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ぼうっとしている部下に気づいた上司「ははぁ…君の悩みを当ててみようか?」

幻冬舎ゴールドライフオンライン

CGデザイナーの洋介はコンビニでいつも出食わす娘とSNSを取り交わすようになったのがきっかけで、思いもかけずとある地方の総合病院を巡る疑惑に巻き込まれる。一方彼の上司のジャーナリスト、松野は問題の病院の前事務長の謎の死、病院が抱える膨大な赤字とカルテ改ざん、不正の実態を調査するうちに新たな犯罪の予兆に気付く。※本記事は、そのこ+W氏の小説『白い噓』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

プロローグ

Ars lunga et vita brevis――Hippocrates

(技術は長く人生は短し――ヒポクラテス)

ある母の痛恨

その女性を仮にM夫人と言っておこう。

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夫人には二人の娘がいて、長女は東京近郊の実家で母親と一緒に暮らし、次女は結婚して東京で家庭を持っていた。

M夫人の長女は長身のきれいな女性で、英語が得意で国際線旅客機のスチュワーデスを経て、英語学校の講師をしていた。一度アメリカ人と結婚したが数年後に離婚している。

長女が体に異変を覚えたのは、腹部に触診で分かるしこりが出来たのがきっかけだった。胃の辺りが膨らんできて体の外から触ってもそれと分かる。食欲も落ち、胃の調子も何だか変である。彼女は母の勧めで亡くなった父の母校が運営している大学病院の胃腸外科で検査を受けた。診断したのは大学医学部の教授だった。

検査の結果を聞いた日、帰宅した長女は母親に明るい表情で言った。

「先生はこれは悪性のものではないから心配はいらないって。胃に出来たただのポリープだから、手術の必要はなく薬で治るそうよ」

母娘は安心し喜び合った。暫くは気にせずに普通の生活を続けた。

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