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『ちむどんどん』感動の名シーンを振り返る 全125話を貫く“幸せ”というキーワード

Real Sound

「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」

 楽観的に見えるのは何も能天気に構えて考えていないのではなく、少なくともそこにはどうにか気丈に振る舞おうとしたり、ネガティヴな方に引っ張られまいと抗おうとする“意志の力”が働いているのだ。それが傍から見れば身の程知らずで向こう見ずな目標を掲げているように聞こえても、その拠り所がないと簡単に人は悲観に転じてしまうものだ。

 悲観に流されそうになった際に、尽くその人間に手を差し伸べてきたのは「アッラ・フォンターナ」の料理長・二ツ橋(髙嶋政伸)だろう。一度はオーナーの房子(原田美枝子)はじめスタッフ全員を裏切った矢作(井之脇海)に「あなたが悪い人間でないことは、オーナーをはじめ、みんなよく知っています。だけど、あなたは料理人として道を誤り、信頼を失ってしまった」と人格を否定するのではなく、その行為だけを切り離して事実を伝えていた。

「その重たい荷物は、あなたが料理人を続けていく限り、ずっと背負い続けなければなりません。その覚悟を持てるなら、いつかきっと失った信頼を、取り戻せるはずです」

 この厳しくも愛情に溢れた二ツ橋の叱咤激励は、今後も矢作が投げやりな気分に引っ張られそうになった際に、意志の力を呼び起こしてくれる灯火となるだろう。

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 かつて飲食店経営に乗り出し失敗した過去がある二ツ橋だからこそ、矢作だけでなく沖縄料理店をオープンするもなかなかうまくいかない暢子にも、根本的に大切なことを説得力を持って伝えられたのだろう。

「うまくいかない時は、たとえ悔しくても悲しくても辞めてもいいんです。一度止まって休んでもいいんです。あなたは飲食店で成功するために生きているわけではありません。幸せになるために生きてるんです」

 夢に向かう道のりの中でつまづいたり立ち行かなくなった時には、勇気を持って引き返したり、立ち止まることも必要だ。二ツ橋は、ワクワクしなくなってしまった道をただひたすら盲目的に走り続けることの危険性を説いた。

 “幸せ”というのは予め決められた場所にあるゴールではなく、夢に向かう道中である。だからこそいくらだって軌道修正可能で、その道のりは実は無数に広がっている。本作に登場する不器用で荒削りなキャラクターたちが、そのことを実直に体当たりで見せ続けてくれた、そんな半年間だったように思える。(佳香(かこ))

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