その夜、歌子が歌い、優子が踊った曲は時恵の回想部分でも流れていた「浜千鳥」。寝ても冷めても忘れられない、我が親と過ごした日々と歌うこの曲を美しく、切ない表情で踊り切る仲間は幼少期から琉球舞踊に親しんでいた。師範昇格の登竜門にあたる新人賞をも受賞している名手としても知られており、その才能も遺憾無く発揮された本シーン。上白石萌歌の歌い上げも見事で、これまでの撮影期間で培ってきた民謡と三味線の成果が表れていた。
草刈と仲間ら名優の演技合戦であると同時に、『ちむどんどん』が帰結するべき物語……戦争時に飢え、渇きを癒せなかった人々の無念が暢子の「食を共有する」物語に結びつく回だった。(アナイス/ANAIS)