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sumika主催対バンイベント『TOOY』にKroi、ズーカラデル、w.o.d.が集結 音楽性の異なる“ライブバンド”招いた異種格闘技戦

Real Sound

sumika、Kroi、ズーカラデル、w.o.d.(写真=後藤壮太郎)

 9月12日、13日に開催されたsumika主催の対バンイベント『sumika presents「TOOY」』。12日公演ではOfficial髭男dismとのツーマンが実現。13日公演にはKroi、w.o.d.、ズーカラデルが招かれた。

(関連:【写真あり】sumika、対バンイベント『TOOY』レポ

 本レポートでは13日公演を振り返るが、出演バンドの顔ぶれが面白いしやや意外性さえもある。音楽性は異なる4組だが、片岡健太(Vo/Gt)曰く、共通しているのはみんな“ライブバンド”だということ。sumika主催のライブとしては久々の対バン。10年前からーーいや、sumika結成以前からあったバンドマンの心を、改めて確かめられる夜が、今の彼らにとっても大切であり必要なのだろう。

 『TOOY』のためにsumikaが制作したジングルをバックに、最初に登場したのはw.o.d.。たった3人で鳴らしているとは思えない、グランジ由来の轟音があっという間に会場を席巻。刺激的なオープニングだ。重心低く鳴らしながら疾走する「リビド」や「イカロス」から、ロックアンセム「バニラ・スカイ」へと高揚感を誘った冒頭3曲は最新アルバム『感情』を踏襲した曲順。さらに同作からは「オレンジ」も披露された。この日初めてw.o.d.を観る人も多かったであろう観客は、初めはバンドのソリッドな演奏に圧倒されている様子だったが、ライブが進むにつれて上がる拳の数が増えていった。MCでは「温かく拍手を送ってくれてありがとうございます」と話すサイトウタクヤ (Vo/Gt)。対バンならではの醍醐味、新しい出会いをバンドも観客も楽しみながら迎えたラストの「1994」では、3ピースサウンドがどこまでも開放的に響いた。

 2組目のズーカラデルは、軽快に弾む「アニー」からスタート。虹色の照明も相まって、ポップな印象のオープニングだ。この日のライブにはギター、キーボードのサポートメンバーを入れた5人編成で臨んだ彼ら。ユニークなベースラインに始まり豊かなコーラスワークを聴かせた「ピノ」、「我々のふるさとの曲です」と紹介した「シーラカンス」など6曲を披露した。MCでは吉田崇展(Vo/Gt)が、sumikaから声を掛けてもらった時に「地元のライブハウスのブッキングみたいだなと思いました」と明かし、「それをsumikaというでっかいバンドがやってるのがめちゃめちゃカッコいいし、嬉しいなと思って」とsumikaへのリスペクトを表現。その後、同じライブハウスに居合わせた似たもの同士な他人たちを童謡調の物語に喩えて歌う「友達のうた」を届けた場面は、『TOOY』を象徴するワンシーンとなった。

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 3組目のKroiは、以前sumikaの片岡が好きな曲としてSNSで紹介していた「shift command」を1曲目に選んだ。ソウルフルな歌唱からリズミカルなラップまで自在なボーカルを擁した、新世代のミクスチャー感覚を持つバンド。「おしゃれな音楽だと思う人がときどきいるらしいんですけど、我々はこうやってダラダラとライブしてます(笑)」とは内田怜央(Vo/Gt)の言葉だが、仲間とお喋りするようなラフさで以って、しかし圧倒的な数の引き出しを参照しながらリアルタイムで行われる楽器間のコミュニケーションがライブバンドと呼ばれる所以。特に、音源とは別物のアレンジによる「Network」ではその極みと言える演奏で魅せた。客席もいいリアクションを見せ、「Fire Brain」が始まる前にはベースラインに誘われる形で観客が手拍子し、内田が「ya!」と反応。会場全体でセッションしているような空気感が最高だった。

 ラストにはsumikaが登場。対バンライブの場合、主催バンドが一番長くライブを行うケースも多いが、“全バンド、フラットに”という考えから4組とも持ち時間は同じにしたとのこと。前3組のライブに焚きつけられたのか、いつもよりさらに泥臭く、短い持ち時間で心を燃やすようにライブするsumikaの姿がそこにあった。

「w.o.d.、カッコよかったよね。ズーカラデルもカッコよかったよね。Kroiもカッコよかったよね。ライブバンドとして、ラストバッター、sumika始めます!」

 片岡の激しいギターカッティングをきっかけに「グライダースライダー」からスタート。勢いに身を任せるというよりかは、一歩一歩踏みしめるように深く鳴らすバンドサウンド。荒井智之(Dr/Cho)のドラムは一発一発が重く、澄み切った音を繰り出す小川貴之(Key/Cho)のタッチも力強い。黒田隼之介(Gt/Cho)のギターソロからも想いが溢れていて、片岡はその横で「いけ!」と言わんばかりのしぐさをしつつ、自らもギターを掻き鳴らしていた。2015年にリリースされた曲だが、自分の心に従って一つの道を選ぶ覚悟を歌ったこの曲は、後にMCで語られた、2020年以降確かめた“やはり自分たちには音楽だ”という想いとも重なっている。歌詞に綴られたかつての自分の心の核は、今の自分の中にもある大切なものだと認識した上で歌う片岡のボーカルは力強い。そのボーカルを、彼と同じ想いで同じ言葉を発するメンバーのコーラスが肉づけすることで生まれる、圧倒的に“人”由来の熱量。バンドの演奏が観客の心を熱くさせるまでに時間はかからず、「まだまだ元気残ってんの? 本当にまだまだいけんの? ちょっと心配だなあ。そんな時の呪文があった気がするなあ」と片岡が挑発的に誘ってからの「ふっかつのじゅもん」ではさらに盛り上がった。「グライダースライダー」に引き続き、楽器を持ち上げたり前傾姿勢になったりしながらガシガシとギターを弾きまくる黒田の前のめり具合も最高。片岡が歌の合間に投げかける「もっともっと!」「後ろも!」「最高!」といった言葉がバンドや観客をさらにブーストさせる。

 客席からの拍手に対して、「音がでっかい!」と笑う片岡。MCでは「いやー、とんでもない対バンですね」と切り出しつつ、この日集まった4組について「似てないけど共通して言えるのはみんなライブバンドだということ」とコメントし、「俺らも負けちゃいけない」と意気込んだ。そして「誰に言われたわけでもないんですけど、やりたい曲をやらせてもらうので、聴いてもらっていいですか?」と始まったのはなんと出演バンドのカバーで、w.o.d.の「1994」、ズーカラデルの「アニー」、Kroiの「Balmy Life」をメドレーにして演奏。sumika流にリアレンジというよりかは、相手バンドの特色に寄せたアプローチを楽しむような演奏で、だからこそ片岡、荒井、黒田、小川のプレイにある彼ららしさがかえって浮き彫りになっている(特に「アニー」のドラムは荒井らしさ全開)。そしてメドレーになると改めて思う。本当に異種格闘技戦のような対バンだなと。出演バンドへのリスペクト、多様なジャンルを自分たちの楽曲に取り入れてきたsumikaの音楽性があるからこそ成り立つメドレーだ。

 ゲストメンバーの須藤優(Ba/XIIX)、George(Syn/Mop of Head)、岩村乃菜(Cho&Per)も含めたソロ回しがあった「Strawberry Fields」までを終えると、早いものでライブの終わりも近い。ここでは片岡が、人に会えなくなり、気軽にライブをすることもできなくなった2020年春以降、ふてくされていた時期も正直あったが、オンラインライブや感染症対策ガイドライン下でのライブを行う中で「音楽がなくても死なないけど、音楽があった方が人生が豊かになる」「だから音楽のある人生の方が好き」と改めて実感したと明かし、その上で、今日出演した3バンドは「2020年の暗闇の中でも今日まで音楽を続けてきた同志」だと、さらに「やっぱり生のライブを観ると心にグッとくるんだよね」という気持ちで今日ここに来たであろう“あなた”(観客)も志は一緒だと語った。

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