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Non Stop Rabbit、自ら選ぶことで作り上げてきた最高の瞬間 豊洲PITのリベンジも誓ったEXシアターワンマン

Real Sound

Non Stop Rabbit(写真=菊島明梨)

 今年3月、コロナ禍を理由に自ら封印していたライブ活動を約2年ぶりに解禁したNon Stop Rabbit。そこでライブの楽しさをあらためて噛みしめ、ファンと共有するかけがえのない時間への思いをさらに強めたメンバー3人は、7月20日にリリースされた最新シングル『無自覚の天才』を携え、東名阪ツアー『無自覚とは言いつつ多少は自覚がある天才ツアー2022』をスタートさせた。今回は、そのファイナル公演となった9月15日の東京・EX THEATER ROPPONGIでの熱いライブをレポートしていく。

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 レーザーが飛び交うド派手な照明の中、「無自覚な天才」をモチーフとするオープニングSEとともにステージへ登場した矢野晴人(Vo/Ba)、田口達也(Gt/Cho)、太我(Dr)の3人。「昔々あるところにウサギとカメがいました。あの日、敗れたウサギはこう思いました。俺たちはもう止まらない。止まらないウサギ、Non Stop Rabbit始めます」というおなじみの口上を経て、ライブは「ALSO」で勢いよく幕を開けた。聴き手のテンションを否応なしに上げるサウンドと突き抜けるボーカルによって、フロアには熱い空気が一瞬で充満していく。「六本木、お待たせ! 最後まで楽しんでいこうな」と晴人が一言放ち、キャッチーなイントロが印象的な「乱気流」へ。未だ客席では声が上げられない状況ながらも、オーディエンスは全身を心地よく揺らしながら、クラップやハンドアクションで応戦。ノンラビへの思いをステージへとぶつけていく。開けたサビがポジティブなムードを加速させた「明るい歌」、せつなさを秘めた世界観をファルセットまじりのボーカルで表現し尽くした「私面想歌」、強力なシンセサウンドとヘビィなギターサウンド、ド太いビートでフロアを揺らしまくった「TABOO」と、オープニングから連続で届けられた5曲によって、会場には圧倒的な一体感が生まれていた。

 最初のMCでは、この日の会場であったEX THEATER ROPPONGIにまつわるエピソードを軽妙なトークで回していく。そして、「今日はホールなんでね、お互い緊張するとは思いますけど、ラフにいつも通り楽しんで、笑いたいところは笑ってもらって大丈夫ですし、おもしろかったら拍手してください。よろしくお願いします」という挨拶に続き、「普段はこんな序盤にはやりませんけど、下半身から盛り上げようかなと思いまして。Hな曲やってもいいですか? 喘ぎ狂え!」という達也の煽りで「Pant Voice」へ。痛快なデジタルロック的サウンドに乗せ、晴人と達也のボーカルの掛け合いで艶っぽいムードが醸し出されていく。間奏では中央のお立ち台で晴人と向かい合いながら達也がギターソロを演奏する熱いシーンも。「BIRD WITHOUT」ではストレートなメッセージで聴き手を力強く鼓舞し、しっとりとしたボーカルから始まる「夏の終わり」ではタイトル通り、過ぎ行く季節をノスタルジックに染め上げていく。花火の打ち上がるSEから導かれたラスサビは最高に感動的だった。「恋愛卒業証書」では、ドラマチックな演奏とエモーショナルなボーカルによって、有限である命を意識したバラードを丁寧に紡いでいく。この曲で見せたような、少しシリアスで繊細な表情もまたノンラビの大きな魅力だと思う。

 六本木でバイトをしていたという達也の思い出と、大学中退間近の頃に六本木のクラブで遊んだ太我の思い出と、飼っているカエル(ミドリ)が自宅で行方不明になったという晴人の旬なエピソードでひとしきり盛り上がったMCを経て、ライブは後半に向けて折り返していく。全員がハンズアップしてハッピーな光景を生み出した「偏見じゃん」や、無数の指ハートが“尊い推し”であるノンラビに向けて放たれた「推しが尊いわ」といったキラーチューンの連発に盛り上がりはさらに加速。そして、突如鳴り響いたサイレンの音を合図にステージ上から一旦消え、全身タイツ&サングラス姿で再び登場した晴人と達也の2人が「豆知識」を歌い出す。曲の途中では指揮者の格好をした太我が現れ、ステージ中央のお立ち台で一心不乱に指揮棒を振りまくる。かと思えば、2人の黒子が両側から引っ張ることで燕尾服が引き裂かれ、太我も全身タイツ姿に。楽器を持たない全身タイツ男3人が楽しげに歌い踊る様に、オーディエンスは満面の笑顔で割れんばかりの拍手を贈っていた。

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 ステージ裏でノーマル衣装に着替えた3人は気を取り直し、通常バンドスタイルで「無自覚の天才」をプレイ。TVアニメ『転生賢者の異世界ライフ~第二の職業を得て、世界最強になりました~』のオープニングテーマとして書き下ろされた最新シングル曲をクールに披露することで、全身タイツでのパフォーマンスを無事、帳消しに。続く「三大欲求」「ハニートラップ」の2曲でも激しく熱気に満ちたプレイで会場を魅了していった。ライブのクライマックスに向け、今ツアーおなじみとなっていた「ジャンボリミッキー!」でのジャンプの練習をした後は、「今日は最強目指していきましょう。今までのライブを超えたい! みなさん一緒に超えてくれませんか?」という達也の一言を合図に「アンリズミックアンチ」へ突入。続く「Needle return」からは太我以外の2人が楽器を置き、ハンドマイクで歌をエネルギッシュに届けていく。バンドであることにさえ縛られず、その瞬間を最高のものにする最善の方法を選択する柔軟な姿勢もまたノンラビの大きな魅力なのだろう。タオルを振り交わして猛烈な風を巻き起こした「音の祭」、途中から楽器を持ち暴れまくった「Refutation」とハイテンションなナンバーを連続投下していった。

 そして。熱気渦巻くステージの上で、約2年前に自らの判断で中止にし、ライブ封印へのきっかけとなった豊洲PIT公演への思いを達也が語りだす。

「あの日、豊洲PITを最高のライブにしよう、そんなことを夢見てた。でも、俺たちは、自分たちでやらないって決めた。俺たちは自分で選んで後悔したいから。俺たちは今後も優等生なんかじゃいたくないし、誰かに決められたくない。自分で選んでいきたい。そんなことを考えたとき。やっておかなきゃいけねぇ場所があるなって思ったわけよ。あの日、進むために中止すると決めた豊洲PITを、全国ツアーを回りながら来年やります! あそこでやんないと俺らもお前らもなんか止まった気になっちゃうっしょ。またここから素敵な思い出作りを始めていきましょう。こんな生き方をする俺たちを他人事だと思うなよ。お前らも同じ。優等生にならなくていい。自分のやりたいことを、自分の決めたことを精一杯やってください。本当に今日まで支えてくれてありがとう。全身全霊で届けます」

 バンドの揺らぎないアティチュードをあらためて宣言した彼らは真摯に、最高に楽しそうに「優等生」を演奏。そして、観客たちにスマホのライトを点灯してもらうことで生まれた感動的な景色の中でラストナンバー「PLOW NOW」を届け、この日のライブを、そして東名阪ツアーを最高の大団円へと導いた。達也が宣言したように来年1月からは約3年ぶりの全国ツアー『PITやんなきゃ始まらねぇだろTOUR 2023~あの日と違う事はたった一つ、俺たちはメジャーアーティストになった~』がスタートする。3月11日のファイナル公演はあの場所、豊洲PITだ。新たな未来へ進むためのケジメをつける旅を経て、ノンラビはさらに大きなバンドに成長していくはずだ。(もりひでゆき)

 
   

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