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原田美枝子、『ちむどんどん』&黒島結菜を支えた人間力 『百花』では別人の顔も

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『ちむどんどん』写真提供=NHK

 NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』もついに最終週に突入。主人公・暢子(黒島結菜)が故郷の沖縄へと戻り、比嘉家の面々をはじめとした序盤を支えたキャラクターたちが再び登場する中、“東京”の人物も沖縄にやってくる。「アッラ・フォンターナ」のオーナーであり、実の大叔母であり、暢子の人生の師でもある房子(原田美枝子)だ。

参考:『ちむどんどん』料理を提供し続けた半年間 黒島結菜の新たな旅路に幸多からんことを

 第120話の暢子たちの送別会を持って房子の出番は終わりかと思いきや、あっさりと再登場。ただ、暢子にとっても、『ちむどんどん』という物語にとっても、房子、そして演じる原田美枝子ほど支えになった人物はいないだけに、当然と言えば当然の再登場とも言える。

 多くのキャラクターが登場する、しかも物語が長期化する朝ドラは、えてして主人公以外に、「この人物の半生が観てみたい」と思わせる人物が登場する。本作においては、間違いなくそれは房子だろう。

 早くに両親を亡くし、たった一人の肉親だった妹も戦争で失った房子。戦後の混乱期を闇市の中で店を開きながら乗り越え、愛する人とも結ばれず、「アッラ・フォンターナ」という多くの人に支持される店を築き上げた。そこに至るまでにどれほどの苦労と努力があったことか。行く先々で出会う人に恵まれ続けた暢子とは、まるで違っただろうであることは僅かな回想シーンからも想像に難くない。

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 戦後の日本の描写、料理の研鑽の日々、三郎(片岡鶴太郎)や二ツ橋(髙嶋政伸)への想い……など房子の半生を挙げていくだけでも、十分“朝ドラ”になりそうだ。出演シーンはわずかながら、房子の若かりし日を演じた桜井ユキも鮮烈な印象を残している。

 房子は暢子の人生の分岐点で必ず必要な言葉を投げかけ続けてきた。料理人としての第1歩を踏み出すときも、和彦(宮沢氷魚)と結婚をするときも、沖縄料理点「ちむどんどん」をオープンさせるときも。そのいずれの場面でも、房子から発せられる言葉は“キメ台詞”なだけに、演じる役者の技量によっては、上滑りしてもおかしくなかった。しかし、そうならなかったのも、ギリギリのところで本作を引き締めていてくれたのも、演じるのが原田美枝子だったというのが何よりも大きいように思う。

 房子の半生はポイントポイントで明かされたものの、決して描写が多くあったわけではない。それにもかかわらず、房子がどんな人生を歩んできたか、それ故に溢れ出た言葉なのかが、原田が演じたことによって説得力を持って放たれていたのだ。黒島結菜と同世代の頃に、増村保造、長谷川和彦、深作欣二、鈴木則文、神代辰巳、黒澤明……挙げていけばキリがないが、日本映画史に名を残す錚々たる監督陣の演出を受けてきた原田。房子の圧倒的な説得力も、身体に日本映画のDNAが刻まれているからこそだろう。

 そんな原田は現在公開中の映画『百花』で菅田将暉とW主演を務めている。劇中では約30年間の月日を原田は一人で演じており、若かりし日のキラキラした輝きを放つ姿と認知症となった現在の老齢の姿は同一人物が演じているとは思えないほどだ。『ちむどんどん』の房子と共通するのは、演じる人物の描かれていない過去を感じさせることができるというところ。

 『ちむどんどん』の房子に感銘を受けた人はどうか『百花』も観てほしい。強く凛々しいに房子とはまた異なる、可憐さと哀愁をにじませる原田美枝子に釘付けになるはずだ。(石井達也)

 
   

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