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あの子がいる…それは「もったいないほどの事実」だった

幻冬舎ゴールドライフオンライン

「今だって、わたしは踊り続けているの。形通り踊ることだけがダンスでは、ないんだから」※本記事は、アミュースケール氏の小説『いつもあの子は踊っている』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

3 天稟

駅の改札口の前には、あの子がいる。ゑ、正直言って、かわいい。それは、もったいないほどの事実である。いかにして、あの子は、生きてきたのか。

おや、突然鳥が鳴いた。その鳥は、人間に嫌われてしまっている哀れな黒い鳥である。なんだろうか、先んじて苦手に感じてしまう、全身に迸(ほとばし)るほどの感覚や感情というものに、あまりにも、人々は敏感で振り回されているのではないだろうか。謂(い)わば、アストラルトラップや錯覚というものも含まれているのであろう。

そんな頼りないものをあの子は、それも繋がれてきた愛なんだよと、鮮明にしたり、新たな色づけをしたり、たまに、忘れさせてくれているのかもしれない。

「おはよう! スグル」

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「おはよう」

「今日の労働経済学の授業が終わったら、また、あの食堂近くの、ベンチで待ってるからね」

「おお、うん」

「あ、後ろ髪がまた立ってる」

サヤカは楽しそうに、スグルの後ろ髪をつっついた。スグルはなんだか、照れてしまって、上手く体や指先が動かない。

二人は、スマホを改札にタッチして、LEDに照らされた影を歩く度に縮めていく。駅構内のタイルからは、多くのコツコツとした足音が映画やドラマのワンシーンのようにも聞こえてくるが、時間帯としては、少々慌ただしい。

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