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「逃げないことを約束するなら、遠慮なく鍛えますよ」…厳しい取締役との絆

幻冬舎ゴールドライフオンライン

変化が与えたものは、希望。そして、ひとりで生きる原動力だった。地方企業に勤める凡庸な会社員が紡ぐ、起業に至るまでの生々しくも鮮明な足跡。組織・企業・生物化学・インターネット・経済的要素が不揃いに混じり合う、ニュータイプの社会派小説。※本記事は、西村龍一氏の小説『露地裏の集団ジェンガ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

第一章 洞穴の燈火

川島は、東証一部上場のコンサルティング企業の出身で、その名は経済ニュースをまったく集めない僕なんかでも知っていた。

どうやらその企業が得意としていたのは、新しい業態そのものを、0から創造することにあった。

創造した業態は、フランチャイズの形式で拡大した。ビジネスモデルの核となるのは顧客の業績向上で、対価としては加盟金。そして著作権と特許権の使用料だった。

外部の企業や社内の競争に、川島は尽く勝利した。そして獲得した地位に執着はしなかった。数少ない仲間とともに、とある企業の事業部門を買収した。

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川島は二十代最後の年齢で、経営者へと転身した。創業当時は赤字が続くので、しばらく辛酸を嘗めることもあったが、末に組織は拡大した。

つまり川島は、所謂エリートであると。そう世間では分類される人材だった。

そういうことを、冬木は滔々と僕に伝えた。

「しかしね。敏腕な人っていうんやったら、そら例えば上松部長とかで十分でしょう」

ロックグラスの中を覗くと、茶色く濁った液体が小さく揺れている。

冬木は急に咳き込んで、丸くなった目を上げた。

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