』も外せない。しかしそれらの要素だけではジジ臭い店になってしまいがちだ。何より紅一点である咲恵にも楽しんでほしいがゆえ『デート』で使えるような洒落た感じも兼ね備えたい。

検索結果は思った以上に多くの店がヒットした。一番最初に出てきた店舗の写真をスクロールして都築は驚いた。その店内の壁には巨大な水槽が埋め込まれており、色とりどりの熱帯魚が泳いでいた。ソファのような形でクッション性がありそうな椅子も居心地が良いだろう。さらには『全席個室』とあり、料理も肉から魚から記念日のケーキまでにと多岐に渡っている。一番驚愕したのはそんな高級な雰囲気とそぐわず、一人当たりの平均料金も3500円とリーズナブルなことだ。

都築は「もうこの店でいいではないか」と喜んだ。予定日は三日後だが、こんな人気店ではあっという間に埋まってしまうに違いない。慌てて電話をかけ、四人の予約を取り付けた。
都築は今後、この三人の命を預かるといっても過言ではない。その上で信頼をしてもらうのは大切なことである。“いい店を知っている” これは人に信頼してもらう上でとても大切な事だ。

『ラグジュアリーな店内で未来を語り合い、心を一つにしよう』

都築は胸を熱くし、スマホをグッと握りしめた。

三日後、四人は19時に新宿東口の交番前で待ち合わせをした。土曜日の新宿は人の波が行き交っている。都築は20分前にスタンバイしていたが、程なくしてウォレットチェーンをジャラジャラいわせながら三島が到着した。

「おお三島君ここです。早かったね」
「こんばんは。初対面の人を待たせるわけにもいかないんで急ぎました」

三島は照れ臭そうにはにかんだ。優しい語り口と、激しいフォントで『蟹工船』と書き殴られた真っ赤なTシャツのテンションに違和感があった。二人でしばらく大好きなTHE BLUE HEARTSについて盛り上がっていると、帽子を深めに被った咲恵が現れた。

「咲恵ちゃん、今日はどうもありがとう。あ、こちら一緒に戦ってもらうメンバーの三島君です」
「三島です、どうも初めまして」
「加藤咲恵といいます。わぁ、背高いですね、190くらい?」
「そんなにないですよ(笑)84、5です」
「細いから高く見える、羨ましいなあ」

20代の二人はすぐに打ち解け、会話を交わしていた。咲恵を挟んで二人で『TOO MUCH PAIN』の良さを熱弁していると、鏑木が小走りでやってきた。初対面の時のパーカー姿とは打って変わって、シックな黒のシャツでキメている。

「もうお揃いだった!申し訳ないです」
「いえいえ、我々が早かっただけですよ。こちらが三島君と加藤さんです。これで三人が揃いました」
「初めまして、鏑木と申します。ああ聞いてた通りだ、若いなあ」

店への道すがら、三人は年代のギャップの話で盛り上がっていた。鏑木が把握しているポケモンがピカチュウとコイキングのみである事を知り、三島と咲恵が笑い転げている。それぞれ相性が良さそうで都築は胸をなで下ろした。さあここからが本番である。『グータンヌーボのようなシティ派な居酒屋で驚かせてやる』。はやる気持ちを抑えたが、歩を進める足は自然と速まった。

(つづく)

文/平子祐希






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