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誰もが振り回された“狂騒曲”。それでもメイウェザーが「誇りに思う」と語った朝倉未来戦は単なる金儲けではなかった【RIZIN】

THE DIGEST

誰もが振り回された“狂騒曲”。それでもメイウェザーが「誇りに思う」と語った朝倉未来戦は単なる金儲けではなかった【RIZIN】

 最後まで“メイウェザー狂騒曲”はフルボリュームだった。

 フロイド・メイウェザー(米国)。ボクシングで世界5階級制覇を成し遂げたレジェンドである。公式プロキャリアは50戦全勝。元ボクシング世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)も、「天才」と謳われたシェーン・モズリー(米国)も、「稲妻」の異名を誇ったアルツロ・ガッティ(カナダ)も彼に敗れている。

 そんな大スターが日本で闘うのは今回が2度目だった。2018年の大晦日には3分3ラウンドのエキシビションで那須川天心から3度もダウンを奪い、タオル投入によるストップで勝利を収めていた(ただしエキシビションのため、公式記録には残らない)。
  今回も同様のエキシビションで、ボクシングルールに準ずるスタンディングバウト。相手は、現在日本で最も有名な格闘家の1人で、YouTuberでもある朝倉未来(トライフォース赤坂)だ。舞台はさいたまスーパーアリーナでの『超RIZIN』。土曜の夜であるアメリカでの放送を見据え、大会も12時スタートとなった。RIZINの世界進出へ向けた足がかりという意味もあり、当然の時間設定ではあった。

 もっとも、メイウェザーが生み出した娯楽性は、大会1週間前からあった。今月18日の夜にプライベートジェットで来日すると、そのままナイトパーティーへ。“闘い”以外の部分から、彼は凄まじい存在感で話題を振りまいた。8月にハワイで実施された記者会見では、なぜか平本蓮を通訳として引き連れると、朝倉をこき下ろしてファンを笑わせた。

 ただ、こうした“パフォーマンス”が行なわれたという事実は、メイウェザーが相当なサービス精神をもって今回のプロモーションに臨んだ表れでもある。約4年前の那須川戦はメイウェザー陣営も、RIZINサイドも手探りだった。しかし、それ以降にRIZINの榊原信行CEOはたびたびメイウェザーの住むラスベガスを訪問。コミュニケーションを重ねた両者には信頼関係が生まれ、結果として列島を沸かせた“狂騒曲”のボリュームも上がった。 前回のようにホテルの窓から見えた富士山に大会当日になって「今から行こう」と言い出すような破天荒さはなかった。ただ、高級ブランド店での爆買い、そしてパーティーはほぼ毎夜のように続いた。

 主催者の要望で公開練習の実施が決定し、メイウェザーは受け入れたのだが、ジムに現れたのは開始予定時刻を1時間以上も過ぎてから。さらに大会前日夜の会見は定刻スタートとなったが、昼間に行なわれる予定だった公式インタビューは欠席。そうかと思うと会見では取材陣の質問に丁寧に答えた。

 RIZIN運営もサプライズを用意する。前日会見にパッキャオを登場させたのだ。練習サポートした朝倉を応援しにきたというが、会見の壇上でメイウェザーと舌戦を展開したのには驚いた。「何がどうなってるんだ」という感じだ。

 もう一つ驚いたのが、ABEMAの中継がメイウェザー密着カメラを用意したことだ。大会当日、ホテルを出るところから一挙手一投足を彼らは追いかけた。移動中も事細かにレポート。「今、埼玉に入りました」ときた。結局、メイウェザーが会場入りしたのは大会が始まって1時間を過ぎようかという時だった。『超RIZIN』は全4試合と短い。普通の基準でいえば、準備する時間が足りなすぎる。しかも大会はセミまでの3試合すべてが一本、KO決着となった。

 それでもメイウェザーは慌てず騒がず。セミが終わってもバンデージを巻き続け、マイペースにコスチュームに着替える。そして、しばらく観客に“待ち時間”を作って悠々とリングに上がった。
  リングの上では、自らがただの変人ではないことを(当たり前だが)見せつけた。2ラウンド終了のゴングと同時に右ストレートがヒットし、朝倉はダウン。立ち上がれない姿を見てレフェリーがカウントを始めてストップした。30歳の日本人ファイター曰く「地面が歪んだ」というほどのダメージだった。さすがというしかないメイウェザーの強さ。特にフィニッシュを狙っていたわけでもないという。

 だが、多くの観客には、健闘する朝倉の姿が印象に残ったはずだ。榊原CEOも評価したように、あくまで真っ向勝負。本人にも渡り合えているという感触があったようだ。2ラウンドには右フックをクリーンヒットさせた。

「誇りに思うよ。彼のおかげで盛り上がった。闘いにきていたね」

 インタビュースペースでのメイウェザーは、そう言って朝倉を称えた。那須川戦では自分がコメントするだけだったが、今回は質疑応答も。28分にわたって語り続けた。それもまた意外だった。

 あらゆる人間がメイウェザーに振り回された。誰も彼の行動は読めない。何をするか決められるのはメイウェザーだけ。とはいえ、これは単なる金儲けではなかった。朝倉未来のドラマがあり、数えきれないエピソードがあった。

“狂騒曲”は決して耳障りなものではなかったと、取材した人間として書いておきたい。

取材・文●橋本宗洋

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