フレッシュな食感や瑞々しい味わいが食卓を彩る野菜や果物。最近では、店頭で購入時に行う「目利き」が浸透しつつあるが思っていた状態とは異なることも……。「教えて！goo」にも果物を購入したものの食感が悪かった人から「果物の返品は非常識ですか」という投稿があった。そこで、野菜販売サイト「ゴヒイキ」と消費者問題に詳しい鈴木淳也弁護士に野菜や果物の返品について聞いてみた。■通販サイトの場合は原則返品不可？
「ゴヒイキ」では、インターネットを介して野菜や果物の発送を行うが、購入した商品が傷んでいた場合の返品に対応しているだろうか。
「当サービスの規約では、基本的に注文いただいた商品の返品は不可としております。例えば、お客さまのご都合で受取ができず傷んでしまった場合は返品不可となります。しかし、配送会社の発送遅延などによって傷んでしまった場合は、配送会社と連絡を取らせていただき、事実確認をしたうえで判断させていただきます」（ゴヒイキ）
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で物流に遅れが出たことは記憶に新しい。台風や大雪などによる遅延もありえるだろう。このように購入者側と配送会社共に非がない場合はどのように対応すればよいのだろうか。
「予定通り野菜や果物を受け取ったものの商品が傷んでいた場合は、まず購入先の農家さまに連絡をし、返品して問題ないかの確認を取らせていただきます。農家さまに了承を得られた場合は、返品対応をします。しかし生ものということもあり、ほとんどの農家さまから『そのまま廃棄してほしい』と返答がございます。返品される購入者さまが少ないため、『傷んでいた』という旨を農家さまにお伝えし、新しい野菜を再送していただくことが多いです」（ゴヒイキ）
通販サイトに限らず、実際に野菜や果物を購入してから異変に気づくこともあるだろう。問い合わせをする前に、まずは自身の保存方法に間違いがなかったか確認したい。
■小売店で購入した商品の返品は法的にも難しい？
一販売店「ゴヒイキ」の対応状況は上記のとおりだが、返品に応じない店舗も存在するかもしれない。法的に見て、野菜や果物の返品は可能なのか鈴木淳也弁護士に聞いてみた。
「商品の購入は法的に言いますと、売買契約が成立しているということになります。一度成立した契約をなかったことにすることは中々できません。一定期間内の契約であれば、無条件に解除ができる『クーリングオフ』をご存知の方も多いはず。しかしクーリングオフは、訪問販売や電話勧誘販売といった限られた販売方法の場合に適用されるものです。小売店で購入した商品を無条件に返品することは難しいでしょう」（鈴木弁護士）
だが購入した商品が腐っていて食べることができないといった状況だと、店側の「債務不履行」にあたり、腐っていない商品との交換を求めることができるという。
「商品の交換や返品を求める場合は購入したことがわかるレシートが必要なので、控えておきましょう。購入してから長い時間が経過すると、購入後に商品の異常が発生した可能性が高まり立証が難しくなります。そのため、店側が応じてくれない可能性が高くなります。まだ食べることができるのに『果物や野菜の見た目が悪い』といっただけの状況では、交換を求めることはできません」（鈴木弁護士）
生ものである野菜や果物は、他の商品に比べても返品時に条件が生じてしまうようだ。購入後すぐに食べられる状態ではないと判断できない場合は、返品が難しい品目だ。購入時によく確認することが、家計と時間の節約につながるといえるだろう。
●専門家プロフィール：ゴヒイキ
全国の農家と消費者を繋ぐプラットフォーム。消費者がリクエストした金額にあわせて、農家が選んだ旬の農作物を届ける。
●専門家プロフィール：鈴木淳也総合法律事務所（第一東京弁護士会）
「一人一人と向き合って、その人にあった解決策を一緒に考えていきたい」というポリシーを持つ、東京・錦糸町にオフィスを構える法律事務所。離婚・男女問題や消費者問題、インターネット問題など幅広い分野に対応。
教えて！goo スタッフ（Oshiete Staff）
