この近しい相手に抱く嫉妬というのは相手に対する「羨ましい」という感情があるのはもちろんですが、そもそも相手の羨ましい要素が「自分も本当は叶えることができる」「自分も手に入りそう」という横並びの感覚がどこかにあるとより強く感じると言われています。
逆を言えばとてつもなく遠い存在に感じられる相手には、憧れこそ抱いても嫉妬は抱きません。嫉妬は「手に入りそうで入らない」という主観的な思い込みが生み出す感情なのです。
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今回のケースで言えば、衛藤さんとAさんは同じプロ野球選手の妻です。また、Aさんも元タレントだったと報じられました。
もちろん当人の人気の差は大きくありますし、夫の実力や年俸、立場の差もあります。しかし肩書を見ただけなら、「近いものがある」という感覚が芽生えなくもないでしょう。
山田選手は源田選手よりプロ野球選手としては先輩ながら、現在はチームでの立場や年俸は大きく差が出ています。“下に抜かれる”という現実も、山田選手の妻としては腹立たしい気持ちになったのかもしれません。
■嫉妬は徹底して受け入れると消える
時として抱いた人の心を蝕む嫉妬ですが、解消する方法は「嫉妬心を真正面から受け入れる」ことしかありません。
つまり「私はこの人のことを羨ましいと思っている」「この人みたいになりたいと思っている」という事実を自分が受け入れるのです。
苦しさは、羨ましいという感情を自分が受け入れないから湧き続けるのです。受け入れてしまうことで「どうやったらこの人みたいになれるか」とプラスの思考に転換できることもあれば、「冷静に考えれば私の憧れはもう少し違うな」と気づくこともあります。
どちらに転ぶかは分かりませんが、感情は常に振り子のように揺れているものです。嫉妬というマイナスの揺れは、まずその感情を受け入れないとプラス(もしくはゼロ)には戻りません。受け入れないといつまでもズブズブと負の感情が増幅し、場合によっては誹謗中傷といった理性を欠いた行動も引き起こしてしまうのです。
言った方はその瞬間の感情を発散しただけかもしれませんが、言われた方は深くキズつくことがある。誹謗中傷に対してよく言われる言葉です。それでもする側はされる側の気持ちを慮ることはなく、その数は日々増え続けています。
近年はネットの誹謗中傷に対して法的な対応を取る人も増えています。自分も痛みをもらうことでしたことの重大さに気づくというのは、解決方法としては合理的かもしれません。しかし人は理性があるのですから、こうした最悪の結末を迎える前に自らの行動を自制する人が少しでも増えて欲しい。そう願うばかりです。
(文:おおしまりえ)